フェリーはやとも 2

7月29日に
阪九フェリーで九州に到着、
用事も無いので
1日関門海峡で船を撮り続けた後
帰路もフェリーを利用します

関西航路でも良かったのですが、
呉へ行く予定が有った為
今回は初めて
松山・小倉フェリーを利用します
今回乗船するのはこちら

フェリー はやとも 2 です

今年で就役から33年という
ベテランフェリーで
夜行フェリーに限らず
日本国内でここまで
古いフェリーが運航されているのは
他に無いのかな?と思います

運航者も
関西汽船、フェリーさんふらわあを経て
現在は石崎汽船傘下の
松山・小倉フェリーが行っています

以前は
関西汽船時代から受け継いだ
伝統の船体塗装でしたが、
2019年の大改装にて
石崎汽船の真っ白な塗装に変更されています

ちなみに
船名に「2」が入っていますが
関西汽船の「はやとも丸」を
本船が代替した事にちなみます



北九州の夜行フェリーは
多くが新門司港発着へ移行した後も
関門海峡の航行規制を受けない
中型フェリーを運航する
松山・小倉フェリーは
小倉港を発着しています

車両の動きや人の姿もほとんど無く
待合所がポツリと建っているだけです
ただし小倉駅からも近く
近隣に北九州スタジアムも有るので
にぎやかです
出港は21時55分ですが、
乗船券の発券は
小倉港では19時30分より開始します

ちなみに松山観光港では
20時30分からで時間が違う為
注意してください

発券するとすぐに
乗船出来るのかと思っていましたが、
乗船開始は
21時からであった事を忘れており
待合所で1時間半待つ事になりました

ネット予約をしていても
乗船名薄を改めて記入して
提出する必要が有るのも久しぶりの経験です

窓口では新型コロナウイルス対策として
検温も行われます

先述の通り、
本船は古いフェリーの為
大改装により個室は増えたものの
客室は相部屋が中心的です

それほど混雑する航路では無いものの
今回は1等B室を貸し切り利用としました

2名定員の客室の為、
貸し切り料金が必要であり
1名分プラス半額料金合わせて
¥16650と
7時間の航路にしては
非常に高額な運賃が掛かります






乗船待ちをしている間に
すっかり日も落ちて夜になりました

ブリッジにも灯りが点灯して
出港準備が進められています

古い船にしては
ライトもあちこちに有り明るい船で
夜間でも撮影が簡単です

ファンネルマークも
しっかりライトアップされていて
石崎汽船の〇一マークが輝いています
定刻の21時より乗船が開始されました
乗船時間前になると
意外と人が集まってきました

本船はタラップを利用した乗船です
一度車両甲板に乗り込み
再度船内の急な階段を
登っていくスタイルで
なつかしさを感じます

エレベーター等も無いので
ス一ツケース等を
持っていると大変かと思います
入ってすぐのエントランスです

現在の大型フェリーでは
エントランスは
豪華で開放的なスタイルが中心ですが
少し豪華なくらいで
シンプルなスタイルは時代を感じさせます
今回は個室利用の為、
案内所で部屋のカギを受け取り
客室へ向かいます
旅客区画は中央のロビーを境に
前方を1等以上の上等船室区画、
後方を一般船室区画に分けています

上等船室区画はカーペット敷となっており
雰囲気も高級感が有りますね
大改装で最も大きく客室に変化の有った
1等室の区画です

大改装にて
かつての1等室を2つに分割し
個室化を行っています

窓有りテレビ付きで
少し大きな部屋が1等A室、
1等B室は窓無しテレビ無しとなります

1等B室は元々の1等室のドアのままなので
A室とB室では扉の色も違いますね
この日利用した1等B室の客室です

さすがに1つの部屋を分割しただけあって
想像以上にコンパクトな客室でした

窓なしではありますが、
レイアウト的にはアウトサイドの為
この外側は外板1枚となるので
意外とスマホの電波が入ります
べットは2段ベットです

それほど大きくはないベットですが、
大人でも一応十分なサイズではあります

ここでは写っていませんが
枕元に明るいライト、
コンセントが付いているのは
ありがたいですね
客室の中には洗面台も付いています

部屋の中で洗面が出来るのも
嬉しいポイントです
洗面台にもコンセントが2口付いています
1等室なのでゆかた と 
アメニティセット(タオル・歯ブラシ)
が付いています

アメニティセットのタオルは
無地のただの夕オルでした
ロゴや文字が入っていると
嬉しかったのですがちょっと残念
ゆかた のデザインは
関西汽船時代のものです

確かさんふらわあの別府航路も
このデザインだったはずです
特等客室区画は
専用の浴室が備わっています
専用とはいえ
洗い場は2ヶ所、湯船も小さいのが難点です

メインの浴室自体も
それほど大きくはないので
区別化されているのは
ありがたいものです



右舷側には
「はやともの間」と名付けられた
畳敷きの大部屋 と 
扉無しの畳敷きの大部屋の2ヶ所の
フリースペースが有ります

2ヶ所のフリースペースの間には
お湯のポットと冷水機も有ります
船体後方の一般旅客区画も見ていきます

上等区画が
カーペット敷きであったのと比べると
かなり印象も違います

ビジネスホテルの様な雰囲気です
こちらは一般の浴室入口です

今回は
上等船室用の方を使いましたが
こちらもそれほど大きくはない様です
浴室入口横には
長いビニールソファを設置

周りの雰囲気を含めて
合宿所の様な雰囲気が有ります



旅客区画2階へ上がる階段は2ヶ所
特に装飾のない無機質な感じが
また味のあるスタイルです

旅客区画はほぼ1階にまとめられており
2階には大部屋のみが有ります

展望デッキに出るには
ここを利用すると便利です
デッキに出てきました

船が小さいので
デッキもそれほど大きくは有りません
デッキの前半分は船員区画の為
一般立入禁止となります

舷側にかなり大きなべンチレーターが
たくさんズラズラと並んでいるのが
面白く迫力も有ります

ファンネルマークも
しっかりとライトアップされています
石崎汽船の〇一マークです

関西汽船時代は白帯、
フェリーさんふらわあ時代は塗りつぶし
と本船のファンネルマークも
変化してきました


マストの下側に有る四角い区画は
2等の大部屋です

消灯前ですがカーテンが引かれ
電気も点灯していないところを見ると
団体用や多客時用なのかもしれません
後部マストを備えているというのも
カッコ良いスタイルでしょう


出港時間も近付いてきたので
そのままデッキで待ちます
出港の少し前に
オートバイを1台積み込み
ランプウェイが上がりました


定刻21時55分にホーサーも外れて
スクリューも回りはじめ
エンジンがうなり始めました

定刻で小倉港を出港し、
松山観光港へ向け
約7時間の航海が始まりました

出船着けの為、あっという間に増速し
陸から離れていきます
小倉の夜景を右手に
日本製鉄所 戸畑を左手に見ながら
夜の関門海峡へ船は向かっていきます
デッキは3段構造で
一番下のデッキだとかなり海に近く
波音が近くて迫力が有ります




出港から30分ほどで
関門海峡を通過していきます
小倉港は関門海峡から目視できる位置なので
あっという間です

最大の見どころ
関門大橋の通過もしっかり見られました

関門海峡の通過を見た後は
あまりゆっくりしている暇はありません

浴場の開放は
23時30分までとなっています
カメラを片付けて手短かに入浴を済ませます

入浴を済ませた後は
残りの船内設備を見ていきます
左舷側の細長い謎スペースです

ここは大改装前までは
軽食堂が有った場所です

深夜航路につき
需要はそれほど多くはなかったものの
本航路の最大の難点は
供食設備が無い事です

この軽食堂のおでんは
松山・小倉航路の名物で
ファンは多かったとか

一度も食べる事が出来なかったのは
本当に残念です

軽食堂も無くなった事により
食事用のテーブル等も撤去されたので
大改装後ロビーの雰囲気も
真っ白で無機質な雰囲気に
大きく変わってしまいました

軽食堂は無くなったものの
船内売店も短時間ながら営業中です

アルコール飲料については
乗船時間の短かさから
売店営業時間中のみ購入出来ます

おみやげ品、日用品等一通り揃っています
自動販売機コーナーも充実しています

先述の通り供食設備は無いので
ごはんを食べ忘れると
カップ麺以外には
基本的に食べられるものが有りません

アイスの自販機が嬉しいですが
ナゼか1種類以外は全て売り切れでした

船内の掲示物を少し眺めたりして
朝も早いので客室に戻って休みました

次の日の朝は4時半頃に起床、
さっそくデッキに出てみました

入港時刻定刻の30分ほど前ですが
すでに目の前に松山観光港が見えています


まだ始発便も出ていない
夜明け前の松山観光港の姿を見るのは
初めてで新鮮です

松山観光港は石崎汽船の拠点なので
スーパージェットも揃い、
始発便を勤める旭洋丸も居ます


定刻5時より若干早く着岸しました

本船は到着が早朝の為、
7時までは船内休憩が出来ます
今回はそれほど急いでいないので
7時までゆっくりしました

ただし、
一旦夕ラップが外され
6時半頃までは下船出来なくなるので
お急ぎの方はご注意下さい
明るい時間帯でデッキを見ると
床面が痛んでいるのが目立ちますね

歩くだけで床面のペンキがパリパリと
音を立てます
後部マストには
ファンネルマークとおそろいの
社旗が掲揚されています
朝6時となり呉・松山方面の
フェリー始発便
石崎汽船「旭洋丸」が出港していきます

奥には就役前の「翔洋丸」が停泊中、
さらに奥には中島汽船の「ななしま」が
高浜港へ向け航行中です

石崎汽船、松山・小倉フェリー、
中島汽船の3社が
真っ白な船体色になってしまい
個性が無くなってしまうのは
ちょっと残念です

旅客区画1階の後方デッキは
端部が船体よりも外側に張り出しているので
角に立つとちょっと怖いくらいです

さらに下段のデッキにも
下りる事が出来ます

係船装置等と同じ高さなので
見ていて面白い場所です



タラップも掛かり下船乗内も流れた為、
荷物をまとめて下船しました

松山観光港の
長い連絡通路を一番奥から歩くのも
なかなか面白い体験でした


船齡30年超の
べテランフェリーに乗るのは
とても良い経験になりました

この時代の船を使い続けるのは
本当に大変な事であると思います
もちろん古さやガタは明らかですが
よく手入れされて
大切に使われている事を感じました

供食設備が無くなった事は
仕方はない事ではありますが
運賃がサービスと比べ
非常に割高である事は
難点の1つであると感じます

今度はドックダイヤの
昼行便も使ってみたいと思います

フェリーはやとも 2

船種 フェリー

船籍 日本

所有者 石崎汽船

運用者 松山・小倉フェリー


建造所新来島どっく大西工場


航行区域限定 沿海

船級 JG

信号符字 JI3311

IMO番号 8700448

MMSI番号 431300791


経歴

起工 1986年6月

進水 1987年

竣工 1987年

就航 1987年9月23日

現況 就航中


要目

総トン数 4,238 トン

全長 119.0 m

幅 21.0 m


機関方式 ディーゼル

主機関 神戸発動機2基

推進器 可変ピッチプロペラ 2軸

出力 11,200馬力


最大速力 21.5ノット

航海速力 18.0ノット


旅客定員 756名

車両搭載数

トラック73台、乗用車41台