一夜の情事05 | オタク少女恋愛中

一夜の情事05



あああああ……。とうとうアキちゃんの家に着いちゃった。
『ちょっと待って!』ってアキちゃんが私を軽く制止して
中に入ってドアを開けた。
『いらっしゃい!お嬢ちゃん。どーぞ入って♪』
何だかふざけた彼の態度が可愛らしくて笑えた。
『あはは…ただいまぁ~アキちゃん』
ふざけ合いながら家に入った。

アキちゃんの部屋ってどんなんだろう??
ワクワクする気持ちでアキちゃんの部屋にダッシュする。
アキちゃんは慌てて私を止めようとするけど、間に合わない
引き戸をガラっと開ける。

……こざっぱりとした部屋。学校の実験の書類が束で机に
置かれている。
忙しいんだ…やっぱり……そう再認識した。
私にふざけた態度とってるけどアキちゃんは今…ギリギリの中にいるんだ。

『ちょっと~お姉ちゃんのスケベ!早く出てよぉ』
『嫌だよぉ~出ないもん~着替えるんだったらさっさと着替えれば?』
意地悪にニマニマしてるとアキちゃんは『もう!』って軽く怒って
私をくすぐってベッドで寝そべる私を引きずり下ろそうとした。
嫌だ嫌だ!と言ってじゃれていた。
アキちゃんに触れる事が出来てドキドキしつつも安心していたし。
すると…


『男のベッドでこうやって押し付けられてる状態って
どんなに危険な事か分ってるの?お姉ちゃん』



あ………っ
目が笑ってるけど…本気だ…
だって私を見つめてる瞳や手にかかる重さ私の足の間に
挟まってる足が……怖い


黙ってアキちゃんを見上げた。
アキちゃんの台詞に心が震えた。

手にかかる重さが軽くなる。
『あははは~大丈夫!何もしないよ?…怖かったでしょ?』
アキちゃんが笑顔で私の身体から離れようとする


もっと触れていたい…!

思わずアキちゃんを押し倒した。
アキちゃんは『わっ』と声を漏らし私の下へ
目が合って気恥ずかしくなった。
何を私はしているのか??自問自答だ。

誤魔化してじゃれ始めた。
アキちゃんはくすぐりに弱くてもがいてた。

トゥルルル~♪♪

アキちゃんの携帯がなった。

アキちゃんはばっと私をポイし電話に出た。
『あぁ~宮君!何で今日来なかったんだよ~
さっき鮎さんに襲われてて大変だったよ』

ほう!そんな事言う~?って思ってくすぐり再開
『うわっ!ひゃぁ~やめて~~宮君犯されるうう』
『誰が何したって言うのよ??ん?』
宮君の電話の前でドタバタしてると呆れて宮君が
『行かなくて良かった』なんてぼやいて電話を切った。

二人顔を見合わせて『あはは』って大笑い。
それから、アキちゃんのお姉ちゃんの部屋に
連れられて楽な服を渡される。
『これを着て』
…………ユニクロ。

せっかく可愛い服着て化粧してきたのに…これはさ
なんて思いつつ着替えを済ませアキちゃんがいる居間に
向かおうとすると…

コンコン

『お姉ちゃんもう着替えた?』
『うっ…うん!着替えたよ』
慌てて片付けてアキちゃんを通した。
『ん…どうした?淋しかったとか?? 笑』
アキちゃんは照れ笑いをしながら
『なにそれ………図に乗ってるなぁ…』
『図星かぁ!!』
アキちゃんに追い掛けられながら階段を素早くかけ降りた。

居間に着くと、二人その場に座ってふぅ…っと一息
アキちゃんはお酒の用意だとかに大忙し。

私は飾ってある沢山の家族写真をほぅ……っと見上げながら
居間にあるアキちゃんのお父さんの仏壇を見つめた。
これがアキちゃんの大事で尊敬しているお父さん。
アキちゃんの心にどっかりと居る人。

何だか挨拶もかねて祈りたくなった。
アキちゃんがいっぱいいっぱいになって苦しんでいる事や
アキちゃんが自分のキャパシティの自覚なく色んな責任を
取ろうとしている事や…
100じゃない可能性をかなぐり捨てる様に…
善くも悪くも、お父さん…貴方が居たからなったんだと。
これからアキちゃんが幸せに笑って居られる様にどうか
見守っていて下さい。
何だかそう伝えたかった。

私は自然に仏壇の前に座ってお父さんに祈っていた。
後ろにアキちゃんが居るなんて気付かずに

『わっ!!アキちゃん後ろに立つなんて
趣味が悪いよ!!……あっ‥えっと。一応挨拶をと
思って勝手に祈ちゃった……ごめん』

凄く穏やかな顔したアキちゃんが
『ありがとう』
って言ってくれた。

それから、TVをつけコタツの隣に座った。
乾杯をしていつもみたいに下らない会話を少しした
いつもより、やっぱり緊張してお互い目を余り
合わせられなかったけど楽しかった。

それで、、いつもの様にアキちゃんが私の手を取って
マッサージをしようと手を取った。
楽しくて気付いて無かったけど、手が少し冷えてたみたい
アキちゃんがギュゥ……ってして温めようとした。
『アキちゃん良いよ!そんなに寒くない』
それでも手を放さず片手で私の両手を包みながらコタツをオンにした。
『お姉ちゃん気付かなかったゴメンね。手が冷えてる』
『うん……有難うアキちゃん』
アキちゃんはいつだって私の心配をしてくれる…
工学部と言う事もあってアキちゃんの手は指はガサガサしている。
いっぱい傷だらけ…私はアキちゃんのこの手が好き。
アキちゃんの傷を撫でるのが好き。
撫でたからって何もなら無いって知ってるけど、何か癒せたら良いなぁ
なんて思うから。
アキちゃんの足が私の足に絡んだ。
『やっぱり、女の子はすぐ身体が冷えちゃうね…足も冷たい』
アキちゃんがぐいっと引っ張てお膝の上に私を乗せた。
慌てる私にアキちゃんはこの方が温かいでしょ?なんて言ってくる。
呆れつつも、そんなアキちゃんを愛しく感じるのだからしょうがない。


『お酒が飲めないよぅ~アキちゃん!ほら』
アキちゃんにお酒をついでお互い飲む。
アキちゃんは豪酒だから飲むピットが早い。
逆に私はお酒が弱いからチビチビ飲んでた。

お互いコロっとその場に寝転んで喋り始めた。
やっぱり、最初に話し始めたのはアキちゃんのお父さんの話と
お父さんが築いた俺の家族みたいな家族を築きたいんだとか…
アキちゃんらしかった。
頑張るんだ頑張るんだ!ってしてるアキちゃんが見てて辛くなる時も
あったけど、やっぱり愛しいって思えた。
『あのね…アキちゃんさっき仏壇でお父さんにね
挨拶って言ってたけど。本当はねアキちゃんをどうぞお見守り下さい
ってお願いしてたんだ』

顔を合わせずに呟いた。
アキちゃんのお父さんはギリギリ迄頑張った人だった。
奥様との結婚記念日迄頑張って生きてその日に死んだ。
季節外れの御葬式の日に蜻蛉になって帰って来た。
仏教で死人は蜻蛉になって帰って来るのだそうだ。
蜻蛉がいるはずのない季節に……
それから、アキちゃんや家族がどんなに望んでも夢にも現れる事は
なかった。
『もう、安心して成仏してしまったのかもしれない』なんて
淋しがってたから…アキちゃんが少しでもお父さんを近くに
感じれたら良いなぁって本当に思った。

アキちゃんは少し驚いた顔したけど、.軽く頷いて頭を撫でてくれた。
次第に話す内容が恋愛の話に流れていった。
アキちゃんの腕枕の上でコロコロしながら足を交差して
密着させていたお互いの鼓動が聞こえるくらいに
アキちゃんが私の手首を掴んだ
『鮎…ドキドキしてるね』
私の心拍を測ってアキちゃんが呟く
恥ずかしくなった私はアキちゃんの上に乗って心臓の音を聞いた。
アキちゃんの鼓動はお酒を飲んだからか鼓動が早かった。
『アキちゃんこそ早いよ‥凄いドキドキしてるもん』
アキちゃんの鼓動を聞いてると何だかホ…ッとした。
このまま…このままって思った
アキちゃんが急に起き上がりキッチンの方へ逃げた。
『ん?どうしたの??アキちゃん』
私もキッチンへ行くと冷蔵庫を開けてアキちゃんが
『鮎が甘いものが好きって言ってたからさ…色々甘いもの
買ってみたんだよね‥俺、甘い物食べれないし。食べてよね?』

アキちゃんは私が来る事を楽しみにしてたんだなぁ‥って思った。
冷蔵庫の中には色々のアイスやシュークリームや普段のアキちゃんは
絶対買わない様な物でいっぱいっだった。
『まだ良いよう~ちょっと寒いしさ!』
『恵はコタツに戻って!足冷えちゃうよ!!
お酒は俺が用意するからさ‥ほら!!』

アキちゃんに言われてもう…!と不貞てコタツに戻った。
少ししてアキちゃんが私にチュウ杯を自分にビールを持ってやって来た。
2回目の乾杯。
アキちゃんに自然に寄り添うアキちゃんも私の事を受け止める。
お互いの手をマッサージし合いお互いにお疲れ様って言い合った。
私と彼はどうしてこんなに居るだけで気持ち穏やかに慣れるんだろう
なんて思った。居るだけで幸せだなんて本気で思えた。

『あっ…駄目…離れて』
アキちゃんが急に離れた
『どうして?』
ホンワカしていたから?と思った。
『我慢出来なくなるから…』
『何が?』
分っててわざと聞いた。

『俺……男だよ。鮎がこんなに近くに居ると我慢出来なくなるよ
周りに誰も居ないし……堪えれなくなる』


知ってるよ。知ってる。貴方の好意
まだまだ淡い気持ちこれからハッキリした物になりそうな気持ち
押し殺そうとしている気持ち。
知ってるよ。
私はソレを知っていてわざと貴方を壊そうとしてる。
私自身も堪えれなくなってきているから
好きな人の好きだって気持ちを知っていて我慢なんて出来なかった。
押し殺そうとしているソレを見てなんて居られなかったよ。

『あはは。何言ってるの??アキちゃんと私は
そう言うのとは違うんじゃなかったの?』

隣に座り直しアキちゃんに言う
再びお酒を口に含んだ。
そして、再び話し合う。隣り合って転がってお互いの顔を見つめ合う

『お姉ちゃんは今迄何人の人と付き合ってきたの?』
『え……?』
何だかアキちゃんと理想を語り合う事はあったけど、
今迄の恋愛遍歴について話す事はなかった。
むしろ好きな人に知られたくなくって躱そうとした。
『あは…。そう言う質問は自分から答えるべきよ!
アキちゃんが言ったら言っても良いよ!』

アキちゃんこういう話苦手って知ってたから言ったのに

『今迄付き合っていた数は六人だよ。初めて付き合ったのは
中学三年生。その時は何もしなかった初体験は高校生……初体験以降は
中学生の時みたいなドキドキは無くなってたなぁ』


ええ??六人って多いなぁ…じゃなくて何ペラペラ喋ってるんですか?
そんな事……

私の驚きを他所にアキちゃんは私の目を見て
『他に聞きたい事ある?…俺答えるよ』
『何で言うかなぁ?…六人って多いし…って言うかね
アキちゃん良く平気でそういった事話せるね?私は恥ずかしいけどなぁ』


アキちゃんは少しむくれつつも

『鮎が言ったら言うって言ったから……
それに鮎の遍歴を知りたいって思ったから
教えてよ』



『‥‥‥三人』
アキちゃんの照れつつも真剣に聞いて来るから
思わず答えた。
ああ……猾い。
私、いつだって貴方に弱いよ?
お願いなんてされちゃったら断れないんだよ?
知ってるよね?
知っててこんな事言ってくる本当に貴方は猾い人。
大好きで大好きで溺れ死にそうになってる私を貴方
追い詰めてる確信犯なのだ。

続きは一夜の情事06に続けようと思います。