執着はカルマのせいである

 

前回のブログ【自ら地獄行きを選択する人たち】では、生に執着することがこの世の地獄も、あの世の地獄も引き寄せてしまう、というお話をしました。

 

でも人間、なかなか執着心はすてられないんですよね。

 

わかっています。

 

『死後の世界のほうが、肉体という手かせ足かせがないぶん自由で快適なんですよ』

 

『この世にいても自分の肉体や命に執着しなければ、なにものにもとらわれず、なにものをも恐れず、いつも幸福と安らぎにつつまれた最高の人生がおくれるんですよ』

 

と聞かされても、『はい、そうですか』と納得してすべての執着をすてることができる人はそうそういないでしょう。

 

人間がそんなに素直に執着がすてられるのであれば、いまごろこの世は神様仏様ばかりのパラダイスになってしまっていることでしょう。

 

 

しかし現実はと言えば正反対で、この人間界は

 

・地獄の苦しみにあえぐ人

 

・人を支配してやろう、負かしてやろう、人の上に立ってやろうとする人

 

・なにを手にいれても満足できず、つぎつぎとわきあがる欲望にふりまわされている人

 

・食欲や性欲など快楽追求だけに生きている人

 

みたいに、地獄、餓鬼道、修羅道、畜生道が入り混じった混沌とした世界になっていますよね。

 

 

ただ、そんな六道の下位世界に落ちてもがき苦しんでいても(いや、『そんな下位世界の生活が楽しいんだ、生まれかわってもこんな生活を続けてやるぞ』という人も少なくありませんが)、なかなかその世界から抜けだそうといういう人はいないんですよね。

 

というか、そんな自分の世界こそが楽しく、誇りをもって生きられる最高の世界なんだとすら思っているふしも大いにあります。

 

虫やネズミ、ヘビなど人に忌み嫌われる動物であっても、人間に都合よく飼われているだけの家畜であっても、自分がそのような生物であることになんの引け目もなく、それどころかそんな自分であることに誇りすらもっている(かどうかはわかりませんが)のとおなじですね。

 

 

なぜ人間は、それほどまでに下位世界に執着してしまうのでしょうか。

 

じつは、これはヨーガや仏教でいうところのカルマ(業)のせいなのです。

 

 

カルマ(業)とは前世から持ちこした因縁のことなのですが、だから大半の人間は宿命として、そうやすやすとは執着をすてて天界や極楽にはいることはできないようになっているんですね。

 

 

わたしはこれまで、天国や極楽浄土にはいるには過酷な修行をしなければならないだとか、大金を払わなければならないみたいな、なんの根拠もないインチキ宗教のようなことは一切言ったことはありませんね、

 

ただただ、執着を捨てましょうとか、神様だけに心を向けましょうとか、心をおだやかに極楽の心境で最期を迎えましょう、といったように、お金のない人でも、頭のよくない人でも、老若男女問わず、だれでもいつでも、なんの努力もしなくても、すぐにできることしか言っていないはずです。

 

たったこれだけですべてが手にはいるにも関わらず、ほとんどの人間は六道の下位世界にいる自分が大好きで、そこから抜けだそうとしないんですよね。

 

そして、自分の欲望をなんでもかなえられるみたいなことを謳うインチキ宗教や金儲け集団に大金を払ったり、投資詐欺に引っかかったりして、ますます苦境に陥ってしまったりするんですよね。

 

 

はたから見ていると、悲劇か喜劇かわからないような人間ドラマが観察できて興味深くはありますが・・・

 

まあ、これがカルマ(業)の深さというものなんですね。

 

 

ただ人間として生まれたということには、ちゃんと意味はあります。

 

それは、下位六道の世界を抜けだすチャンスが与えられているということです。

 

 

人間界以外にいるときは、肉体がなく想念だけの存在となっているので、自分の価値観や意識を変えることができません。

 

なので、地獄や餓鬼道なんかにおちたら生まれかわるまでずっとそこから抜けだすことはできないのです。

 

これは、たとえ天界の住人であっても、そこから極楽(天国、神の国)に行くことはできません。

 

 

唯一肉体(頭脳)をもっている人間だけが、頭を使って下位六道に通じる想念をクリアにすることで天界や極楽にいくことができるのです。

 

そんな千載一遇のチャンスを得ていながら、みすみす見逃すどころか、人間界よりもさらに下の世界に自ら喜んでとびこんでいく人ばかりなのはですから、つくづく業の深さというものの恐ろしさを感じてしまいます。

 

 

でも、このブログを読んでいるあなたは、きっと今世で上位の世界にいける人だと思われますので安心してくださいね。

 

 

 

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