帰り道、住宅街、電柱

一瞬 遠くに見えた月を必死に追いかけた。

あまりにも綺麗だったから

走って走って君に見せたくて夢中で走ってた。

月が綺麗だよ、と急いで電話した

あの日みたいに伝えたくて走った。

家も電柱もないところまで走って

雲に覆われた月が

次に私の目の前に現れたころには

もう別の顔をして

私を家へと帰らせた。

でもよかった、月が綺麗じゃなくて。

また伝えたくなるから。

伝えられなくてよかった。
きっと、これでよかったんだな。