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風舞(かぜまい)高校弓道部は、県大会優勝という快挙を成し遂げた。調子を取り戻したばかりの鳴宮湊(なるみや みなと)は、弓を引く感覚を体に覚え込ませておきたい気持ちでいっぱいだった。そんな中、校内行事のスポーツ大会が始まり、部活動は一斉休止となる。生徒たちが出場種目の練習に励む中、湊の姿がどこにも見当たらない。すると、山之内遼平(やまのうち りょうへい)、小野木海斗(おのぎ かいと)、如月七緒(きさらぎ ななお)、竹早静弥(たけはや せいや)の耳に、聞き覚えのある「弦音(ツルネ)」が聞こえてきた。
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🏹第2話
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全国大会優勝が当然とされてきた桐先高校弓道部が、今年は県大会で準優勝という結果に終わった。地方大会で優勝しなければ全国への道すら断たれることもあり、部内には緊張感が漂う。藤原愁(ふじわら しゅう)は県大会で、自分の射から気持ちを離してしまったことを深く自省していた。一方、絶好調の湊は、試合で弓が引けることに気持ちを高ぶらせながら、会場へ向かう。風舞、桐先、そして他県からの強豪校が集う、波乱の地方大会が幕を開ける。
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🏹第3話
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初戦を好成績で突破し、勢いに乗る風舞高校。3回戦の相手は、中学時代の湊の先輩でもある二階堂永亮(にかいどう えいすけ)が率いる、辻峰高校だった。辻峰は昨年までの試合データがない無名の高校。実力が謎に包まれたまま、今年の大会で番狂わせを起こしている。湊は二階堂と一緒に弓が引けることを喜ぶが、二階堂は不敵な笑みを浮かべる。試合が始まると辻峰の独特なテンポに翻弄(ほんろう)される風舞。湊は「自分が当てなくては」と的に集中する。
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🏹第4話
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地方大会で散々な試合を見せてしまった風舞高校。試合後、湊は雅貴から的前(まとまえ)に立つことを禁じられる。以降、湊は弓を持つことすら許されず、内心では不服の思いながらも練習用のゴム弓で基本動作を繰り返すことに。一方、海斗は試合が崩れた原因は自分にあると主張する。だが、事態の本質を見抜いていた七緒は、一人で背負おうとする海斗に揺さぶりをかける。
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🏹第5話
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湊は、自分の射形を取り戻し、“息合い(いきあい)”を見つけるため、雅貴の細かな指導にも耐え、ゴム弓を続ける。一方、七緒と海斗の間には深い溝が生じていた。その影響で部内には不穏な空気が立ち込める。これまでなら、海斗に一方的な態度を取られても受け流してきた七緒だったが、今回はどうにも腹の虫が治まらない。部活を無断で休み、あてもなく時間をつぶしながら、幼い頃の海斗との出来事を思い出す。
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🏹第6話
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妹尾、花沢、白菊は、市民弓道大会に団体戦で出場することになった。初めて公式の団体戦に臨めることがうれしくてたまらない三人。特に、県大会で普段通りの弓を引けなかった白菊が、市民大会に懸ける思いはひとしおだった。湊たち男子部員も、応援のために会場に駆け付ける。湊は弓を引きたい気持ちをこらえて、妹尾、花沢、白菊の一体感のある体配(たいはい)を、じっくりと観察する。そして、三人の射を見てあることに気付く。
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🏹第7話
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“息合い”のヒントを得た湊たちは、試行錯誤しながら自分たちの“息合い”を模索し始める。そんな中、他のメンバーに比べて的中数が少ない遼平は、なんとかして全国大会までに早くうまくならなくては、と内心焦っていた。自分の悩みで頭がいっぱいだった遼平は、地方大会で愁に借りた矢を返していなかったことに気付く。
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🏹第8話
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雅貴の計らいにより、風舞は桐先と合同練習を行うため、桐先高校弓道部を訪れる。風舞は“息合い”を意識するようになり、湊は以前よりも落ち着いて弓と向き合えるようになっていた。愁もまた、千一、万次と一緒に自主練習に取り組むようになり、桐先にも前とは違う空気が流れ始めていた。互いに刺激を受けながら練習を進める中、男子五人立ちでの模擬試合を行うことになる。
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🏹第9話
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全国大会に向けて、夏合宿を行うことになった風舞高校弓道部。海の近くにある弓道場を貸し切って練習に打ち込めるとあって、盛り上がる湊たち。だが、施設に到着すると、そこには辻峰高校弓道部の姿が。くしくも風舞と辻峰の合同合宿が始まる。
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🏹第10話
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風舞と辻峰は、合宿を通じて次第に交流を深めていく。辻峰の体配は不思議とまとまりがある。湊は辻峰の体配の秘密を直接不破に尋ねてみる。不破は体配の心掛けを教える代わりに、交換条件として、二階堂が湊と愁を敵視している理由を教えてほしいと持ち掛けるが、湊に心当たりはなかった。
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🏹第11話
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ついに全国大会が幕を開ける。地方大会で全国大会進出を勝ち取った常勝・桐先。二階堂が率いてきた斜面打ち起こしのダークホース・辻峰。そして、「息合い」の入り口にたどり着いたばかりの風舞。それぞれの思いを胸に最後の戦いが始まる。男子団体戦の決勝トーナメントは、強豪チームが同じブロックに集中する“グループ・オブ・デス”状態となってしまう。
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母に手を引かれて訪れた弓道場で、初めて“弦音”を聞いた日から、湊の弓道人生は始まった。悲しみや挫折を経験しながらも、湊が続けてきた射法八節(しゃほうはっせつ)の足踏みは、全国大会という大舞台へとつながっていく。五人で弓を引くことの意味に気付き“息合(いきあ)い”に近づく湊。再び愁との決戦が始まり二人が並んで弓を引く時、湊は自分の“射”を見つけようとする。
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🏹13話
【最終回】
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全国大会が終わり、季節は晩夏に差しかかる。試合に集中していた湊たちは、雅貴から頼まれていた“仕事”をすっかり忘れていた。それは、夜多神社で行われる“あまつ星祭り”の手伝いだった。平安装束に身を包み、神事のための射を奉納するという大役。湊たちは改めて弓引きとしての自分を見つめ直すことになる
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