【2025年 テレビドキュメンタリー10選(民放編)】
2025年に視聴した民放ドキュメンタリー239本(放送時間30分以上の枠)の中から、特に優れていた・印象深かった10本を選びました。順位なし、視聴日順です。作品数は2024年(243本)と大差ないものの、年間ベスト級作品が28本から18本に大きく減ったのは、予算・人材面で制作体制が厳しさを増しているからなのか、それとも視聴者の求めるものに合わせすぎているからなのか…ただ、特筆すべきはKTS鹿児島テレビから3本もこの10選に入ったこと。うち2本は全国放送されていません。予算も他局と比べ特別大きいわけではなさそうだし、丁寧な取材・つくりでこれだけの成果を出していることは一考に値します。NNNドキュメントもテレメンタリーも、2025年は“戦後80年”関連作が多かったものの、つくり・内容に疑問を感じるものも多く、良い作品はあれどそのレギュラー2枠から10選にまで入る作品はありませんでした。一方で、FNSドキュメンタリー大賞エントリー作品からは3本がイン。良い作品は、尺が長くなるほど作り手のモチベーションが作品にもより濃く表れて見応えもアップするので、ANNもFNN大賞と同じボリュームの“テレメンタリーPlus”を始めたのは正解だったと思います。では、以下2025年の10選と寸評です(詳しくは各月の時評で書いています)。①『マダムナンシー 鄭徳財の人生』(NBC長崎放送)②『僕らの道』(KTS鹿児島テレビ)③『78年目の和解 サンダカン死の行進・遺族の軌跡』(SBC信越放送)④『こうして僕らは生きている』(KTS鹿児島テレビ)⑤『虚像 桐島聡とウーヤン 連続企業爆破事件 半世紀の逃亡』(RCC中国放送)⑥『冤罪と元非行少年 殺人事件 38年間の戦い』(FTB福井テレビ)⑦『出口なき部屋 介護離職 救いはどこに』(KTV関西テレビ)⑧『風になりたい 違いが奏でるハーモニー』(RNB南海放送)⑨『警察官の告白 鹿児島県警 情報漏洩事件を問う』(KTS鹿児島テレビ)⑩『救いの時差 ある小児がん医師の呻吟』(名古屋テレビ放送)ベストディレクター:前田慎悟(KTS鹿児島テレビ、『こうして僕らは生きている』『警察官の告白』)ベストプロデューサー:四元良隆(KTS鹿児島テレビ、『僕らの道』『こうして僕らは生きている』『警察官の告白』)ベストディレクター・プロデューサーは迷いなく鹿児島テレビのおふたり。②④⑨と鹿児島に暮らす人々をじっくりと静かに、そして警察絡みの重大事件を鋭く濃密に映し出し、一度観たら忘れられない、そして何度観ても飽きないほど力のある3本(前田ディレクターは④⑨の2本)を送り出したことにただただ驚愕。第2次大戦・戦後80年絡みの作品には安易なものも散見された中、①③は人も背景もしっかりと映すことで歴史の連続性と複雑さを感じさせる、他とは一線を画した深いつくり・内容に圧倒されました。言葉で簡単にまとめられるようなものではなく。桐島聡が主人公の劇映画が2本公開された中、桐島の出身県・広島のRCCが撮った⑤はドキュメンタリーならではの視点が生きていて、特に桐島を知る人々が一堂に会するシーンがとても良かったです。⑥は佐野元春の『グッドタイムス&バッドタイムス』を軸に組み込むことで、他の冤罪被害者ドキュメントとは異なる深み・厚みが出て、前川彰司さんの気持ちをより強く感じることができました。⑦⑧⑩はとにかく完成度が非常に高く、カンテレ、南海放送、メ~テレと、各種放送賞の常連局の底力をしかと見せてくれて、さすがの一言。あすはNHK編です…!(ご意見・ご感想はtwitterからもどうぞ)https://x.com/amaguribouzu