第七章  過激派団体D・S・E

 「いいかい。確かに俺は人を殺した。だけどそれは俺が殺人者だということであって、俺達の思想が間違っているということではないんだぜ。」

 TVからいきなり凄い言葉が飛び込んできた。どうやらスコットランドの過激派の一人が発言しているようだ。

 

「おい、あれ中上均じゃないか。」

 発言している西洋人のとなりに中上均が座っているのだ。TVでは、テロ爆破事件に対してスコットランドの過激派団体のリーダーがコメントしているところであった。リーダーの発言は過激であり理論的であった。その横で中上均はうっすらと微笑を浮かべながらこちらを向いている。

 「過激派団体D・S・Eだ。最近ちょっとしたブームになっている。昔からあった政治結社なんだがリーダーが変わってから変に目立ち始めた。中上均は参謀役らしい。」

「しかし今度の爆破事件で恐らくリーダーは逮捕されるだろう。そうすると中上均がリーダーに成り代わる。」

 中上均はそこまでシナリオを作っていたのだろうか。もし中上均が未来がみえるというのならその未来図に沿って行動しているということか。天草がTVの中上均を見て言った。

 「たぶん彼の望みは、見えてしまう未来から開放されることだろう。」