5歳の誕生日。初めて罪を犯した。

 

罪状は

 

「信号無視」

 

立派な交通法違反だ。

 

原因は簡単だった。

誕生日の日は好きなおもちゃが買ってもらえる。

ずっと欲しかったおもちゃが手に入る。

早く欲しい。手にしたい

そう思うと、いてもたってもいられず、

駐車場からすぐ向かいの交差点の先にあるおもちゃ屋へ

信号が点滅していたのにもかかわらず走り出した。

 

誕生日なのに。

誕生日だからかな。

 

ものすごく

お母さんに叱られた。

 

「信号無視したらダメ!」

 

泣きながらおもちゃ屋で欲しいおもちゃを指差してた。

 

欲しかったおもちゃは手にできたんだけど、

叱られたしこりもまた手にしてしまった。

 

家で、おもちゃをいじりながら思うんだ。


 

夜、布団にもぐって泣きながらも思うんだ。

 

あの時ああしなければ良かった。

叱られなかったのに・・・って。

 

でね、怖かったんだ。

裁きがやってくるのが。

 

いろんなTVの影響からか悪は滅せられる。

 

「悪は滅したわ。もう平和よ。」

 

なんてよく言うでしょ?

そう思っていた。

 

悪って悪い事する人のことでしょ? 

法律違反する人のこと。

 

信号無視した人。

 

つまり死刑さ。

 

いつ警察が来るんだろ?

いつ警察が来るんだろ・・・ってびくびくしていた。

 

そんな日に限ってちょうど、警察が家にやってきた。

てっきり、犯人を捕まえに着たんだと思って布団の中に隠れていたの。

 

布団の中に入っても玄関でなにやらお父さんとお母さんが話しているのが聞こえる。

きっと、犯人を明け渡すかどうか悩んでいるんだ。

お父さんとお母さんは、きっと、罪人を差し出す。

で、死刑になるんだ。

 

しばらくしたら

警察の人は帰って行った。

 

お父さんに聞いてみた。

 

あの人は何しに来たのかって。

そしたら

最近放火魔がいるから気をつけなさいだってさ。

 

次の日も、

その次の日も

裁きの人は現れなかった。

  

 

おもちゃを見ながら思うんだ。

いつ、誕生日に犯した罪で裁かれるのだろう?

そう思いながら時間を過ごすのは気分が悪い。

 

耐えられなくなって

お母さんが仕事から帰ったときに

ついつい泣きついた。

 

「あのね。あのね。信号無視したら死刑なるの。死刑になるの。ごめん。」

 

意味のわからない言葉で

泣きついた。

 

お母さんは、困った顔してた。

 

「馬鹿ね」

 

そんな一言で、罪は流れた。

 

嘘つきは辛いよ。

何食わぬ顔して生きるなんて辛いよ。

 

やっと、買ってもらったおもちゃで遊べる気がする。