インドは誰でも政治家です。と言いたくなるような動画。
インド・西ベンガル州コルカタ 選挙討論会
Election Express in Kolkata: TMC Vs Left Vs Cong Vs BJP
このタイトルは現地では有名な映画「Kolkata Express」を文字っているように感じます。
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[概説]
ただいま、インドでは総選挙が佳境となっております。
12日には結果がでるでしょう。
で、私の周囲と現地での体感で政権交代がありそうです。

インドは政党が多数あり、地域政党もあり、一見混沌としていますが、
今回のハイライトとして、
★現政権政党「国民会議派」ラフール・ガンディー党首
現在はマンモハン・シン首相が実質トップ。
彼は首相として当選した当時は絶大なカリスマ性を持ち、
かなり苦労した経歴であるため、人々の心をとらえ、貧困対策に期待を持たれ、
また2期続けて首相となる(ネルー以来)
しかし、彼の動作と政策がだれかにコントロールされているという噂が尽きず、
「ロボット」というあだ名が出てきたころから国民が離れているようになりました。
しかし、ネルー家支持やシーク教徒からの支持は相変わらず絶大です。
ラフール・ガンディは、ネルーのひ孫、インディラガンディーの孫、
ラジブ&ソニア・ガンディーの息子です。
ネルーの王道教育を引き継いだのでしょうから、そこそこ手腕がありそうですが。
というより両親よりは、しっかりした政治ができそうではあります。
★BJP भारतीय जनता पार्टी バーラタ・ジャーナー・パーティー
現党首シユスマ・スワラジ
インドभारतीय 人民जनता (民衆でも国民でも訳としてOk)党Party
党首ナレンドラ・モディ グジャラート州知事(首相)
私の周囲限定ですが、ネット上でもリアルでも人気があります。
twitterでもfacebookでも彼にについて何か書くと、
フォロワーさんも友達も増えています。
ヒンドゥーの人たちには、この党であれば安心できるという信頼があります。
まずはグジャラート州知事としての経済発展と安定が高く評価されています。
今回の選挙の支持者からは、
冷徹な管理能力と裏金や裏取引がないといわれているのも
評価として高いでしょう。
党が「ヒンドゥー至上主義」であるため、イスラムやシーク教徒にとっては、
差別や弾圧的な政策を恐れられてもいます。

★このふたつだけであれば、ある意味、宗教対立選挙でしょう。
で、州によって事情が異なり、またシッキムのように州のみの政党もあります。

★西ベンガル州では、もうひとつTMC
All India Trinamool Congress  সর্বভারতীয় তৃণমূল কংগ্রেস 
「全インド草の根会議派」と訳されています。
तृणमूल(これはヒンディ表記です)を「草の根」と訳していいのか、
私にはわからないのですが、
こういう場合、諸先輩の訳だから間違いないと経験上思っています。
西ベンガル州の右派。
マム(マ)ター・バナルジー党首
女性です。で、コルカタでは、特殊なくらい党と彼女の支持が外に現れていました。
支持者は党のシンボルを自分のお店につけていたり、チラシも配っていました。
…欲しかったけど、泊まった地域では露骨に外国人なんで。
(てか、一度も私たち以外はバングラデシュ人以外の外国人に(を)会わなかった・見なかった)
彼女はおかんイメージがありますが、そして右派ですが、
さらにイメージ的にいえば、右の土井たか子かな??
本当、見た目「おばちゃん」だけど、知性派です。
地元出身なんで、All Indiaというより、ローカルな感じでした。


で、コルカタにおける三大政党の概説は止めます。
と、いうことで、他の州は、それぞれの事情があるので、
西ベンガル州の「コルカタ」での状況は、こんな感じです。

Simplog

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この↓動画、先に挙げたBJPと与党「国民会議派」とコルカタで支持が強いTMCの
支持者による討論会です。
ほとんど英語で話されているので、
インド英語ですが…けっこう楽しく…熱い様子を見ることができます。
英語なのは、現地が多言語なので、
ベンガル語だけで行うと不公平になるからです。
議論の中でも、ベンガル語の大切さを理解できる政党を支持したいとも。
ベンガル語の教育も含めて。

英語で討論ができる能力がなければ、は、不公平かなと思っていたら、
ベンガル語でしゃべっていた人もいました。
きちんとフォローしていました。
昨年ブータン選挙の公開パネルでは(候補者と有権者の質問会)
ネパール語で質問した人がいて、司会者に
「私は何を言っているのかわからない、ゾンカ語で」
と製糸されていたシーンがありました。
それに比べるとずっと民主的です。
(インド全体というのではなく、とりあえず西ベンガル州では)
(で、今回の旅行でわかったんですが、
ブータンの非ネパール系の人たちもネパール語普通にしゃべっていました。
生活の第二言語じゃない!んもぉ。
インド・パキスタン・バングラデシュの人たちのことを思えば当たり前じゃん)

で、アツいアツい。
頻発するのはナレンドラ・モディ個人。
反論側は、彼が政権とってどこまでやれるか、
グジャラート州の知事が(首相?って訳すのが本当だろうけど)
西ベンガル州が発展するのにどこまで有益かということ。
かつての国の首相が人間に対してどのくらい配慮があったか、
(かつて旅行者が「乞食」というカーストの人たちに囲まれたコルカタ。
このカーストを撲滅しないかぎり人道的な被差別社会を作るにも、
経済発展するにもすすめないという
市民の意識が存在します。
コルカタの人にとって(…いやインド全体で…ですが地域によって意味が異なります)
カーストは自分の職人意識のプライドですから。
高い低いではなく。
(掃除のおじさんでも、掃き方にこだわりがあって、息子が感動していました。
「どんな仕事でも自分の流儀を作って誰に評価されるでなく満足がいく仕事をしている」
…これはサブのブログで展開します)
そして、女性問題と教育。
ラフール・ガンディ個人の名前で何か意見が出ているのではなく、
「国民会議派は」という言い方でした。
国民会議派の支持者はネルー家に対する思いよりも、
党派として支持、現首相シン氏への好評価があってのことなのでしょう。

あと…女性が発言しようとすると、
すごく「おっさんたちやさしい」。
インド特有のズレたレディーファースト。
強姦問題が絶えないデリーとは事情が違いますね。

それから、「ダージリンのような地域があり、西ベンガルは多様であるからよい」
という趣旨の意見があり拍手が出ました。

途中、3政党の応援ソングライブ。
すっごくいい歌唱だったんで、選挙に興味なくても、
インドPOPSに興味がある人はぜひとも。
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…にしても、インドって日本より民主的な選挙している、
みんな茶飲み話の延長をマジで語れる雰囲気がある、
なのに、州によってはテロの温床だったりする。
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[追記]
本文ではないのですが、
今回の選挙、チベット難民が多く住むヒマチャル州では、
一定の条件を満たした人に対して投票権が与えられました。
たとえば、インド生まれ○世、理由あり亡命(中国側でない)…などなど。
(もっとゆるいようですが)
他の地域はわかりません。
もしかすると全インドかもしれませんし、ヒマチャルだけかもしれません。