オーストラリアにカカドゥ国立公園という世界遺産があります。
NHKの世界遺産ライブラリーから、ここの紹介をいたしますと、

「夏、気温が40度を超えるしゃく熱の大地、カカドゥ国立公園。そのため開発が進まず、太古のままの自然が残された貴重な動植物の宝庫となっています。
オーストラリア大陸では、およそ5万年前から、先住民族アボリジニの人々が暮らしています。アボリジニは、森羅万象すべてのものに精霊が宿っているとし、その物語を岩絵にして伝えてきました。岩絵は神話の舞台であり、聖地なのです。その数は、カカドゥだけで5,000か所以上。2万年前のものもあります。
カカドゥ国立公園でレンジャーの仕事をしているジェフリー・リーさんは、アボリジニの部族の長。ジェフリーさんの一族が受け継いできた土地クンガーラには、部族の守り神であるアオジタトカゲの岩絵があります。
1970年、そのクンガーラで世界有数のウラン鉱脈が見つかりました。そして、将来の鉱山開発が見込まれたクンガーラは、カカドゥが国立公園になるときに登録区域から外されてしまったのです。先祖から受け継いだ大切な大地が、開発によって姿を変えてしまうことを恐れたジェフリーさんは、独り反対し続けます。その後、ついに2011年にクンガーラの世界遺産への組み入れが決定したのでした。
今、カカドゥでは、継続している文化の中で世界最古といわれるアボリジニの文化を、次の世代へつなぐ試みが始まっています。」

先住民であるアボリジニの聖地、クンガーラはウラン鉱脈の開発のため、当初国立公園から外されたようです。
そこで、アボリの族長が聖地保護のため活動をし、先祖から受け継ぐ聖なる地を世界遺産に組み込むことに成功し保護されるようになったということです。

その活動は10年の歳月をかけ、ユニセフでの演説やオーストラリア政府、自治などを動かし、ついに2011年6月27日、世界遺産組み入れが決定されました。


日本の聖地を巡礼している僕たちには、この聖地保護の話はうれしいものですが、実はこの話は日本の原発に関係の深い話でした。
8bit Newsというサイトの 2014/12/11 の記事に「東電福島第一原子力発電所にウラニウムを供給していた鉱山からのメッセージ」という記事がアップされています。
その記事を紹介いたしますと、

「東日本大震災、東電福島第一原発事故から約一カ月後、オーストラリア先住民アボリジニの女性イヴォンヌ・マルガルラさんが、国連のパン事務総長宛に手紙を出した。

手紙の内容には福島で起きている原発事故を見て、もうこれ以上、オーストラリア先住民族の地からウラニウムを掘り出さないよう世界に働きかけてくれと要請している。

彼女の故郷から掘り出されているウラニウムが、福島第一原子力発電所で使われてたからだ。(レンジャーウラニウム鉱山)

またその30キロ離れた南側のクーンガーラには、同じようにウラニウム鉱床があり、フランスの原子力企業アレバが開発をしようと先住民の男に五千億円の保証金を提示した。

ジェフリー・リーの名前を覚えておいて貰いたい。その保証金に背を向け、先祖代々の地を鉱山開発から守り、後世へもそのまま受け継いで貰おうと国立公園に登録させたジョク族最後の長。福島第一原発事故の終息の見通しも立たないまま、再稼働に向けて動こうとする日本へ、彼らがメッセージを発信した。」


クンガーラから南のウラニウム鉱のウラニウムは福島原発で使用されていたものだそうです。
冒頭の動画は、それに関する動画とアボリの族長の日本人に対するメッセージです。
メッセージというより嘆願と言っても良いと思います。

それによりますと、
聖地クンガーラの南30kmに位置する世界最大級のウラニウム鉱山であるレンジャーウラニウム鉱山は、1970年代自民党の田中角栄政権がオーストラリア政府に働きかけ、先住民や市民の反対を押し切った形で操業されました。
1980年の操業以来、約80平方キロメートルの高大な森林地帯を伐採し、その鉱山から漏れ出した汚染水事故は200回以上あり、周辺河川への影響は大きな懸念とされています。
川下の住民は、その川からとれる魚を食料としており、奇形の魚も捕獲されているそうです。

このレンジャー鉱山の北30kmにある聖地クンガーラに対しフランスの原子力企業アレバ社が開発における保証金として50億ドル(5千億円)を族長に提示したそうです。
族長は、その申し出を拒否し先祖から受け継ぐ聖地を守りクンガーラは、世界遺産に取り組まれました。

しかし、族長は心配しています。
日本の原子力発電所の再稼働が始まればウラニウムの市場価格は上昇し、レンジャーウラニウム鉱山の更に地下を掘る第三次採掘計画レンジャー3が本格化する。
北側には、オーストラリアのウラニウム総量の約40%を占めるジャビルカウラニウム鉱床があり採掘権を持つ鉱山会社が開発をあきらめていない。

だから、日本人に対して原発を再稼働しないようにお願いしています。

依然、「解放すべきでなかった天王」というタイトルで、
ナバホ族は、ウランを地上に出すべきものではなく、地中にとどめておくべきものとして、認識しており、
もし、それが解き放たれるなら大きな禍をもたらすと言い伝えられてきました。
という話を書きました。

自然と共に生活していた先住民族は、共通して人々に害するものは禁足地として祀り、人が近寄れない聖地としていました。
この精神は、日本人の中にも共通すると思います。
山の神、海の神と共に生きる古代日本人、特に縄文人は自然を、時に神の脅威として恐れ祀り、
また人間の生活を保護するため手を加えてはいけない場所を人が立ち入れない異界と考え聖地化していました。
聖地には人間が制御できない特別なエネルギーが存在いているのだと思います。
そういう精神性を理解できるのが日本人だと思います。

これも七色堂の過去記事ですが、
「日本の精神教育」にこのようなことを書きました。
「新撰姓氏録 には、多くの渡来系氏族の名が連なっています。
ここには、
「諸蕃氏族と分類される秦、大蔵など326氏が挙げられている。諸蕃氏族は、さらに5分類され、「漢」として163氏、「百済」として104氏、「高麗」(高句麗を指す)として41氏、「新羅」として9氏、「任那」として9氏がそれぞれ挙げられる。
また、これらのどこにも属さない氏族として、117氏が挙げられている。」
ちなみに、新撰姓氏録には時の中心であった、京と近畿の古代氏族1182氏が記載されていますが、そのうち上記の渡来系は約3分の1が渡来系の血筋となっています。
尤も、近畿以外にも日本人が多くいたでしょうし、常陸や武蔵などの東国にも渡来人は住んでいました。
それらの血は現在にも受け継がれていると思います。」

平安時代の中心的氏族の先祖の3分の1が渡来人だというのです。
おそらく我々の多くの人の血には、渡来人の血が混ざっていることでしょう。
現代、何々人は・・・と言って醜い言葉でののしる人達の血にも、その蔑んだ民族と同じ血が混ざっている可能性は高いと思います。

しかし、我々は、日本人として自覚しており、それを支えるのは、血ではなく精神性だと思います。
多くの渡来人も日本の風土と文化に触れ日本の精神を取り込み、日本の神々と自然を崇拝し日本人化していったのだと思います。
逆にいうと、この精神性を忘れた時が、日本国籍を有していても日本人ではなくなるのだと思います。

和を尊ぶ日本人、自分だけが良いという価値観で生きる人が住む国がどんな国になるのか、よく知るところです。
そんな国の人間がどんな行動をするのか我々は良く知っています。
そして、現代の日本もそういった精神的退廃の道を進んでいるように思います。


聖地を守るために5千億円に目もくれなかったアボリの族長。
地方の開発のために多額の補助金を受け、自然災害が原因とはいえ先祖の地を奪われた人々。
過ちとは言えないのかもしれませんが、同じ悲劇を繰り返さないために、我々は未来を選択しなければなりません。
原発再稼働を公言した安倍政権。
選挙に勝てば、何をしても国民の支持を得られたと認識される現代の民主主義。
そんな政治家を選んだ我々国民。

グローバルな意識、国際人とは外国語を操れるというのではなく、
世界市場で活躍する人というのではなく、
自分の行い、日本の政策や、活動が、世界にどんな影響を与えるのかを考え選択できる人だと思います。
オーストラリアの聖地を守るためにも、自分の国の利益だけを考えるだけでなく、ウィンウィンの活動になれるような選択をしてもらいたいものです。

昨今、縄文の女神、縄文人の精神が復活してきております。
日本を取り戻そうというのなら、
この日本人の精神を取り戻さないといけません。
聖地を巡るというこてゃ、そんな精神を学ぶということでもあります。
歴史にみる、政治による神々の苦難。
奪われた庶民の信仰。消された神々。
巡礼を通してそんな歴史に触れることがあります。
そのような歴史は現代にも通じるものがあります。
耳障りの良いフレーズに惑わされず、本当に必要な根本を見極めたいと思います。

今年もあと二日です。
これが今年最後の更新となります。
あまり更新できませんでしたが、こんな稚拙なブログにも毎日訪れる方々がいらっしゃって本当に感謝です。
来年は、さらに激しい年になるような予感をもっています。
しかし、反面、良いことも栄えるようなメッセージも感じております。
とにかく未来は続きます。
意識の名のもとに、よりよい選択をできるよう来年も頑張っていきたいと思います。

本当に、今年一年ありがとうございました。
一緒に巡礼したリアルの友。
ブログつながりのお友達。
名も知らない、このブログの読者諸氏。
感謝と今後のご多幸を祈念しつつ今年の最終記事といたします。

来年もマイペースですが、
書きたいことがあるときに、好きに文字を綴っていきたいと思います。
今後とも、変わらぬお付き合いをお願いいたします。