12月4日夫の受診に付き添った。
3ヶ月前に主治医が変わってから初めてだった。
若くて頭の良さそうな男性。安心した。

前の晩、夫から釘を刺されていた。
でも私は自分の気持ちを吐き出した。
あの検査も、この検査も、やってほしい。
私はこう思っている、早く確定診断をつけて欲しいなど、思いを吐き出してしまった。

診察後、明らかに夫が怒っていた。
会計の時も薬局でも口をきかない。

ようやく車に乗り込んで自宅に向かって
走り出すと、

「あれだけ自分の意思を尊重して足並み揃えて欲しいって言ってあったのに、なんで暴走したの?


俺のことなのに、自分自分ってなんで自分がどうしたいかとか言ってんの?
しかもすごい勢いで。先生のこと恫喝してたよ。
本人の俺を無視して、人権無視だし、あれは憲法違反だよ。」

「心配してくれてるのはわかるし、感謝してるけど、気持ちが強すぎて、、、。」

そう言われて、彼に嫌な想いをさせてしまったことは充分わかったけれど、
私もひどく傷ついた。

本人が病識がなく、現実を受け止め切れずに検査から逃げてばかりで、
いよいよ、そろそろ、強引にでもシフトチェンジしたいと思ったのが、判断として間違いだったというのか。

私が癌を経験しているから、彼が受け止められない現実を肩代わりして、
独りで奮闘していたのも馬鹿馬鹿しく思えた。

本当に彼を無視していたなら、3泊もの旅行になんて行かせなかった。
帰ってきたら絶対に具合が悪くなるのは目に見えていて、案の定風邪をひいて、また咳が止まらなくなったのだから。

具合が悪くなってもいいからと旅行に行くことを止めなかったり、咳止めの足しになればとカリンシロップを作ったり。


彼への愛情と思っていたことを全否定されたような気持ちになってしまった。

そうではないと頭ではわかっているけど、
彼へと向けていた何かがプツっと切れた。

私も、いっぱいいっぱいになってきていた。


病気がわかった頃はまだ彼のご両親もお元気で、通院毎に結果を聞いては一緒に心配したり、励ましてくれたりした。
でも今は10年近く経って、ご両親も自分たちの身体のことで精一杯、息子のことは任せたからと言って全く心の重荷を分け合うことなどできない。


家までの道、私は運転しながら、涙が止まらなかった。

彼に気づかれないように口をへの字に曲げて、

嗚咽せずに涙だけを流した。




夫は風邪をひいたので、血小板が下がっていた。それでも12万あるから、と薬の量などは変わらず。



首の腫れているリンパ節は、部分や針生検ではなく、丸々摘出した方がいいとのことで、数日入院して全身麻酔で切ることになりそうだ。

キャッスルマン病という難病指定の病気の可能性があると、新しい主治医は言っていた。


2回目のリンパ節生検の結果でも疑われると言われた病気だ。

悪性のものでもそうでなくても、とにかく早く確定診断をつけて欲しい。

家族として彼のために心も時間も費やしてきて、それを望む権利はあると思う。

とにかく、疲れた。やっぱり彼の病院の付き添いは
大きなストレスになる。
自分を1番に大切にしたいと思ってしまう。