列車に乗った男
- <キャスト>
ジャン・ロシュフォール(「髪結いの亭主」)
ジョニー・アリディー(「クリムゾン・リバー2/黙示録の天使たち」)
<スタッフ>
監督:パトリス・ルコント(「髪結いの亭主」)
音楽:パスカル・エスティーヴ(「イヴォンヌの香り」)
製作年:2002年/製作国:フランス
カラー/1時間30分
<採点>
77点
<ストーリー>
当て所もない旅を続ける訳あり中年男ミランは、フランスの小さな田舎町に降り立つ。ところがシーズンオフでホテルが開いていなかったため、偶然立ち寄った薬屋で出会った老人マネスキエの家に泊めてもらうことにする。自由奔放に好き勝手な人生を歩んできたミランと一度も街から出たことのない孤独な大学教授マネスキエ。何の接点もない2人の男が偶然に出会い、語り合ううちに、奇妙な友情が芽生えていく。やがて2人はそれぞれの人生を入れ替えられたらと思うようになる。
<感想>
基本的にルコント監督は好きですね。世界観がとても綺麗で、ストーリーにもすごく引き込まれてしまう。フランス映画が好きなら、とりあえずルコント作品を見て欲しいですね。
で、内容はというと。偶然出会った二人がその出会いを通して、叶わなかった別の人生を歩んでいくんですけど、この作品を友情でくくってしまうには、安易だと思う。きっと、もっと深いところにある、シンプルなものなんじゃないかな。深くてシンプルで、ってどっちやねん!て話ですよね w でも、うまく一言で片付けれないんです。
ラストには不服な人が多いみたいだけど、僕的には素晴らしかった。人それぞれ解釈も違うみたいです。重く感じたり、軽く思えたりね。悲しいのか、幸せなのか分かりにくいかもしれません。少し考えさせられます。だけど、僕はこれは絶対的幸せだろっと思いました。
この映画でいうと、人生はパズルのようなもの。1つずつ色んな思いを込めたピースをはめていき、最後のピースをはめると、そこですべてが終わる。でもね、最後には出来上がったパズルを引っくり返すんです。素晴らしいのは、バラバラになったピースに、同じものなんてないんですよね。そして、また新しいパズルを買いにいく。それが、第二の人生なのかもしれませんね。う~ん、ちょっと意味が分かりにくいかなぁ。
僕のパズルはまだまだ未完成で、色んな思い出や感情や経験を集めていってる途中なんだけど、最後のピースが近づくにつれ、うっすらと完成形が見えてきてしまうと、この映画の彼らのように考えるのかもしれないです。それは必ずしも悲しい事ではないと思う。とにかく、いい映画でした。
スイミング・プール
<キャスト>
シャーロット・ランプリング(「まぼろし」)
リュディヴィーヌ・サニエ (「8人の女たち」)
チャールズ・ダンス(「ほんとうのジャクリーヌ・デュ・プレ」)
<スタッフ>
監督・脚本:フランソワ・オゾン
(「8人の女たち」)
製作:オリヴィエ・デルボス/マルク・ミソニエ
製作年:2003年/製作国:フランス
カラー/1時間43分
<採点>
70~77点
<ストーリー>
ある夏の日、イギリスの女流ミステリー作家サラは、出版社社長の薦めで彼の南仏の別荘に出かける。プール付きの明るい別荘で、創作に取り掛かろうとすると突然、社長の娘と名乗るジュリーが現れる。自由奔放に振る舞うジュリーに苛立ちながらも、その溢れる若さと美しさに、作家の性と本能を刺激され、彼女から目が離せないサラ。二人の関係が、反発から共鳴へ変わろうとした時、スイミング・プールで謎の殺人事件が起こる・・・。
<感想>
点数を付けるのが難しい映画です。ミステリーと思っていたけど、ちょっと違いますね。鑑賞後は「??」です。謎が最後に解けるってわけでもなく、余計に謎が深まるって感じです。こういった作品は、感想が難しいですね~。
一体どういう事なのか気になるけど、答えがない。
ガイ・ピアース主演の「メメント」を見たときと、似た感じ。口があんぐりです。ネットでついつい真相を検索したくなりますね。でも、はっきりと分からない。色々自分で考えてみる。好きな人は大好きな映画です。淡々と流れていくんですが、少し不思議な撮影方法が、美しい映像と混じあっていて、嫌味なく、ストレスなく見れると思います。
あと、リュディヴィーヌ・サニエの裸のシーンがたくさんあったけど、綺麗で見る価値ありですね~。「8人の女たち」では、少女という感じだったんですが、すっかり見違えました。女は変わるってやつですね。魅力的でセクシーで、びっくり!!
とりあえず、僕なりの見解を書きます。ネタバレなので、見た人だけ見て欲しい。まだなのに、見てしまったら、全然面白くなくなっちゃうかもしれないからね。とにかく、ネタバレですので!
他のレビューを見てもそうだったけど、ジュリーはサラが作り上げた、理想の人物で、実際には存在しない。劇中にも、伏線はありますね。電話にでても、ツーツーだったり。うまくいかない恋に対して(出版社の男との恋)理想の自分を作り出したのかな?
それとも、いきずまった作家の、空想かな? その場合、空想していたのはジュリーだけで、喫茶店の店主は、実際に殺害していたと思います。それもこれも、いい小説を書くために。
そして、すべては、サラの出版社の男に対する、やきもちだったんじゃないかなと思いました。僕は最後の手を振り合っているシーンで、恐ろしくって寒気がしました。「いやー、サラ。あなた怖いよ」と。サラの表情は終始良かったですね。この映画は、狂った人間ってのが、1つのテーマになってると思いました。理想と現実の区別がつかないって脅威です。
考えても全然わからないのは、ジュリーのお腹の傷。それに、ジュリーの母親の話をした時の、庭師の娘の挙動不審ぶり。庭師の娘も想像なのかな?
ん~、、なんの為の傷だろう? サラのお腹には傷がなかったと思うし、ジュリーがサラの作りあげた人物なら、どこか矛盾してますよね。サラの母親がジュリーとか? 昔サラが母親を刺し殺して…無理やりですね。
と、なんだかんだいっても答えがないので、疑問や自分なりの答えは、後から後から湧いてきては、去っていくので、ここいらが限界です。何度か見てみるのもいいのかもしれませんね。
パッション
ジム・カヴィーゼル(「シン・レッド・ライン」)
モニカ・ベルッチ(「マトリックス リローデッド」)
マヤ・モルゲンステルン(「ユリシーズの瞳」)
<スタッフ>
監督:メル・ギブソン(「ブレイブハート」アカデミー賞受賞)
製作:メル・ギブソン、ブルース・デイヴィ 、スティーヴン・マクヴィーティ
製作総指揮:エンゾ・システィ
共同脚本:ベネディクト・フィッツジェラルド、メル・ギブソン
製作年:2004年/製作国:アメリカ
カラー/2時間07分
<採点>
60点
<ストーリー>
イエス・キリストの最後の12時間と復活の物語。紀元前1世紀のエルサレム。十二使徒の1人であるユダの裏切りによって大司祭カイアファの兵に捕らえられたイエスは、救世主を主張する冒涜者として拷問され始める。
<感想>
上映当時から話題作で、見てみたいなと思っていた映画の1つです。映画自体の作りはすばらしいものなのかもしれません、だけど僕にはちょっと、とっつけなかったです…途中で何度も見るのをやめようと思いました。
とにかく拷問の描写が激しくて、僕にとっても拷問な二時間でした。まず、予備知識がないので、拷問シーンに目がいってしまうんですよね。処刑される意味もあまりわからなかったです。聖書などを読んでいたら違った見方ができたのかもしれませんね。
とにかく、僕は後味の悪い映画も好きなんですが、これはちょっと無理でした。妙に現実感があったので、とにかく辛かったです。
怖いと思ったのは人間ですね。鞭でなぶって、高らかに笑いあう集団。徒党を組んで、一人の無抵抗の人間を拷問する。悪い言い方だけど、すごく胸くそ悪かった…でも、こういった群集心理ってのは、現代人にも通ずるところがあると思うので、その醜さや愚かさや怖さなど、胸に伝わってくるものはありました。
この映画は賛否両論わかれるんでしょうね。とりあえず僕にとっては良くも悪くも、衝撃作でした。後々残りそうな映画ですが、二度と見ないと思います。気になったのは、R指定がなかったような気がするんですが、こんなの子供に見せていいんでしょうか?
バティニョールおじさん
<キャスト>
ジェラール・ジュニョ (「コーラス 」)
ジュール・シトリュック(「ぼくセザール 10歳半 1m39cm 」)
<スタッフ>
監督・脚本:ジェラール・ジュニョ
(「パリの天使たち 」)
製作年:2002年/製作国:フランス
カラー/1時間43分
<採点>
75点
<ストーリー>
1942年、ナチス占領下のパリ。肉屋を営むごく普通の男エドモン・バティニョールは、口うるさい妻と世渡り上手な娘、ドイツ軍へ協力する娘婿にも、できるだけ無関心を装っていた。そんなある日、隣人のユダヤ人医師一家がドイツ軍に検挙されてしまう。図らずもそれに手を貸したことになってしまったバティニョール。しかしその後、運良く逃げ出してきた少年シモンを戸口で見つけた時から、バティニョールの中で何かが変り始める。はじめは一晩だけシモンをかくまうつもりが、シモンの2人の従妹と一緒に、スイスへの逃亡の旅に出ることに!夜汽車での移動、厳しい検問所など、命がけで難関を突破しながら、子供たちとの心の交流を深めていく…
<感想>
おじさんが、危険を顧みることもなく、子供を助けていく。って事だけど、そのおじさんがごく普通のさえないおじさんで、しかも少しずつ正義感が芽生えていく様に共感ができました。
好きなシーンもいくつかあって、逃亡途中におじさんが警官に見せる言動が特に良かったです。いつの間にかスゥーっと涙がでていました。
ユダヤ人の迫害がテーマの映画はいくつか見てきたけど、見終わった後に気持ちが晴れやかになったのは始めてですね。僕的には晴れやかすぎたので、現実感が薄れてしまいましたけど…
それに一部分あまり納得出来ないシーンもありました。『え?』って思いましたね。そのシーンはない方がって思いました。人それぞれ感じ方があるとは思いますけど。それ以外の部分、映像や映画の中での時間の流れ方などはすばらしく、ストレスも感じなかったです。
とにかく、僕自身の好き嫌いはさておき、いい映画だと思います。きっと、大切な優しさに触れる事ができるはず。基本のテーマが同じでも「戦場のピアニスト」はあまりに重いので、こんなハートフルな映画があってもいいと思いますね。どちらも、大切な事を伝えようとしている映画だとは思いますが…
あと、子役のジュール・シトリュックがかなり可愛いですね~。
キッチン・ストーリー
<キャスト>
ヨアキム・カルメイヤー(「Lars l Porten」)
トーマス・ノールストローム(「The Hunters」)
<スタッフ>
監督・製作・脚本:ベント・ハーメル(「卵の番人」)
音楽:ハンス・マティーセン
製作年:2003年/製作国:ノルウェー・スウェーデン
カラー/1時間35分
<採点>
79点
<ストーリー>
1950年代初頭の北欧。ノルウェーの田舎に住む、年老いたひとり暮らしの男の元へ、スウェーデンの「家庭研究所」から調査員がやってくる。
調査の目的は、”独身男性の台所での行動パターン”を観察するためだ。台所の隅に、男を見下ろす奇妙な監視台が設置される。
調査される男と調査員の間には、「お互い会話にしてはならない」「いかなる交流ももってはいけない」などのルールが決められていた。最初は気を許さないふたりだったが、観察生活が続くうちに、男の生活に少しずつ変化が生まれてゆく・・・。
<感想>
「いい映画に出会えた」話の途中で、そう思いました。こういうの、好きな系なんですよね。なんていうか、淡々としたスローライフ映画が。
老人と、中年男がのんびりと友情を育んでいくんですけど、これがお二人ともはまっていて仕草や表情や行動が、微笑ましくて、なんだか可愛いんです。
静かで暖かくて、笑いのスパイスも忘れずに、色んな思いを含んで幕をとじてゆく。良かったです。ドアの開く音・監視台を上る音・歩いて床がきしむ音・雪を踏みしめる音、そんな些細な日常の音が、1つのアクセントとして、この映画を引き立たせてるかもしれないですね。
とりあえず、買いたいDVDリストに加えられましたね。話自体もあるようで、ないような感じですよね。自分のお家のキッチンで、見知らぬ男が高い位置から監視しているんですから w
歳を重ねるにつれ、親友というのは作りにくくなっていくのかもしれません。今いる友達だけで十分だって気持ちがあるかもしれないし。今更…って思ってしまったり。新しい友人が出来ても、深くならなかったり、少し壁をつくってしまったり。きっと、そういう事ってあると思うんですよね。
やっぱり、連れ添った月日が長くって、過去の出来事も知っていて、自分の事を誰より分かってくれる。それは本当に大切な親友です。この先もずっと、そんな関係を続けていきたいです。そんな友達って、きっと何よりの宝物的存在なんだろうなと思います。
だけど、月日だけが問題じゃないんですよね。友達って年齢なんて関係ない。この映画を見て、気付かされました。突然なんらかの運命で、感覚的に、言葉のいらない友が出来る。ありきたりのような奇跡。そんなものをこの先の人生で、しっかりとつかんでいきたいなぁと思いました。
いつまでも胸にそんな感情を残し、ゆっくりとゆくっりと…
それも、1つの幸せの形だと思いました。

