沢村と根元はお互い犬猿の仲だった。

でも、ボクはそんなふたりと馬が合っていた。

 

その日の放課後、

沢村とボクが教室内で話しているところへ

なぜかイライラしていた根元がやってきた。

 

そして

沢村に怒鳴り散らす。
 

「お前、俺の教科書どこへやったんだ!」
 

お互いに犬猿の仲だったものだから何かあるごとにお互いを疑っていた。

 

4月の頃まではただの殴り合いだけだった。

でも、事あるごとに目立つ行為をしていた彼らは

先生に大目玉を食らうことを恐れ、

互いのモノに当っていく様になってた。

 

体操服を隠したり、筆箱隠したり、給食勝手に食べたり。

今日もそんな衝突の一角なんだろう。

適当に放置しておけば収まるのはいつもの事だから、黙って見ていた。

必要なら後でフォローすれば万全だから。

 

「ふん、お前の教科書なんて女便所に捨ててやったわ!」

  

この行為。

男としてあるまじき行為。

異性の便所にランドセルごと教科書を投げ捨てるだなんて、ひどい。

 

根元はランドセルの所在を聞くと

しぶしぶ、女便所に入り、ランドセルを取り戻した。

だが、運の悪い事に女子に見つかり・・・しばらくヘンタイ扱い。

 

「この恨み忘れんぞ!沢村!」

 

そう吐き捨て、彼はひとり帰ってしまった。

珍しい、いつもなら殴り合いになるのに。

 

 

翌日、

根元とボクが教室内で話しているところへ

なぜかイライラした沢村がやってきた。

どこかで見たような展開。

 

 

「オイ、オリの教科書どうしてんて?」ヽ(`Д´)ノ
 

彼は舌が短いらしく、怒っていてもどことなく田舎臭い。
根元がギラリとした目で答えた。

 

「・・・流した」

 

それ以上の言葉はない。
 
 
「・・・は?何いうとんねん、お前?ちゃんと答えろよ」ε=(>ε<)プププ

 

少し半笑いの沢村。

確かに、「流した」の意味はよくわからない。

 

その態度にキレた根元は大声で怒鳴る。

 

 

「そんなもん、トイレに流したわ!!」

 

 

  ∑( ̄□ ̄;) は?  ( ̄△ ̄;)エッ・・?

 

 

沢村はすぐさまトイレに走って向かった。

残されたボクは根元の顔を見つめた。

 

「マジか・・・?」

 

「嘘ついてどうする?」

 

怒り口調だったがこんな時は彼、結構素直だ。

 

 

「オリの教科書~~~~」(;□;)

 

「オリの教科書がぁぁぁ~」

 

 

遠くから・・・変な嘆き声が聞こえる・・・。

 

オリの教科書・・・って。

 

ボクも気になって見に行くと。。。

 

便器の中で行水している教科書達数冊に加え、愕然とする沢村の痛々しい姿がそこにあった。

 

しばらく

「オリの教科書・・・」

と、何度もつぶやいたあと、

何を思ったか、沢村のヤツ、教科書をそのままにし

どこかへ走り去っていった。

 

目の前にはモザイクをかけておいたほうがよさそうな汚物が散らばっていて、

彼が今後、これを使わないといけないと思うと変な汗が出てきた。

 
 

すると・・・

 

「やめろぉぉぉぉ・・・」

声が聞こえる。

 

トイレの入り口付近に行ってみると、

ランドセルをもった根元を引きずる沢村がいた。

 

 

「オリの教科書の仇!」

 

「アメェはオリの教科書の仇だ!」

 

もう何がなんやら。

口が回ってない。

 

沢村は根元を振り払うと

 

手に持っていたランドセルを

便器に突っ込みレバーを引いた。

 

「あぁ!!!俺のランドセル!」(;、;)

 

じゃ~~~~~

 

ランドセルに入った水が便器からはみ出しトイレは、まずい状態になった。

 

「何するんじゃ!沢村!」

 

根元が、沢村に激怒する。

 

「何するんじゃはこっちのセリフだ!アホ!どうすんねんオリの教科書!」

 

ごもっとも。

 

・・・しっかし、こうなってしまっては

女便所にランドセルを捨てるだなんて可愛いもんだ。

 

人間、馬が合わないと関わらないか、適当にぶつかっていた方が良い。