あるところに妻子ある男がいた。
彼は幸せの国を探すと言って、家を出た。
うまい食事に、十分な仕事。暖かい家。
「きっと、西に行けば豊かな暮らしができる」
そう思い男は西を旅した。
西の国は人々が賑わい、一見豊かに見えたが、
なにぶん、食事がまずかった。
「うぁ、これは食べれたものじゃないな。」
そう感じ、男は次は北の地へと赴く。
北の地は水が美味く、豊富な魚が採れた。
「ここは良いぞ!」
そうは思うが、ここには人もいなく仕事がなかった。
次はここから東にあるという国を目指した。
東の国はよき家が多いと聞く。
「確かに、良い家なんだけど・・・」
鉄筋コンクリートで仕切られた家々。
部屋の中まで家族それぞれが一人暮らしで切るような構造となっていた。
家族に距離がある家だ。
男はまた旅に出た。
最後はここから南の国。
「・・・ただいま、幸せの国は・・・なかったよ。」
少しやつれながらも暖かく迎え入れてくれた妻に、少し大きくなった我が子。
幸せの国は、ここにあった。