今日のバイトは、暇だった。
休日だと言うのに、そんなにお客もいない。
来ていたのは女子中学生4人に、中年グループ点々。
ピンポンが鳴らないこと
鳴らないこと。
手ごろなドリンクバーのおかげで私はすることが特にない。
みんなしゃべりに夢中だ。
ぼんやりしていてのお給料もらえるなんて何か悪い。
ただ、立っていてもいいんだけど、
罪悪感からかクリーン。クリーン。
店がきれいになるたびに、儲からない店から
バイト代貰う事の後ろめたさが消えてゆく。
「あぁ、私ってきれい好き。」
そんな一言も掃除機の音にかき消され、
ついつぶやいてしまった独り言が周りに聞こえる心配はない。
「でね、アイツったらもう3日経つのにまだ落ち込んでるのよ!」
遠くの方で大きな声を張り上げている女の子がいる。
店内のどこにいても丸分かりだ。
店の制服の腰あたりの部分が
掃除機のパイプに引っかって腕を止めた。
この服、見た目よりもほつれやすく、掃除機とは相性が悪いらしい。
毎度毎度、掃除の邪魔ばかりする。
「この安っぽい制服何とかならないかな」
ぶつぶつ言いながら
制服から出た糸くずを切り掃除を再開した。
「やっぱり、両思いなら付き合うでしょ?」
店内の一番若いお客さんはまだ、恋バナをしているらしい。
両思い。それは中学生の頃多用した懐かしい響き。
使う言葉の使用頻度が精神年齢を示す。
掃除機はついつい彼女らの方向へと動いていく。
『両思い』この単語はもう使われなくなって久しい。私も若かったな。
「まぁ、1日くらいは分かるよ!でも、3日も経つのよ?ヒドクない?」
昔、似たようなセリフを吐いた事があったけど、
その言葉がかなり酷な言葉だというのがこの年になりよく分かる。
「でも、話とかしないんでしょ?」
「ほら、何にも言わなくても視線が気になるじゃん。辛いもん。いい加減にして欲しい!」
楽しい事だけ見ていたい。
そんなお年頃。
この頃は好きな人って言ってもブームと同じで
移り変わりも激しく、興味のあるなしはっきり別れてた。
いつからだろう、変に悩むようになったのは。
好きな人でさえもマイブームが終われば『さようなら、お友達でいましょう』
興味がない人なら『あんた、私に話しかけてこないで』
そんな扱いで、いいって本気で思ってた。
「もう!あいつ学校来るな!」
彼女はかなりご立腹みたいで、他の友達は黙って聞いていた。
あぁ、懐かしき中学生の日々。
かたや中年は・・・
「げ。」
ドリンクバー回し飲みしてやがる。
夫婦でワンカップ。
コレって本当はダメなんだけど・・・
「ま、イッか。」
注文した料理も分け合っているし。
多分、何でも分け合ってきたんだろうな。