●01: 「真夜中の五分前 side-A/ side-B」(2007) 本田孝好 新潮社 ●
双生児の妹の恋人に不毛な恋をする女性に、恋してしまった男性視点の物語。
うーん、正直拍子抜け。何故side-Aとside-Bにする必要があったのか。
特にside-Bは最初の10頁でラストまでの展開が読めてしまう悲しさ。
好きになりかけていた作家なだけに非常に残念。でもside-A、特に始まり方は好きだった。
「たとえ、彼がゆかりちゃんを嫌いになってゆかりちゃんと別れることがあったとしても、
次に付き合う女として、世界で一番、可能性が低いのは私。同じ顔、同じ体、同じ性格、同じ遺伝子。
ゆかりちゃんが嫌われれば、私もまとめて嫌われる。
彼の残りの人生の中で、ゆかりちゃんと別れることはあっても、私と付き合うことだけは絶対にない。」
●02: 「重力ピエロ」(2006) 伊坂幸太郎 新潮社 ●
強姦により生まれた「弟」と家族をめぐる、復讐および再生をミステリアスに描こうとした雰囲気の話。
正直に申し上げると、謎はなかった、と言い切れるほど展開と事実が早い段階で分かってしまった。
伊坂幸太郎の描く作品の世界も、テーマも、決して嫌いではないのだけれども、
読者に何故そこまで親切に謎解きのclueを与えるのか、馬鹿にしているのか、と言いたくなる。
●03: 「蛍姫」藤堂志津子
●04: 「恋愛詐欺師」岩井志麻子
●05: 「躯」乃南アサ
●06: 「淋しがり」藤堂志津子
●07: 「陽気なギャングが地球を回す」伊坂幸太郎
●08: 「恋人よ」藤堂志津子
●09: 「美女」連城三紀彦
●10: 「星々の舟」村山由佳
●11: 「嘘は罪」連城三紀彦
●12: 「死神」(1999)篠田節子 文藝春秋
福祉事務所の同僚ケースワーカーたちを主人公に据えた短編連作。
暗い。が
●13:「合意情死(がふいしんぢゆう)」(2005)岩井志麻子 角川
岩井志麻子の“岡山もの”と呼ばれるもののひとつらしい。短編集。
「恋愛詐欺師」では感じなかった巧みさ。そして、事件の背景に人間の卑しくも逃れられぬ業を感ず。
是非ほかの作品も読みたい。
●14:「銀座24の物語」 文藝春秋
●15:「がらくた」(2007)江國 香織 新潮社
江國作品では好きな方に入るのかもしれない。広尾、六本木や、いかにも母校を思わせる“ミミ”の
通う学校は、とても身近だが、それ故に感ずる違和感が悲しい。柊子はオンナとして私が厭だと思う
側面を全体として持っているような人間であり、ミミもまた然り。桐子は良くも悪くも好きではないタイプ。
いつも思うが、江國作品に登場する女性は共感したりできなかったり、非常にリアルだが、
男性陣はホテルの乾いたシーツの如くサラリとしすぎているように思う。特筆する点はなし。
●16:「いちげんさん」(1999)デビッド・ゾペティ 集英社
ジュネーブ大学中退、同志社大学という経歴の持ち主。すばる賞。
京都を舞台にした、スイス人留学生と盲目の日本人女性のひと時の恋物語。
「ガイジン」と揶揄される彼は、外見盲目の彼女の前では
彼が作品内で語る京都への違和感、日本人への蔑視ともいえる感情は、非常に理解に難しくないが、
それは何も日本人と「ガイジン」における事柄ではないのだ。欧州の田舎町に行けばもっとひどい視線に
東洋人は晒される。ここで描かれる京子との関係や世界もひどく偏狭な視点で描かれている。
彼がジュネーブという「地球の歩き方」的に言えばコスモポリタンな環境で育った所以ではないかと強く思う。
懐古趣味な言葉づかいと翻訳的な文体により、共感を難しくさせていることは言うまでもない。