天の川の両岸にいる彦星(牽牛星)と織姫(織女星)が年に一度再会する夜だ。もっとも年に一度の逢瀬などというロマンは、万事がコンビニエントな現代の若者にはピンと来ないだろう。でも、会いたくても会えない人を恋い焦がれるというじれったさは、人を大切に思う心に通じないだろうか。
閑話休題。七夕に聴く音楽としては、イギリスのグスターヴ・ホルストの管弦楽組曲《惑星》以上にふさわしい作品はない。太陽系惑星が「火星」「金星」「水星」「木星」「土星」「天王星」「海王星」の順に描かれる。「冥王星」がないのは、1920年の全7曲初演当時、まだ発見されていなかったから。後にお節介な作曲家が「冥王星」の音楽を書き下ろしたが、2006年に準惑星に格下げになってしまったから、もう「冥王星」付き《惑星》はお役御免だ。第4曲「木星」は、華やかな雰囲気の主部の中間に現れる、ノーブルで晴れやかなメロディが感動的な《惑星》中1番の人気作である。
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