<21世紀ノスタルジア> Vol.5 | 監督のブログ

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現代美術アーティストのポップな世界

<いま世界はどこを彷徨っているか?>

 

僕は1956年生まれですから、20世紀の中盤にこの世にやって来て、20世紀の後半50年と共に生きて来たわけです。

ちょうど青少年期に70-80年代のロックムーブメントがあり、その影響をモロに被った世代で、バブル経済期には東京で広告業界にいて、絵に描いたようなバブル経済経験をしたわけです。

まあ、時代の子だったわけですね。

 

バブル経済崩壊後、僕は業界の経済下降に巻き込まれたくなくて、足掛け4年半くらい海外を旅しました。

訪れた国は約30ヶ国近くで、カナダ、アメリカ、メキシコ、ヨーロッパ、中近東、インド・ネパール、東南アジア、インドネシア、中国、韓国などですから、まあ、アフリカと南米やオーストラリア以外の様々な文化圏です。

人間、2年以上海外にいると、ちと感覚が変わります。

日本だけが生きる場所ではない、というような感覚でしょうか?

閉鎖的な考え方が無くなるわけです。

また日本を相対化して観れるわけです。

 

これは同じような経験のあるバックパッカー達に共通しているようで、海外に移住したり、国際結婚したり、ごく普通に海外生活をしている人たちも沢山いるわけです。

国により状況はかなり異なりますが、それぞれ自分のマインドに合う国を選ぶのでしょう。

女性に特にそういう人が多いですね。

日本女性はまあ評判のいいブランドなので、相手側も受け入れやすい事もあるかもですが。

何を自分の幸福とするかは、人それぞれですね。

 

現在先進国の人々の抱えている精神的問題は、<近代功利主義の限界>にあります。

功利主義と自由主義は双子の思想で、今の先進国の基本的な哲学であり社会思想なんです。

それが当然普通であるというようなものの考え方ですが、それが近年危機に瀕しているわけです。

功利主義とは基本人間にとって、自分が不快なことは悪で、快感であることが善だという思想です。他人に大きな迷惑をかけない限りは、人は自由に自分の幸福追求のためには何をしてもいいという思想です。

これは基本が自分という個人が中心で、その幸福の追求なんです。あくまで自分が中心。

自分にとっての快不快やメリットデメリットが、すべての判断の基本であり、最優先課題なわけです。

それが競争社会と貧富の差を生み出す原因になり、現在このあまりの富の不均衡と、強者の弱者搾取が問題になってるわけですね。

 

つまり功利主義には、公平主義が含まれているわけではないので、そうなるわけです。

少ない勝者と多数の敗者をどこでも生み出さざるを得ない結果になる思想であるということですね。

この是正が求められざるを得ないのが、21世紀前半の人類の課題だと想うわけです。

ではどうするか?は政治の問題である前に、個々人の思想哲学価値観の問題なんです。

つまり価値観は同一なのに、損得のどちらの立場にあるかの違いだけで政治的にモメているだけなら、立場が逆転してもこのモメ事はずっと続くわけです。

そこが功利主義の限界なわけですね。みんな自己中なだけで立場の違いというだけの事ですからね。

 

それを是正するために社会主義思想やらなんやらも出ては来ましたが、人間の自己利益主義は変わらず、北朝鮮みたいな<公平な>国も出現するハメになったわけですよ。笑

ならどうすればいいということを、今後ここで展開してゆきたいんですが、これは基本政治の話しと言うより思想文化の話しなんです。

一度ちゃんと真面目に考えてみる、というスタンスがないとそれは出来ませんね。

これは個々人の人格の問題なんです。

しかし、精神医学的にも経済学的にも科学的にも、そういう方向性に進むしか人類に未来はないんです。

現実はゲームでもアニメ世界でもないですからね。

僕はアート表現を基本にして、そういう現代の問題を人々と共に考えて生きたいと想っています。いや、出来るだけ分かりやすい例をあげながらです。

考える事を歓びにしないと、これは継続出来ませんからね。

コラム風に進めたいなと。よろしくです。