【蟲神器 術図鑑】

№127『蟲の息吹(むしのいぶき)』
収録:スターターセット

消費コスト:1

術カード Nノーマル

テキスト:これを自分のエサ場に置く。 ※このエサのコストはこのターン発生しない。

 
通常、毎ターンに1枚ずつしか置くことができないエサを、追加でもう1つ増やすことができる、というカードです。
蟲神器に慣れていないと少し戸惑う方もおられるようですのでまずは理屈と使い方を解説したいと思います。
 
まずこのゲームにおけるターン中の流れですが、
 
1.ドローフェイズ → 山札からカードを1枚引く。
2.セットフェイズ → 手札から1枚、カードをエサとしてエサ場に置くことができる。(任意なので置かなくてもよい)
3.メインフェイズ → メインフェイズ開始時に自分のエサ場のカードの枚数だけコストを得る。そのコストを消費して虫を場に出す、術や強化カードを使う、虫で攻撃を仕掛ける、といったことを好きな順番で自由に行うことができる。
4.ターンエンド → 残ったコストは消滅。場に生き残った虫の体力は全回復。
 
といったものとなっています。
 
今回のエサ(コスト)の話でポイントとなるのは「メインフェイズ開始時にコストを得ることができる」という点です。
『蟲の息吹』を使用するのはメインフェイズとなりますのでコストが発生するタイミングはすでに終わってしまっているのです。
テキストの「※このエサのコストはこのターン発生しない。」と注意書きがされているのはこういう理由のためです。
似たような効果である『ミツツボアリ[1赤]』の【<蜜をためる>】にも同じことが言えます。
 
また、『蟲の息吹』を使うとき際は、『蟲の息吹』自身がコストを1消費することを忘れないでください。
例えば自分のエサ場にエサが2枚ある状態でメインフェイズに入り、『蟲の息吹』を使ったとしましょう。
『蟲の息吹』がエサ場に移動しエサとなるカードは3枚となりますが、このターンで発生し得たコストが2で、『蟲の息吹』で1消費したため、このターンではあと1しか消費することができません。
最初は少しややこしく思うかもしれませんが、仕組みをきちんと理解すれば難しくはないと思います。
 
 
で、結局のところ、1コスト消費して1コスト得る準備をして得してるの?という話になるかなと思います。
僕が考えるにメリットは2つあると思っております。
まず1つめは累計の獲得コストに差が出てくることです。
『蟲の息吹』を使用するタイミングとしてベストなのは1ターン目です。
前述のように次ターン以降で得られるコストを増やすためのカードなので早く出すほど恩恵を受けることができるからです。
また、1ターン目に得られるコストは全プレイヤー必ず1で、手札に消費コスト1の虫が無かったり、またあっても敢えて出さないと判断した結果、1コスト余らせてターンエンド、というパターンは少なくないんじゃないかと思います。
その余らせがちな1コストを有効に使うためにも1ターン目での使用がベストかと思います。
で、どれだけ得するかですが、次の表をご覧ください。

左が通常どおり毎ターン1枚ずつエサを置いていった場合の累計、

右が最良のパターンとして1ターン目に『蟲の息吹』を使用した場合の累計です。

差を見て貰えばわかるとおり、最大で9コスト多く獲得することが可能です。

実際には10ターン目まで対戦が長引くことはほとんどなく、おそらく7~8ターンくらいで決着がつくことが多いのではないかと思います。

その場合でも相手より6~7コスト多く獲得することができています。

LRクラスの虫を相手より1つ多く出すことができる計算です。

この差は大きいのではないでしょうか。

TCGに限らず多くのゲームは与えられたリソースを如何に効率よく変換していくかが試されるものだと考えているのですが、そもそもの得られるリソース(今回は獲得コスト)において相手と差をつけることができるわけです。

 

もちろんこれは理想の話で、初手に『蟲の息吹』が来た場合の想定です。

任意のカードを引く確率を計算できるサイトさんがあったので利用させて頂いたところ、『蟲の息吹』を2枚投入していて初手(4枚)に1枚以上来る確率は約37%とのことです。

後攻だと1ドローが追加されて約45%。

意外と低くないんじゃないかな、と個人的には感じました。

 

とはいえ、実際には初手では無い可能性の方が高く、4ターン目とかに来たら使用タイミングとしては多分もう遅いです。

ただその場合でも術として使わず通常のエサとして使用してもOKなので無駄にはならないかと思います。その分、エサに置かずに使えるカードが増えるわけですし。

 
 
2つめのメリットですが、その瞬間に獲得できるコストが相手を上回ることです。
先ほどは累計で相手よりコストを多く獲得できます、というお話を書かせていただいたのですが、それは各ターンで得られるコストが相手より多いために結果的にトータルでも勝る、という話だったのです。
通常、両プレイヤーが毎ターン獲得コストを1ずつ増やしていき、それに応じて場に出てくる虫も少しずつ強いものになっていく、という流れとなりますが、相手より獲得コストが多いことで相手より1ランク上の虫を出すことが可能ですし、相手より格下でも複数の虫を出すことも可能となります。
そういった状況を作り出すことで、通常は倒し倒されでターンが経過していくところを、倒したけど次の相手のターンでは倒されない、というより有利な流れに持っていくことができると思います。
 
また、1つめのメリットの話の中で、累計コストを考えると4ターン目以降だとメリットが薄いということを書きましたが2つめのメリットである瞬間のコストを考えるのならまた違ったメリットが見えてきます。
『蟲の息吹』を使用したターンでは1コスト消費し、次ターンで1コストを得られることを考えると、これはターンをまたいだコストの持ち越しと考えることができます。
対戦中盤でもし獲得コストが1余ってしまう場合はもちろんのこと、 今この虫を場に出すよりは1コストを次ターンに温存した方が有利では?というようにコスト運用に幅が出るとも言えるかと思います。
 
 
うーん、自分で書いていてとても重要なカードに思えてきました。。。
 
 
さて、現環境において警戒すべき要素の一つに『サバクトビバッタ[4緑]』の【くらいつくす:400】があります。
ダメージはともかくとして、その追加能力として「この技で相手本体に攻撃を与えたとき、相手は自分のエサを1つ選び、手札に戻す。」というものがあります。
条件が簡単でないことと、このゲームのルール上 同一の虫が場に居続けることが難しいということがあるので1ゲーム中に何度もくらうことはないかとは思う(実際に対戦したことがないのでまさに机上の理論。)のですが、エサが1~2枚減らされる可能性はあると思います。
そういうことを想定する意味でも『蟲の息吹』があれば、防ぐことは無理でもある程度リカバーすることはできるのではないかと思っています。
 
 
あと冒頭で少し触れたように『ミツツボアリ』という虫が『蟲の息吹』同様にエサ場を増やす効果がある技を持っているのですが、少し使い勝手が異なります。
『蟲の息吹』はそれ自身がエサとなってエサ場に移動しますが、『ミツツボアリ』は場に出たときに手札から1枚エサをおいてよい、という効果です。
つまりエサ用のカードを別で1枚用意する必要があるわけです。
また『ミツツボアリ』自身は消費コスト1で『蟲の息吹』と同等なのは良いのですが、体力200、攻撃力100と戦力としてはとても当てになりません。
単純に比較するのは難しいですが、使いやすさの面では『蟲の息吹』に軍配が上がるかなと思います。
 
もちろん併用するのはアリだと思います。アリだけに。

その場合、4枚のうちの1枚以上が初手にくる確率はグッと上がって約62%。後攻だと70%を超えます。

ここまで上がると初手にくる前提のデッキ運用を考えてもいいかもしれません。

 

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◆あまくさ流 戦力評価◆
消費コストが低めでありながらどんなデッキに入れても邪魔にならないであろう汎用性において高評価。
有用性においては手元にくるタイミングに左右される面もあるため、また独自性においては『ミツツボアリ[1赤]』の【<蜜をためる>】が存在するため、それぞれ少し下げている。
とはいえ、総合的には重宝するカードだと思われる。
 
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○このカードと組み合わせて相性が良いカードや技
 ほぼすべてのデッキ
 
○このカードで対抗できるカードや技
『サバクトビバッタ[4緑]』【くらいつくす:400】

 

×このカードに対して有効なカードや技

『サバクトビバッタ[4緑]』【くらいつくす:400】