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青森県・八戸に出る“黒い妖怪”河童の仲間のメドツを目撃した女性、住職に口止めされる?


どうも、怪談・オカルトを研究している吉田悠軌です。先日、青森県八戸市に取材に行ったのですが、その途中で奇妙な看板を見つけました。

「※☆△が出るぞ!」

おどろおどろしい字体で、何かの脅し文句が書かれています。車での移動中だったので写真も撮れず、気になりながらもそのまま通り過ぎてしまいました。しかし東京に帰ってからも、なんだかあの看板が頭にこびりついて仕方がない。そこは便利な世の中、Googleストリートビューで、自分が走った道路を調べてみたのです。

場所は確か、八戸の吹上地区のあたり……

 あ、これだ!

 !?

「きけんだ! よるな近づくな」
「メドツが出るぞ!」



め、メドツってなんだ!? どうも調べてみると、青森、特に八戸など南部地方では「メドツ」という妖怪の伝承が残っているようです。






メドツ(メドチとも)は河童の仲間のようですが、その体は小さく子どものようで、全体が黒色とも赤色とも言われています。実際、八戸駅付近にも「メドツ河原」という地名が存在するほど。この看板の後ろには用水路があるので、子どもが溺れないために「メドツが出るぞ」と脅していたのでしょう。しかし警告のために妖怪を出してくるとは……さすが独自の習俗文化を残す八戸ですね。

そこまで調べたところで、ふと、ある話を思い出しました。

僕が数年前に出版した『放課後怪談部』という怪談本にてイラストを書いてくれた、
石橋秀美さんの体験談です。そこにも収録した話なのですが、少し書き直したものを再掲します。石橋さんはまさに八戸出身。彼女は小学生の頃、妙な「モノ」を見たのだそうです。

20年ほど前の真夏の夜。八戸のお寺にて子ども会がありました。そこに、まだ小さかった石橋さんも参加したそうです。子どもたち何人かは、そのままお泊りすることになり、本堂横の寝室で布団を並べていました。そして、真夜中過ぎ。

があん……がああん………

なにかが固いものを叩く音がして、石橋さんは目を覚ましました。

隣に寝ていた友達も気付いているようで、こちらに目配せをしてきました。

 
があああん………があああぁん……

途切れ途切れではありますが、音はしつこく鳴り続けています。

「なんの音だろう」小声で石橋さんが呟きました。
「確かめに行こうよ」友達がささやきました。

“なんだか冒険するみたい”…と、思って楽しくなったのです。

こっそりと布団を抜けだした2人は、通用口まで静かに歩き、そこから境内に出てみました。本堂に吊るされた照明が、ぼんやりと辺りを照らしています。
音が鳴っていたと思われる方を見てみましたが、ただ古びた小さいお堂があるだけでした。

「あれ、なんにもないねえ」

石橋さんがそう言った途端、友達はさっと顔を横に向けました。

ざっ…ざっ……

土を踏みしめる足音が、どこからか聞こえたのです。石橋さんが目をこらすと、夜の向こうから、黒い何かが近づいてくるのが見えました。

「見つかるよ!」

思わず、2人で本堂の床下に隠れました。息をこらして見ていると、その黒いものが庭先の小さなお堂に近づいていきます。

やけに背が低く、幼稚園児ほどの背丈しかありません。

こちらに近づくにつれ、なぜ黒いのかの正体が分かりました。

ビニールシート、だったのです。

寒い季節、畑の地面を覆っている、あの薄くて黒いビニール。それを頭からすっぽりと被り、端っこを地面にひきずりながら歩いているのです。さらに石橋さんたちが驚いたのは、ビニールの隙間から出た両手でした。まるで骨だけしかないような細い腕が二本、前を探るようにしてうごめいています。そしてその先には、枝のように細い四本の指が、ひょろりと突き出ていたのです。それはお堂の木戸を開けると、中に入っていきました。

がたがたとお堂の中をまさぐるような気配がした後

があんっ……

例の固く響く音が聞こえてきました。

少しして、黒いものはまたお堂から出て、そのまま夜の向こうへと消えていきました。石橋さん達は慌てて本堂の中へ駆け込み、そのまま布団に潜りこんで、震えながら朝を迎えたそうです。

『放課後怪談部』より。イラスト:石橋秀美


翌朝、お寺の住職さんに、昨夜のことを話してみました。

すると住職さんは怒りも驚きもせずに、

「そのことは他の子に話したら駄目だよ」

…と、注意してきました。

「なんで話したらいけないの?」

石橋さんと友達が尋ねると

「だって君たちも、つまみ食いくらいするよね?」

よく分からないながらも、2人は肯きます。

「それなら、つまみ食いしてたことを皆にバラされたら恥ずかしいでしょう?」

住職さんは、優しく静かに、そう言いました。そして石橋さんは、なんだかその言葉に納得してしまったそうです。

以上が、石橋さんの体験談です。子どものような小さい体に、四本指……これら特徴を考えると、黒いビニールをかぶったモノは「メドツ」だったのではないでしょうか? 石橋さんに確認してみたところ、メドツという妖怪自体、彼女は知りませんでした。
イメージを共有していないのに、同じようなものを見てしまったというのはたいへん興味深いです。もしかしたら今もなお、メドツは八戸に住んでいるのかもしれませんね。そしてもう1つ。改めてこの話を考えると、ひっかかるところがあります。
黒いモノは、お堂の中で、いったい何を「つまみ食い」していたのでしょうか? 当地の言い伝えによれば、メドツは人の「ダッコ」を抜いて食べるとされます。ダッコとは脱肛、つまり直腸のことです。

ということは、もしかして……

引用コピー
■吉田悠軌(よしだ ゆうき)
怪談サークル「とうもろこしの会」会長。怪談やオカルトを「隠された文化」として収集・研究している。著書に『放課後怪談部』。編集長を務める同人誌『怪処』ではオカルト的な場所を広く紹介。
・怪処HP