自閉者スペクトラム

という考え方がある。

自閉症と健常は明確な区切りがあるのではなく連続的につながっているということだ。


 自閉度の指標としてはいくつか開発されているが、ここでは具体的なものでなく、理想的な自閉度を考える、


 全ての人で自閉度を測ったら、

平均が50,標準偏差10の正規分布に近い形になるはずだ。


 学力偏差値のように、


 自閉度40-60に7割の人が入る。

自閉度偏差値70以上は2%いて、彼らが日常生活で困っていれば自閉症として診断される。

 自閉症偏差値30以下の人は、正反対の人だろう。

 海球小説で言うところの己開症だ。

 このブログやある本では共感忖度希求型、忖度希求型、E型(Emotional)と言う。


 よく自閉度の高い人は、他人の心が読めないとか空気が読めないとかいうが、私は違うと思う。


 自閉度が高い人も、他人の気持ちは分かるのだ。

 サリーアン課題を定型児は4-5才で通過するが、自閉症児は9-10才で通過するという(過去記事1)。

 だから10才未満の自閉症児だと他人の心は読めないかもしれない。しかしそこを通過すれば他人の気持ちも読めると思う。


 私自身は自閉度偏差値は70は無いにしろ60くらいはあると思う。6人中1人は60以上だ。


 私は結構普通の人よりむしろ他人の心が読めていると感じる時がある、


 しかし、自閉症児は、金や他人の笑顔が報酬と感じないという研究結果がある。

 自閉度偏差値60未満の人は、他人の笑顔がかなりの報酬になる。だから何か他人から親切にしてもらったら笑顔を見せるし、他人に良い事をしてあげた時、笑顔で返してくれると嬉しくなる。

 笑顔という通貨のやり取りをするというプロトコルが彼らの間で成立する。


 しかし自閉度偏差値高い層は、笑顔を価値ある通貨と受け取らないのだ。

 旧哺乳類脳(扁桃体、海馬体、ほか)という脳の部位の状態が違うらしい。

 笑顔とか他人に好かれたいとか金銭とかそういうものを価値あるものとして定型児同士がやりとりしているのに、自閉症児がそれらを価値あるものとして扱ってくれない。そこでトラブルになる。

 しかしそれは正義ではない。

 単にプロトコルが違うだけだ。


 自閉症児同士ではうまくいくのだ。

 笑顔で返さないが他人の笑顔も期待しない。

 そしてそのことでメリットもあるのだ。


続く



(過去記事1)