幼い頃、100円は大金でした。
駄菓子屋に行けば豪遊できる金額です。
それでも子どもにとってのお金は欲しいものがないと、
ただの硬貨でしかありませんでした。
「マルコももうすぐお姉さんになるんだから貯金箱が要るかしら?」
そういうと、一工夫されたかわいらしい貯金箱をお母さんから貰ったんです。
「いい?ここに100円を入れると・・・」
貯金箱が動き出します。
それが楽しくて楽しくて仕方がなく、いつしか貯金が趣味へと移り変わっていったのです。
100円玉を貯金箱に入れては出し入れては出しの繰り返し。
うれしくて仕方がなかったんです。
ある日、お母さんが買い物に行っている間、
「少しだからまってて」
と言われ、クーラーのかかる車内で待っていたとき
車の中で貯金箱の穴らしきものを見つけました。
クーラーの穴です。
「穴・・・」
そこはとても魅力的な空間でした。
そこに100円を入れると
どうなるかどうしても知りたかったんです。
どこかから出てくると思っていたんです。
お母さんが帰ってきたとき聞きました。
「ねぇここに100円入れてもいい?」
モチロン、『いい』なんていうはずがありません。
それで、我慢ができませんでした。
分かっていました。
あれが貯金箱ではないことぐらい。
しかし、いつもポケットに忍ばせていた100円玉を・・・・