保育園までの道を、とぼとぼと歩いていました。


わたしもヒルマも、何もしゃべりませんでした。


 

 

 


信号が青になっても、動けませんでした。

 

 

 

「いこう」ぽつりとヒルマが言いました。


ゆっくり歩きだしました。
 

 

 


途中でヒルマは手をはなし、少しだけあたまをかいて、
 

 


自分からまた手をつなぎました。

以前は手をつなぐのも拒否だったのに。


こうして並んで歩けることを、わたしはもっと喜ぶべきなのかもしれません。


台風一過。
空は雲ひとつない青空。

なのにわたしの気持ちはぐるぐる渦巻いています。

「ぐちでもなんでも言ってくださいね」

やさしく声をかけてくれた人に、本当は聞きたかったのです。

 

 


どうしてうちの子なんですか?
どうしてわたしなんですか?

ヒルマの発達障がいは目には見えなくて、わたしもつい忘れてしまう。


ヒルマがわがままで、根性の曲がった子どものように思えてしまう。


時々とってもイヤになってしまう。

手におえないと思う。
 

 

 


ひねくれ嵐の三連休が過ぎました。


どうしてうちの子なんですか?

どうしてわたしなんですか?
そんな思いが小骨になって、のどにつかえて話せない。

 

しずかな登園。