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「金の国 水の国」(岩本ナオ)

こういう、ファンタジーものの話が読めない私が
珍しくこれを読んだのは、
ネットで見た広告のひとコマが
とても気になったから

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結婚相手を選ぶ時のコツらしいが
なぜこういう結論に至ったか
が気になって、読み始めたのです。

そしたら、まず
おとぎ話として、とても魅力的で面白く

そして、おとぎ話なのに、登場人物のキャラが
超リアルで、心情もすごく共感できて

お正月早々
とても幸せな気持ちになれました。キラキラ



発端は、隣り合っていがみあってた
A国とB国の仲をおさめるために
神様が、こう命じたこと。

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ところが、相手の国を憎んでいる
両国の王様は、
真逆のことをした。

「国で一番美しい娘」は、
100人くらいいる王宮の姫君の中で
一番パッとしない、
地味で小太りな姫。

その内気でおっとりした性格のため
ほかの姫君から、バカにされ
まともに相手にされていない存在

でも、だからこそ
この人身御供みたいな結婚話も
黙って受け入れるわけです。


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一方、「国で一番賢い若者」は、
やはり、変わり者で
王宮からはみだしている、
土木工事マニア。

興味はただひとつ

国から予算をぶんどって
大きな工事をすることだけ


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このあたりの人物設定が
超リアルで
「あるある」なので、
おとぎ話なのに
すごく親身になって読んでしまう


そしてもっと親身になってしまうのは
それぞれの王様が、
相手の国を侮辱するため、

姫君のかわりに猫を
王子のかわりに犬を
相手に贈るのです。



それで相手を怒らせて
戦争をおこして 
一気に相手をやっつけよう、

という計画だったのですが、
この二人、とてもやさしい性格だったし
もともと、乗り気の結婚ではなかったので
その事実を秘密にし、
それぞれをペットとして
大事にかわいがる

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そしてある日、姫君の元に贈られた犬が
元の飼い主の家に帰ろうとして脱走。

それを追いかけて、
敵国に迷い込んだ王女を助けたのが
土木設計マニアの王子でした。

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そしてこの時のやりとりで
この、一見、小太りでパッとしない地味な王女の、
愛情あふれるやわらかな人生観に触れて
その心の美しさに
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一気に恋に落ちてしまう

そして王子は、一見栄えているように見える
A国の水源が、尽きかけようとしていることに築き

富はないけど、水だけは豊富な
B国から水路を引くことで
人々を救うことができる

愛する姫君のいるA国を救いたい

その一心で、
いろいろな人を巻き込んで
壮大な「騙し」をくりひろげる

それに協力するうちに
姫君は、自分の隠れていた強さを自覚するようになり

王子の志に共感し
協力する多くの「友」ができていく

というストーリー

面白いのは、この計画が遂行される後半、

ルックスだけで
美人のやり手王女に選ばれたイケメンの
演劇マニアの大臣が

(歌と踊りとトークがうまくてイケメンって
どっかで聞いたことがあるようなキャラ)

「どうせ自分は飾りの大臣
本当にやりたいのは芝居だけ」


という本音を吐露すると

「だったら、本気で大臣を演じてみたら」


という、王子のアドバイスで
ハッと自分の存在価値に気づき
計画に加担するようになる

そういう人たちがたくさん出てきて
最後はハッピーエンド

本当に、まるっきりのおとぎ話なのに
すごく胸に響く言葉がたくさん出てきて

心が洗われ、
ほっこり幸せになる


そういうコミックでした。

そうそう、私が読むきっかけになった
最初のコマのエピソードは

「美人で評判の姫君たちの中から
ひとりだけ、妻を選ぶとしたら
どうやって決める?」


と聞かれた時の
王子の答え。

結婚は夢物語ではなく

我慢することや悲しいことが
波のように押し寄せて来て

最初に感じた愛や恋は
どんどんすり減り、
違う何かに変わっていく

だから、選ぶべき基準は
一瞬の美しさや楽しさではない、

という答えの一部。
本当にステキな答えなので
ぜひ全部を読んでいただきたいです