明日は参議院選挙です。
日本の行く末を占う意味で大切な選挙になると思います。
日本人の意識と、日本人の選択を問われる選挙だと思います。

我々が、その代表を選ぶ参議院ですが、案外、参議院の意義といったものを考えずに投票しているのではないか・・・と思います。
僕自身、過去の投票ではそうでした。

wikiの参議院の項 を見てみると、
参議院の役割の欄で、
「・・・衆議院(総選挙)の大きな役割として民意の集約、政権の選択ということが導かれる。

相対的に参議院は政権に対して一定の距離を保ち、多様な民意の反映、政府に対するチェック機能といった機能を有するものと言われてきた。したがって、衆議院とは異なるプロセスで選挙や審議を行い、多元的な国民の意思を反映することが期待される・・・・」

と解説されています。
また、良識の府の欄では、
「内閣にとって多数派の支持が必須となる衆議院は、逆に言えば通常は内閣の存立基盤であり、政府を監視し、その過誤を是正するといった機能は、参議院の方により強く期待されることとなる。・・・・」


つまり、こういった意味合があると僕は理解します。
衆議院は、政権の政策を審議する議会である。与党から総理大臣が選ばれるのだから、大多数の議員を与党で占める衆議院は、政権を支持しやすい。ゆえに参議院では、そんな衆議院を通過した法案が民意を反映しているのかをチェックする議会である。
ならば、衆議院選挙と参議院選挙では、投票する判断基準が異なるのが自然です。
しかし、通常は、ねじれを嫌い衆議院も参議院も同じ政党を支持する向きがあります。
その結果、僕の周りでも参議院の存在価値に疑問を持っている人もいます。
昨年、多くの注目を集めた安保法案の結果を見ても参議院での議論に意義があったのか疑問です。結果ありきの決議ではなかったのでしょうか?











専門家を初め多くの国民が、少なくとも安保法案に慎重でありました。
それを強硬に採決に結びつけたのが、現在の政権です。
そして、参議院も多数決により可決したわけです。
本来の参議院の役割からすると、民意に反した法案は、否決されるべきです。
しかし、与党の議員数により決められました。
つまり、参議院議会が機能していなかったと考えられます。

では、今回の選挙に求められるのは、本来の参議院議会の役割を全うできる議員を選ぶことではないでしょうか?
しかし、実際国民の関心は、
「年金など社会保障」
「景気や雇用」
「子育て支援」
といったところです。
参議院も立法機関であるからそういった選択基準も間違ってはいないと思います。

今回の安倍総理の主張は、
アベノミクスの評価だと言います。
約束した消費税の増税を反故にした評価をこの参議院で問いたいと言っています。
それに反し、麻生副総理は、参議院で国民の信を問うのは異例のことだと反対していました。
本来は、政権を選択する衆議院で問われる性格のものだからです。


ここで大切なことですが、いくら参議院で野党が議席を増やそうとも政権は交代しないということです。
今回、仮に野党が大勝利を治め、与党より数で上回ることがあっても安倍政権は続けられるわけです。
自民党内での責任問題は発生するでしょうし、政権に大きなダメージを与えることと思いますが、アベノミクスを続けることは可能ではないでしょうか?
いままでに、解釈を変更して、都合の良い理屈をこね、新しい判断だと言い放つ政権ですから、どうにだって言うでしょう。
仮に自民党総裁が変わっても、アベノミクスを継続することはできると思います。

そういった政権を見張れる人材こそ参議院に必要なのだと思います。
安倍総理は、「アベノミクスを進めるか、民主党時代の暗黒時代に逆戻りするのか。」を問うていますが、参院選においては的外れだと僕は思います。

前回の衆議院選でもアベノミクスを問うといいながら、大勝利を治めるや、国民の信を得たと憲法解釈を変えてまで、安保法案を成立させました。
野党が警戒するもの、同じことをまたするのではないか?
ということです。

すでにメディアも投票結果の関心は、憲法改正の国会発議に必要な3分の2(162議席)を獲得するかどうかになってきています。
時事通信 7月8日(金)19時5分配信 の
「3分の2」攻防、最終盤=改憲論議は深まらず【16参院選】 」という記事では、
「首相は今年に入り「改憲を考える人たちと3分の2を構成したい」などと繰り返しており、改憲を最大の目標としているのは明白だ。首相を代弁するかのように、高村正彦副総裁は5日のBS番組で参院選後の改憲論議について、「(衆参の)憲法審査会で特定の条項を探す努力は始める」と表明。緊急事態条項の創設や、参院選挙区の「合区」の解消などを改憲項目として示した。」

もとより、安倍総理は、
今年は参議院選挙を足掛かりに改憲に挑戦することを宣言しております。七色堂「改憲を目指して」 参照)
昨年、多数決によって歴史的な安保法案を成立させた安倍内閣です。
また民意に反してまでも憲法を改正させる可能性があります。

安倍総理は、野党を「理念も政策も違う。典型的な野合。無責任の象徴だ」と非難しますが、政権をチェックする参議院の役割において、まず政権の暴走を阻止するべく協力するのは当然で、各党の理念や政策は二の次になるはずです。
むしろ、そこまで日本の国会、立憲主義は危機に陥っており、野党が結束するしかない状態に日本はあるわけです。
それを野合だと非難するなら、それは、そういった選択を余儀なくされた現状への反省がないのだと思います。

政権は、権力を持っています。その権力を持つがゆえに、自民党の議員の奢りとも言えるような不祥事がどれだけ報じられたでしょうか?
そういった与党のあり方を問うのが、今回の争点になるべきだと思います。

確かに、経済や社会保障は大切で、身近なものです。
しかし、今、日本の民主主義が問われている局面にきていることを理解するべきではないでしょうか?
前の日記にも書きましたが、

「国民主権、基本的人権、平和主義をなくさなければ本当の自主憲法とは言えない(元法務大臣の言葉…)」
「日本にとって一番大事なのは、皇室であり国体」
「国防軍の創設を憲法草案に提出した」

「尖閣諸島を軍事利用しよう」






といった人達が国を動かそうとしています。
こういった思想が民意に沿っているのかを審議するのが、参議院議員の使命だと思います。
政権に倣えの参議院ではなく、暴走にストップをかけられる人材が求められていると思います。

僕は、思います。
「政権の暴走を止められるのかどうか」
これがこの選挙の争点になるべきだと思います。
別に、野党に投票すべしだと言っているわけではありません。
与党の中にも暴走に待ったをかけられる人がいれば、その人は価値があると思います。
公明党も自民党を監視するのが存在意義だと自負しています。
しかし、実際は機能しておらず創価学会の一部からも非難されている状態です。

政権の利権にあやかり、本来あるべき政治家の姿とかけ離れた国会議員はもうまっぴらごめんなのです。