(過去記事1)で取り上げた

旧優生保護法の裁判の記事を貼っておく.

 

 

 

 




旧優生保護法(1948-96年)の下で強制不妊手術されたのは憲法違反であるとして,

2018年以降,全国の障碍者らや配偶者計39人が国に損害賠償を求めて

12地裁・市部に提訴した.

 

争点は

(1)旧優生保護法は憲法違反であるか?

(2)不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用するか?

(適用なら賠償金は払われない)


この2点.

 

 五つの高裁判決に対する上告。

5つとも違憲判決がでていて、四つは国の除斥期間不適用だったが、一つは適用のため国家賠償無しだった。


7月3日最高裁大法廷では裁判官15人全員一致で、五つの案件共に争点二つに対し、原告の主張を認めた。

 原告の完全勝訴に決まった。

 憲法違反が認められ、賠償金が支払われることになった。


 訴えたのは39人だが、1950-90年代に同意なく強制不妊手術をされたのは16500人だという。




 戸倉三郎裁判長は「旧優生保護法の立法目的は当時の社会状況を考えても正当とはいえない。生殖能力の喪失という重大な犠牲を求めるもので個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反し、憲法13条に違反する」と指摘しました。


また、障害のある人などに対する差別的な取り扱いで、法の下の平等を定めた憲法14条にも違反するとして、「旧優生保護法は憲法違反だ」とする初めての判断を示しました。

そのうえで「国は長期間にわたり障害がある人などを差別し、重大な犠牲を求める施策を実施してきた。責任は極めて重大だ」として原告側の訴えを認め、5件の裁判のうち4件で国に賠償を命じる判決が確定しました。

宮城県の原告の裁判については、訴えを退けた2審判決を取り消し、賠償額などを決めるため仙台高等裁判所で審理をやり直すよう命じました。

ちなみに憲法13,14条は以下。

 第十三条すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

第十四条すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。


 半世紀にもわたって、政府と医師と学校が障害者差別をしてきた。




 旧優生保護法成立は憲法より後だったが、本人の同意なく不妊手術をすることを許可し、さらには法律から逸脱するような危険な手段をとってまで医師の不妊手術は過激化し、後遺症に苦しむのもでた。

 学校の教科書では、精神障害者は子供をつくらないほうがよいと教えてきた。


 

 今から半世紀後、今の小学生たちはまだ生きているだろう。2074年から見たら2024年の今は政府や医師や学校や全てがおかしな事をやっていると多くの事柄に対して思うだろう。


 根底には、

「障害者はおとなしく死ぬことだけ待って生きてろ」

という差別があると思う。


 

 「エビデンスのある厳密科学」以外において、自信を持って何かものを言う人を信じてはいけない。自分が間違えている可能性を考える謙虚さのない職業専門家や政府を信じてはいけない。

 厳密科学の場合は二次資料からの又聞きではなく原論文の細部を理解する必要がある。本質は細部に宿る。

 自戒をこめて。



 

(過去記事1)