(過去記事1)で
管理職において出世するためには学校歴が大きな要因になることを書いた.
大企業や公務員にとっては特にそれが大きい.
しかし,投資家,経営者,一般職,専門職・タレントは
話が別だ.
今日竜王戦第4局を戦っている藤井聡太も伊藤匠も共に中卒だが,学校歴なんか誰も気にしていない.
実力だけがものを言う.
もともと学問は,上流階級に入るためのパスポートであった.
側近や公職になるための手段として流行った.
公務員の数が増え,サラリーマンという労働形態が戦後一般化することで,学校歴競争も拡大していった.
しかし,これからはどうなるだろう.
AIが人の仕事を奪うというが,今までも文明の進歩とともに機械やオフィス機器が人の仕事を奪ってきた.しかし減る仕事もあれば生み出される仕事もある.
インドで理系大学が人気なのは,IT技術者という新しい職は古い職業と違い,カースト制度の中にとりこまれていないからだ.この職種はこの階級独占,というルールに,IT職はない.だから,どの階級からでもIT業界へは参入できる.
今後も新しい職が生み出されていくだろう.
例えば,ちょんまげの復活だ.ちょんまげそのものではないにしても,特定のヘアスタイルが流行し,そのヘアスタイルは理髪師でもさらに高給取りの専門職でなければ出来ない.金持ちや地位が高い人ならば,それをしなければ恥ずかしいという世間からのプレッシャーがあれば,金持ちから庶民へ金が流れる仕組みが出来上がる.
どんな新しい職ができるかは分からないが,管理職は少なくなるのではないか.管理するとしても機械を管理する管理職で,人間をたばねるわけではない.例えば,回転ずしを経営するにしても,店長がひとりで全テーブルを接客できるようになるかもしれない.バイトの店員は一人もいらなくなる.その次は店長すらいらないで,本部に一人いれば,あとはリモートで全店を管理できるかもしれない.店内はモニターが何台もあって客は全員会員アプリで身元が分かってる.
管理職と言うのは,その下にたばねるべき一般職の人材がたくさんいるという前提で成り立つ.よく,田舎では産業が無く,公務員しか働く先が無い,とか言う.
例えば吉本興業には従業員が868人いるという(2022年6月時点).タレントは約6000人いるらしいが,アプリがあれば売り込むのにマネージャーの数はあまり要らなくなるだろう.みんなグーグルのおすすめ順にみてる.
ユーチューブという米国企業が世界に入ってくると,米国の価値観もその国に入ってくる.LGBTにしろ少年性虐待など,日本ではまだまだ世間的にグレーであるようなことでも,YouTubeでは本国米国の価値観でBANされるようになるだろう.
日本の倫理観を米国の私企業が規定するようになるわけだ.
いままで地主が強かった.農業・工業・商業,なんの商売をやるにしろ,土地が必要だった.土地を支配している者が富んだ.
ところが,今は土地ではなく,クラウドを支配するタイプの地主もいるわけだ.
動画をあれだけ沢山記録して配信可能にするような設備は,グーグルしか持てない.当分は競合は出てこないのではないだろうか.まあ,IBM,マイクロソフト,グーグルと覇権は変わっているので,一概には言えない.
そういえば,ツイッターはトランプのアカウントを凍結したね.IT界の地主たる彼らは,政治的権力も持つようになる.
そう言えば、暴力団員はLINEも使えないらしい。もともと携帯電話も契約できなかったので、他人名義のものを使っているだけでしょっぴけるわけだけど。LINEは過去に暴力団員だった人もダメだって。
でも,考えてみれば,現代でも贅沢言わなければ生活保護でも生きていける.みんながみんな働かなければいけない,という発想は,実は近代的なものだ.150年前明治時代に小学校が出来たころは,軍隊と工場で労働者が多量に必要だった.そこで勤勉・勤労がもてはやされた.
しかし今や労働は食うために生きるためにするもの,というより社会的に評価されるためのもの,自己肯定感を上げる,という側面の方が大きくなった.もしかしたら岡田斗司夫の言う所の評価経済社会になっていくのかもしれない.
わが子らが今の私と同年齢になるころはどんな時代になっているだろうか.
(過去記事1)