高橋文哉 プロフィール

2001年3月12日生まれ。埼玉出身。「仮面ライダーゼロワン」(2019)で主演をつとめ、ドラマ「最愛」(2021)で高い評価を受ける。『交換ウソ日記』(2023)で第47回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。『ブルーピリオド』が8月9日公開予定。





──本作はコミック原作の映画化ならではの透明感と、恋愛映画の名手・今泉力哉監督らしいリアルな青春感があいまって、実写版だからこその魅力が溢れています。西片を演じるにあたって大切にされたのは?

たくさんあります。一番は“まっすぐ、純白、子供心”ですかね。でも、皆さんが想像する子供心とはおそらくまったく違って、子供の頃に持っていた価値観や感性をそのままに大きくなった感覚を大切にしてやってましたね。

今泉監督とは役について相談することはほぼなかったんです。僕が作り上げたものをまず見ていただき、それから“もうちょっとこうしてみたい”とか監督が言ってくださることにアジャストしていく感じでした。今泉監督は、まず役者にやらせてくださる。それは信頼してくれている証拠だと感じていました。

原作とはもちろん色が違いますが、現場にいる方たちは、監督もスタッフもキャストも本当に原作をリスペクトしているんです。なので、みなさんが原作を読んで感じているであろう、高木さんと西片にしか出せないものがそのまま映画にある。その振り幅みたいなものを楽しんでいただけたらいいなと思います。

──高木さん役の永野芽郁さんとは初共演ですが、現場での永野さんと高橋さんもこんな雰囲気だったのかなと思わせるほど、高木さんと西片の空気感がナチュラルですよね。

本当に永野さんとでなければ出せない空気感もたくさんあったでしょうし、永野さんの高木さんだからこそ生まれた西片の表情もあるでしょうし。永野さんは僕とはキャリアが全然違うので、役者としてもすごく前を走ってくださっている感覚があって、僕は後ろをついていっている感じでした。

現場の居方も含めて、いろいろ助けていただいたなと思います。ロケ地の小豆島では1か月半弱くらい撮っていましたが、永野さんとは2人のシーンも多くずっと一緒だったので、最初の頃は、“どこにご飯を食べに行くか” “ここが美味しいらしいですよ”と、ごはん屋さんをおたがいにリサーチして、報告しあっていました。

そのうち、小豆島のごはん屋さんは行きつくして、高松にも足をのばすようになってきて。“休みの日にはどこに行こうかなとか”、そういう話をずっとしていました。


─高木さんと西片が教室で話すシーンがとても印象的です。ふたりの会話に引き込まれてしまって、すごい長回しだということに途中で気づきました。

でも、長回しだったことを、僕も試写を観るまでわかっていなかったんです。“長く回すよ”なんて、現場では言われないので。“じゃあ、頭から最後までやってみますか”みたいな感じで始まるんです。でも、やっていても長いなと感じるような会話じゃないですし、もう台詞は覚えているとかいう次元ではなくて、勝手に出てくるので、ただ普通に会話してるような感覚はありましたね。

試写のときには気づいたら、僕も見入っていましたね。で、途中で、“そうだ、このシーンは長く撮ってたな”と思い出して。“いつ、寄り(のカット)入るんだろう”とか、“今泉さんは、ここで寄りを入れるんだな”とか。そういう今泉さんの感性も、映画を観ていて面白かったです。