真理は体感しなければ理解できない
前回のブログ【昭和の偉大な哲人、中村天風】では、日本の真理探究者、中村天風について書きました。
今回は世界の真理探究者、マザーテレサをとりあげていきたいと思います。
ただ今回のマザーテレサは、中村天風とちがって真理を悟った人としてではなく、真理をもとめながら真理に到達しえなかった残念な例としてのお話となります。
人間的価値観が擦りこまれてしまっている人たちは、あの現代の聖母、偉大なる聖女マザーテレサが真理に到達できなかった、と聞かされても信じられないかもしれません。
『ウソをつくな。マザーテレサを侮辱するな』
と、わたしに怒りすら感じる人もいるでしょう。
しかし、これはマザーテレサ自身が知人にあてて書いた手紙で告白している事実なんですね。
その書簡は『マザーテレサ 来て、わたしの光になりなさい』という書籍にもなっていますし、もっとカンタンに概要を知りたい方はこちらのサイトを参照すればいいでしょう。
ようするに彼女は、死ぬまで神の存在への疑念と一向に満たされない心の闇とに悩み続けていたのです。
そして、それを知人の神父に手紙で相談していたのです。
人間世界では、偉人だ、聖女だ、ノーベル賞受賞者だともてはやされていても、心は空しさと孤独にうち震えていたんですね。
人間界では地位や名誉や肩書やお金というのは、持てば持つほど幸せになれると考えられていますが、マザーテレサの場合は逆だったんですね。
欲しくもないものばかりがドンドンはいってきて、神の臨在、イエスの光、魂の救いといった本当に欲しいものはなにひとつ手にはいらなかったのですから、かわいそうとしか言いようがありません。
それでは、なぜ彼女がこのようなことになってしまったのかというと、人間界のアタマの信仰(妄想)の犠牲になったのだと考えられます。
と言うのも、マザーテレサは神の遣いでもなければ、修行のすえ真理に到達したわけでもない、ただの修道女だったのです。
ところが、インドのスラム街で貧しい人々に施しや医療をあたえた慈善活動が注目されて、世間が一介の修道女を聖女だなんだともちあげ、神格化させてしまったのです。
そのため彼女はそれを投げ出すこともできず、死ぬまで神の遣いである聖女を演じ続けなければならなかったんですね。
もし、彼女がだれからも注目されていなければ、神の存在に疑念がわいたり、どうしても真実(真理)にたどりつけなかったりしても、カトリックの信仰を捨てるとか、真理を悟った人のもとに学びに行くとか気軽にできたはずです。
(インドですから本物の真理を教えてくれるヨーガの指導者や解脱者がいるはずですからね)
正しいけれど救われないカトリック教会
聖母マリアの再来かと言わんばかりに世界的な聖女とされてしまったマザーテレサは、唯一信頼できる知人の神父に信仰の相談をしていました。
それが死後、彼女の信仰の真実が明かされた手紙になるわけですが、彼女の悲劇は相談相手がおなじカトリック教会の神父しかいなかったところだと言えるでしょう。
カトリック教会にはいろんな儀式があり、ハッキリ言ってそれらはほとんど役にもたたないものばかりなのですが、カトリック教会だけでなくほぼすべてのキリスト教信仰のいちばん根底にある【とにかく神に祈りなさい】という教えだけは、本物なんですね。
これは、これは禅の【とにかく坐れ】というのとまったくおなじで、真理に至るのにこれ以上に正しい教えはありません。
ただし、これも禅とおなじで、それだけでは本当に神(真理)に到達できる人は何千人、何万人に1人ぐらいになってしまうんですね。
だから本当は、具体的なインストラクションがあることが望ましいのです。
あるいはインストラクションがなくても、真理を得た人に、実際の神のエネルギーを流してもらい体感することができれば、それだけでもおおきく進歩できます。
真理はアタマで理解するものではなく、身体(意識、幽体)で体感するものですからね。
というわけで、マザーテレサはそんなチャンスもないままに、聖女にまつりあげられてしまったため、死ぬまで世間の期待に応えるような聖女を演じ続けなければならなかった、というかわいそうなお話でした。
自分には『金も地位も名誉も才能もなにもない』といって嘆いている人は多いものですが、そんな人たちが一番かわいそうなのは、それだからこそ悟りに近いんだということに気づいていないところなんですよね。
さらに耳寄りな情報をつけ加えると、もしあなたが極悪人であれば、なお極楽往生は期待できるでしょう。
【善人なほもて往生をとぐ、いはんや悪人をや】
と親鸞聖人も言っていますから。
また、人間界で低く見られる人ほど天の国は近い、みたいなことをイエスも言っておられますよね。
真理をもとめる人には、この世は希望に満ちているのです。
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