(過去記事1)の続き

 

2020年11月30日町田市立小学校6年生女児いじめ自殺事件

 

校長栄転について.

 

 

11月30日(月)0時半 自殺発見

 2月15日(月)校長が市教育委員会へ重大事態として報告

 2月24日(水)午前 校長が教育長に任命された

 

教育長及び教育委員は、地方公共団体の長が議会の同意を得て任命。任期は教育長は3年、教育委員は4年で、再任可。

 

 教育長は該当市区町村の首長が議会の承認を得て任命する.

https://www.city.machida.tokyo.jp/kodomo/kyoiku/keikakutou/kankoubututou/kyouiku/2019machidanokyoiku.files/kyouikuyourann2019.pdf

https://www.city.machida.tokyo.jp/shisei/koho/faxrelease/2020/202103.files/21.03.29_4.pdf

 

 ただし,2021.3まで町田市は坂本修一氏が教育委員長であり,2021年4月に再任されている.

だから,この校長が教育長に打診されていたのは町田市ではなく,別の東京都内区市町村だろう.

 

 2月15日(月)に校長が町田市教委にいじめ重大事態として報告したとして,

町田市以外の首長がその事態を把握して,別の人物に候補を差し替えて打診して,議会での承認を通して,

2月24日(水)に任命する.

 

それは無理だ.

時間的に間に合わない.

町田市教委の情報が都内とは言え他の自治体の首長や議員へ9日で伝わるわけがない.

 

校長も2021年3月末には定年だ.12月には数か月後先のことが気になっていたろう.12月の時点ですでに教育長候補としての打診があったのかもしれない.

だったら,故意にいじめ重大事態の市教委への報告を遅らせていたのかもしれない.

夫婦が自殺を同級生らにふせてほしいという意向と,市教委への報告は関係ない.報告は法律的義務だ.

 

そもそも,いじめが発生したこと自体は,学校の重大な落ち度ではない.予防できなかったことは残念であるが,いじめ事案の認知そのものを問題視しては隠ぺいが横行する.発生しても適切な対応をすることが学校の指名だ.

だから,首長も議員も,単にいじめ自殺が起こった学校の長だったという情報だけをもってして詳細を知らぬのに候補から外してしまえば,自分の評判を落とす.

 

 まあ,校長には,できれば市教委への報告を遅らせたかったという気持ちはあっただろう.意図的か無自覚か.

 

 2月15日に報告受けてももう翌年度の人事には間に合わない.

 

 しかしだ,

 

https://www.gikai-machida.jp/voices/GikaiDoc/attach/Gk/Gk6147_2_seisaku_gyouseihoukoku.pdf

 

2024年2月21日の第三者委員会の報告書の概要によれば,p7(自死に対するY小学校および市教委の対応についての検証)の1で,

Y小学校が実施したいわゆる初期調査は、報告を受けた当日から市教委と連携を取り、資料
収集や聞き取りの準備に迅速に着手し、12 月中には教員及び児童の聞き取りを終了させてい
る。聞き取りにあたっても、第1段階は、市教委と相談の上質問票を準備し、日常的に児童ら
と接しその特性を把握している担任から行い、特に詳細な聞き取りが必要と判断した児童らに
ついては、改めて複数の教員が担当して実施し、聞き取った内容のメモをできるだけ当日中に
データ化して保存するなど、公平・適正に行う配慮がされていた。

とある.

 

へ?市教育委員会へ重大事態として報告したのは2月15日だけれど,自殺の当日,遺族から報告を受けた11月30日から市教委と連絡をとっていたのか.重大事態かどうかの判断は校長がするものであって,市教委がするものではないということか.

 

 

 

第二十八条 学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。

 

なるほど.それがいじめなのか違うのか,いじめだとしても重大事態にあたるのか否かは,校長が判断するのか.

 

各学校は校長が運営するもので,市教委は校長から協力を要請されれば動くが,校長が重大事態だと言っていないのに,市教委がしゃしゃりでて,「それって重大事態でしょ,正式に報告して,こうこうこうしなきゃダメでしょ」なんて上から命令・指導はできる立場に無いのだ.だいたい校長は教育委員会で仕事してから校長へ行くので,教育委員会の職員は校長の後輩であって頭があがらない.教育委員らは(月一数時間の会議で書類見るだけの)名誉職のようになってるのか.

 

 

 ここまで調べてくると,2021年3月の時点で東京都教育長だった藤田裕司氏を責めるのは可哀そうな気もしてきた.

 市区町村教育長を決めるのは首長と議員であり,都教育長が首を挟む時間も力も無かった.

 

 問題は,2024年2月29日の東京都議会の答弁である.

 

無所属(自由を守る会)上田令子氏(1965.5.21-,江戸川区選出)
が,
事件後直後に
校長はじめ、教員七人がおかしなことに一斉異動となり、校長は特別区の教育長に栄転をした
と指摘し,なぜかと質問した.

浜 佳葉子・東京都教育長は,
学校教職員の人事異動については、学校ごとの教育課題や実情等を総合的に勘案して実施しております。
と回答した.事実上の無回答だ.

 

 教員七人の一斉異動は都教育委員会の仕事ではないか?教員らの人事権は市ではなく東京都教育委員会がもっているはずだ.

 

 その時,浜教育長は水道局長だったから,どんな思惑で人事が行われていたか知らないんだろうが,

そこはちゃんと調べなおさなきゃならないんじゃないの?

当時の人事権を持っていた人たちを集めて.

 

 

 というわけで,まとめる.

 

 校長が重大事態をすぐに報告しなかったのは悪い.でも教育長に栄転してしまった責任は行政にはほぼ無い.

 関係教員の一斉異動は2021年3月時点の東京都都議会にある.

 

 当時,どうやって「総合的に」考えて人事を決定したのか,調べる必要がある.

 

 都議に質問されても無回答で調査するつもり無いとは,嘗められてるな.

 

 都議会,都知事,文科省が都教委を咎めなきゃならないんじゃないの?教員一斉異動について.

(1980年森安棋士事件の神戸大付属中学から,事件後の教員一斉異動はあるんだよ.)

 

 虐めが起こったら学期末には大幅な人事異動をしてマスコミをけむに巻くのは1980年森安事件の神戸大付属中から続いてる.

 

 

 

 続く


(過去記事1)