この映画を見ようと思ったのは
*最近シリアスな映画が続いたので
思いっきり笑えるような作品が見たかった
*この予告だけでかなり面白かった
から。
↓
結果、予想どおり楽しく大笑いできて
スカッとしたし、
60過ぎた今だから共感できることが多々あり
いろいろな意味で面白かった。
『九十歳。何がめでたい』(24/日)
— ku-pa- (@4410_Kupa) June 29, 2024
佐藤愛子を演じる草笛光子がとにかくパワフルでチャーミング。実年齢で90歳を演じられる彼女の存在があってこそのこの企画、その役割を十二分に果たしている。
冴えない中年編集者吉川役で唐沢寿明が、バイプレイヤーに徹して良い仕事をしているのも見逃せない。 pic.twitter.com/mey9LRxdxb
手土産バトル
「編集者殺すに刃物はいらぬ
『古い』と一言言えばよい」
と(特に雑誌コンテンツでは)いわれているけど
唐沢寿明演じる、昭和型編集者の
アップデートできてなさを象徴してたのが
佐藤愛子への手土産チョイス。
虎屋、うさぎ屋、八天堂と
そりゃおいしいし老舗でまちがいないけど
有名で今さら珍しくもない、
ど定番ばかり。
新しいものへのアンテナの低さ、
「ばあさんだから和菓子を喜ぶだろう」
という頭の固さがにじみ出ている。
🐕🍡<おやつの時間だワン🎶
— 映画『九十歳。何がめでたい』公式 (@90_medetai) June 29, 2024
本編に登場する様々な手土産を紹介💁🏻
吉川(#唐沢寿明)が差し入れた
「小島屋」けし餅🎑✨
こし餡を餅皮で包んだものに
けしの実をまぶしたもの🤲
腱鞘炎だけど
差し入れはちゃっかり受け取る
お茶目なシーンです😋https://t.co/Zk0MuGZKUx#九十歳何がめでたい pic.twitter.com/yysU3Lz7kg
これと対照的なのが、
雑誌に見切りをつけてWEBメディアに転職する
若手編集者のチョイスの秀逸さ。
・マニアック
・珍しい
・パッケージのビジュアルが華やかでかわいい
(↑ここ大事)
・入手困難
なサブレで、そりゃ愛子先生も喜ぶし
連載を受けちゃうわ…
なんなら私も、あれ食べてみたいわ
90歳の凄さ
しかしなんといってもすごいのは
映画の大画面でのアップにも耐える
草笛光子さんの美しさ…。
あと、映画の中のファッションも
年齢相応の落ち着きがありつつ
この年でないと出せないエレガントさがあって
すごく参考になった。
年をとるとどうしても肌の色がくすむけど
だからこそ年をとるほど、
服のきれいな色が映えるんだな
と思ったり、
年をとることは細胞が古くなることであり
ゆえにほっておくとどんどん
汚らしくなっていいくのはしょうがない。
だからこそ
清潔感=高級感=素材感
なんだなと改めて思ったり。
そして映画の最後に、
リアル愛子先生の幼少時から現在までの
ポートレイトが流れたが
若い頃の美しさ、愛らしさときたら
女優も顔負け。
↑
最後の叙勲のインタビューのリアル映像。
草笛さんも美しかったけどリアル愛子先生の、内面からの輝きも負けていない。
ハチのこと
エッセイの中に出て来た
愛子先生の愛犬・ハチのエピソード。
読んだことあるぞ、
と思い出した。
原作のエッセイ本が話題になった時に、
義母に送ったことがあり
その時に読んだのだった。
ハチのところは、読んだ時に
気がつくと涙がぽろぽろこぼれていたけど
映像で見せられると本当に、泣けて困った
(犬の愛情の純粋さに心を打たれる、
温かい涙ではあるけれど)
ダンナはもちろん、隣でえぐえぐ
泣いていた。
著作のこと
映画の最初のほうで、
愛子先生の過去の著作一覧が出てきて思い出した。
その昔、「血脈」を読んで、
その面白さにどハマりしたことを。
↑
「血脈」は佐藤愛子先生の代表作のひとつで、
愛子先生の父で妻子ある佐藤紅緑が、
美しい新進女優を
狂おしく愛してしまうことを発端に
「佐藤家の荒ぶる血」が巻き起こす
因縁の炎が佐藤家を焼き尽くしていく
圧倒的迫力と感動の大河長篇。
読み始めるともう止まらず
最後のほうになると
「終わらないで欲しい」
と切実に思った記憶がよみがえった。
その後、佐藤愛子先生の小説をいくつか読み
大人、というか初老の男女の恋愛小説で描かれた
外からはわからない、疼痛のような痛みに
またまたハマった記憶が。
そして20代では
娘の響子さん(わたしと同年代)とのやり取りを描いた
「娘と私の◎◎」シリーズを愛読していて
佐藤愛子先生が
娘のクールさを「気概のなさ」ととらえ
嘆いていたのを
響子さんの立場になって同情しながら
読んでいたのも思い出した。
「いいおじいちゃんになんかならなくていい
面白いおじいちゃんになれ」
と愛子先生は言ってたけど
それはそれで難しいのでは。
私はこれから、どう生きたら
面白いおばあちゃんになれるのだろうか。
帰り道、考えてしまった。
そして、映画館に、
いつもは見かけないシニアの方たちがいっぱいいて
元気になって帰られていく様子も
よかったなあ。