韓国ドラマ

『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜』(2018.11.23-2019.2.1)

をAmazonプライムで

最終回36話最後まで観た.

 

 

2024年7月から主演・松下奈緒でテレビ朝日の木曜9時ドラマでやるらしい.

 

今回はネタバレありで感想を述べる.

 

結構荒唐無稽なリアリティは無いブラックコメディ.

 

 

 あまりに受験にこだわって殺人まで隠ぺいしようとするソジンには共感できなかった.

 

 出世欲にはしるカン医師の人間としての駄目っぷり,カン医師の老母が世間体や受験にこだわるところとか,

 

見てて思ったのは,

 

 大人ってほんとバカばっかりだな.(まともな大人はファン教授と妻スイムさんだけ)

 

 合格率100%の凄腕入試コーディネータの技が,単に学校の教員と内通していて定期試験問題を事前に盗んでいて,内申点を良くすることだった.それ以外に有能性の根拠は見られなかった.

 

 結局は,金払った富裕層が詐欺師に騙されているだけだった.

 

 韓国では日本と同様に受験戦争が問題視されてきて,昔のように一発試験で大学に入る比率が減ってきて,高校の内申点で入る人が多くなってきた.少子化で大学も入りやすくなったということか。

 

 あとね,受験生が男子ばかりだったらまだリアリティがあったんだけど,入試コーディネータが付く主人公的受験生が女の子なのよ.開業医が息子を医師にしたいというのならリアリティがあるんだけど,大学病院で雇われている勤務医が,自分の娘を医師にしたところで,その先何を目指しているのかが明確でない.

 男性医師の障害未婚率が2.8%なのに,女医の生涯未婚率は36%もある.娘が二人しかいないのに,長女を女医にしてそのあとどうしたいのか,未来展望が描けていない.むしろ,狂気を描くためにあえてそうしていると考えられなくもないが,このせいで主人公家族に共感が最初から持てない.韓国の出生率が日本を下回る1.11人(2023年)なのを象徴している.

 だいたい医大はソウル医大だけじゃないんだからワンランク下がったってあんまり意味はない.人生経験のなく血気盛んな若い男子がこだわりで受験競争するのはまあある話だけど,大人である母親たちがそこまで熱くなるということにリアリティがない.その狂気にリアリティを出すのだったら,ソジン・ユン女史・ジニらの狂気の源を描くべきだった.それでも殺人を隠すまでのリアリティはあり得ないんだけど.

 

 日本のドラマ白い巨塔のように,貧困母子家庭出身の医師が出世欲のために患者を見殺しにし,裕福な家の出の医師が正義感を発揮するというのなら見ていてリアリティが感じられたのだが.

 

 

人物関係図は上のサイトにある.

 

 受験に熱心な主婦ソジンとロースクール教授チャがともに貧困家庭出身で,それに反対するチャの妻スンへが上流階級の娘というのはリアリティがあった.

 

 カン医師の母ユン女史の由来はぜひ掘り下げるべきだった.あとコーディネータの過去も掘り下げ方が浅かった.フィールズ賞受賞者と大学で同期だったのに自分は数学者にならなかった・なれなかった経緯が分からない.もともと数学なんて好きでは無くて,地位だけが欲しかったのか.数学は社会的地位を獲得する道具でしかなかったのか.本当に数学が好きなら,数学なんてどこにいたって出来るんだから,いつだって再開できるでしょ.

 

なぜに女たちが社会的地位にそれほどこだわるのか,そこが浅くしか描かれていない.


 まあでもイェソが男だったとしても受験に拘る狂気は十分描けていたと思う。思うに、第二次世界大戦で息子らを戦場に送り出した親たちって、多くはこうやって積極的に送り出したんだと思う。戦後は軍部を批判してたけど。大衆は勝手だ。


   門番がなぜ殺人実行犯を引き受けたか、もはっきりしない。コーディネータが生まれながらのサイコパスという風には描かれていない。だったら背景の記述を丁寧に書いて欲しかった。揉み合っているうちに殺したというほうがまだリアリティがあった。


 

 家政婦はカン家にしかいないのだけど,家族と一緒に食事もしないし,人間として扱われていない感じ.子供のいない独身女性で一生家政婦として暮らしていくのか.どんな経緯で家政婦になって,これからどうするのか.カン医師が最後に引っ越して家を出ていくんだけど,家族4人は同じ車に乗るが,家政婦はどうなったんだろう?解雇されたのか,別の移動手段で一人で新しい家まで行ったのか.その辺は全く描かれない.そういえば夏目漱石の小説とかでも家政婦が存在している形跡は書かれているんだけど人間としては描かれていないんだよね.モノみたいな存在.かろうじて”坊ちゃん”ではラストで家政婦が強い印象を残す.

 

 そういう意味で深みは無いんだよね.漫画的.脚本的には,受験戦争から殺人事件,犯人捜し,冤罪逮捕など,激しく展開していくので,視聴者を最後まで飽きさせることはない.

 

 ただ最後まで見て思うのはB級レベル.ただ大衆受けして視聴率稼ぐのはこのくらいが良いのか.

 

 まあ家政婦というのは訳ありで独身子無で被差別層であって,だからこそ雇う家族も同じマンションに住む人たちも全く話題にしないのか.ヘナがカン家に住み込みになるとき,家政婦が”私と一緒に食事するのよ”と言うとヘナは拒否するんだよね.私(ヘナ)はあなたと違ってカン家の家族なのだと.ドラマとしては家政婦は存在感ないかヘナに意地悪な嫌な人物として描かれるけど,私はむしろ家政婦に対して同情した.

 

 よくさ,主人が家政婦を腹ませて非嫡出子をつくってという話があるけど,そりゃ妻からしたらそれは嫌な事だろうけど,家政婦からしたらそれが唯一の未来への道だよね.そうでなかったら,そのまま住み込みで一日中家事やらされて独身子無しのまま老いていって老後は捨てられる道しかないわけだから.

 

 この家政婦まわりの事とか,あとは,韓国の風習として,マークシートは鉛筆でなくサインペンでマークするとか,大勢で食事する時に,その中で一番格上とみなされている人が箸をつけるまで他の人が箸をつけてはならないとか,そういうメインストーリーとは関係ないところで興味深かったところはあった.