雨が静かに降っている。
良い雨だ。
ここのところ雨が降らず水不足で、ある地域では減圧による節水が始まっていた。
おとといは気温も高く、私の住む地域では最高気温24度を記録していた。
恵みの雨だ。
もう長いこと忘れていたが子どものころ、大渇水で赤茶色の錆びたような水が蛇口から出てきて驚いた記憶が鮮やかに甦った。
時折、車が家の前の道路を滑るようにシャーッと水しぶきをあげて通って行く。
それ以外は雨だれの音しかしない、潤った春の雨。
まだ2月の終わりだが、もう春爛漫で菜種梅雨と言っても良い。
おとといのニュースでは南の方の人が、春を通り越してもう初夏ですよ、と呆れ気味に応えていた。
眠れないので、台所でお菓子でも作ろうかと思いクックパッドのアプリを開き、ポケッとお菓子のレシピなどを眺めていた。
この時間になっても(午前3時半)、なにを作るのか決まらなかった。
冷凍室に、安い時にポイントで買い、切っておいたパイナップルが大量にあったのを思い出し、パイナップルケーキにしようかと思った。
まだ決まってはいないが、とりあえずパイナップルとグラニュー糖を煮詰めてみようかと思い、1センチ四方にカットしグラニュー糖をまぶし、溶けるのを待つことにした。
車が通る時に水しぶきをあげる音で、雨が降っていることを思い出す。
心も潤うような、あたたかい感じがする。
ありがたい、と思う。
私が子どものころの大渇水では、雨乞いの池で雨乞い神事が行われたということをあとになり大人から聞いたものだった。
大きなポリバケツを抱え、給水車が来て水を分けてくれた。
神事のあと、雨は降った。
静かに降る雨の音を聴くのが好きだ。
大渇水を経験しているので、水が枯れることなく蛇口から出るのが嬉しくて、ついつい水を出しっぱなしで手洗いをしたりしたな。
田舎に越してからは、井戸水なので枯れないだろうという安心感があった。
近ごろは節水に気を遣っているが、喉元過ぎればで気が緩み、水を当然あるものと思い使いすぎてしまう。
雨は空から
雨は空から降ってくる
雨は天から落ちてくる
雨は天(アメ)
空から離れて大地へしみわたっていく
空へかえりたい雨は
空へのぼっていく
空では神さまや天使たちが
お帰りと言って
きれいにしてくれる
あそんだり
やすんだり
また旅に出たくなったら
会いにきてくれるんだよ
ひとりだけど、こんな優しい春の雨の日はさみしくないよ。
雨たちが会いにきてくれるから。
いつか、わたしたちもあの空へかえっていくんだろうか。
地球は色々あるけれど、遊園地みたいだったよと報告するのかな。
みんなそんなふうならいい。
パイナップルが溶けはじめて、甘い匂いがしてきた。
そろそろ夜が明ける。