「D・S・E VS ダブルスタンダードという企画が日本のテレビ局からオファーがあって。まあ企画そのものはばかばかしいんだけど、中上均と対談できるようなんで、受けようかなと。」

「D・S・Eの掲げている政策は現在、非常に現実的なものになっています。それは、D・S・Eの本来の目的から離れているという声もありますが、その意見についてどう思われますか。」

「D・S・E結成の目的は、スコットランドの完全独立です。それは一貫している。ただ今までは行動は純粋であったが、本当に目的を達成しようとしていたかどうか。私は疑問を持っていました。現在は、目的に向かって最短距離を進むよう考えています。」

 中上均は自信を持って受け答えをする。彼は謎の男である。彼はまず名門の生まれだ。そして東大に合格し、両親は死んでいる。妹の一人は死に、もう一人は行方不明だ。何故かスコットランドにわたり、過激派団体のリーダーにおさまっている。

「モーリス、あなたは、スコットランドの誇りと言われていますが、D・S・Eについてどう思いますか。」

「人殺しの集まりだろ?」

 中上均は、モーリスの挑発に顔色ひとつ変えることなく、微笑んでみせ、逆にモーリスに質問してきた。

「あなたは、ジョンレノンの再来とまで言われているようだが、少しユーモアのセンスが足りないようだ。あなたは世界を変えようとしているか。」

「世界を変えようと思ったことは一度もないよ。D・S・Eはなくなってほしいけどね。」