「みんなが楽しいんだからいいじゃないか」
親友の
この言葉が嫌いだった・・・。
ボクが中学生の時
親友はいじられるポジションにいた。
彼の体重は標準の2倍いじられない方がおかしいと言えばおかしい。
生徒はモチロン先生もその場での笑いをとるために利用していた。
この様子が耐えがたくボクをイライラさせた。
「馬鹿どもが・・・」
先生を含めた
幼稚な連中を軽蔑した。
でも、それ以上に
いじられている様子を黙ってみているしかできない。
そんな自身の勇気のなさを情けなくも思っていたもんだ。
あるとき
この親友を呼び出した。
「お前、あんな風にけなすような奴らとはつきあうなよお前がニコニコしてるからつけあがるんだぞ?」
ボクは、
友人を心配していたわけではない。
ただ、自身の正義を振りかざしたいだけ。
自分ができないことを他人にしろと言うなんて最低だ。
すると
彼はうそ臭い笑顔で言うんだ。
「そうする事で、みんなが楽しんでいるのだからいいじゃないか」
と。
その笑顔には
本音を感じられなかった。
「楽しいのか?我慢してるんだろ?本当は嫌なんじゃないのか?」
彼がからかわれている様子を黙ってみていたボクはそう思っているように見えたんだ。
なりたくて手にした位置ではない。
与えられて押し付けられているそんな位置。
「俺は楽しいよ。そうする事でみんなが楽しいんだもの」
「だから・・・(怒)」
この論争はずっと続いた。
人を
笑わせ楽しませているのではなく
人に
笑われて楽しませる。
自己を犠牲にさせる事で
他者を楽しませる。
彼の言う言葉は理解できなかった。
彼が一言
「助けて」
そう言えば間違いなく、先生やその他の機関が何とかしてくれただろう。
なのに言わないんだ。
そんな様子がボクをイライラさせた。
「じゃあ俺が、お前をからかう奴らぶっ飛ばしてやる!」
ボクは、頭が回らない分よく手が出た。
どうせ、あいつらに
「トモダチをからかうのをやめろよ」
なんて、言ったところで
自分たちが楽しいから、彼も楽しいんだなんて言うに決まっている。
すると、彼は必死に
「やめてくれという。」
「どうしてさ?」
「どうしても。」
「絶対お前それ楽しくないって。『助けて』っていえよ」
だけど、彼は
「いらんことをしなくていい」
そう一言だけ言っていた。
「そうか・・・、本当にダメだったら言えよ?」
そう言ってこの話は終わった。
もしもボクがこのとき
自身の正義を振りかざしていたのなら
クラスを敵にまわしただろう。
どんな人も、楽しい雰囲気を壊すようなヤツは
軽蔑される。
いじめよりもひどい
無視。
関わりを持たない。
と言う空気で接されたはずだ。
・・・彼は誰よりも大人だったのだろう。