SixTONESが、シングル『音色』を5月1日に

リリースする。



 今年1月に4作目のフルアルバム『THE VIBES』を

リリースし、先日にはアルバムを引っ提げての

初の4大ドームツアー

【SixTONES LIVE TOUR 2024「VVS」】を終えたばかりの彼ら。昨年から今年にかけては、

リスナーの興奮をあおるような熱量高くエネルギッシュな楽曲のリリースが続き、それがグループの音楽面での推進力になってきた。が、結成10年目に突入する記念日にリリースされるニューシングルでは、

また違ったモードの彼らを見せてくれている。


 表題曲「音色」は、京本大我が主演するTVドラマ『お迎え渋谷くん』の主題歌。一聴して感じるのはメロディの優しさと声の表情だ。ミディアム・チューンの曲は〈あぁ このまま/僕ら一緒に 歩いて行こう〉というフレーズから始まる。冒頭のジェシーによるファルセットが耳を掴む。曲調はストリングスやホーンを配した包容力あるサウンドで、6人のハーモニーと歌詞のメッセージ性をストレートに伝えるハートウォーミングなポップソングになっている。

 サビでは〈出会えただけで 特別な毎日〉と歌われる。歌詞の内容は、ひょんな出会いから恋が始まるドラマ『お迎え渋谷くん』のストーリーに通じるものだろう。ただ、〈たまたまじゃなくここに着いた/変わらなくずっと歩いて来たんだ〉というフレーズからは、もうひとつのテーマとして、結成10年目となる彼らの関係性、6人の特別な結びつきを表しているのではないかとも感じる。〈あぁこれから 見たことない色で/まだ知らない 音色ができてく〉という言葉からは、未来へのポジティブな思いが伝わってくる。

 そういう意味でも、曲のいちばんの聴きどころになっているのは2サビのアカペラ部分ではないだろうか。ここでは〈出会えただけで特別な毎日/あぁこうして 僕らは今 歌ってる〉と歌われる。楽器やリズムの音がふっと消えるぶん、6人の声の重なり方に耳がいく仕掛けになっている。先日の東京ドーム3日目、ツアーファイナル公演ではアンコールで披露されたが、ここの箇所は今後のライブでも親密なムードを生み出すスペシャルなパートになるのではないだろうか。





シングルは初回盤A、初回盤B、通常盤の3形態でリリース。それぞれカップリングには異なる楽曲が収録されている。これまで様々なチャレンジを見せてきたグループの音楽性の幅の広がりを感じさせてくれる内容だ。

 初回盤Aのカップリングは「BE CRAZY -Rock Rearrange-」。原曲はファーストアルバム『1ST』初回盤A(原石盤)に収録されたナンバーで、SixTONES結成の2015年からあった初期の楽曲だ。6人の“絆”を象徴するようなアグレッシブな楽曲で、これを改めて収録するというところにも、グループの歩みを辿り未来につなげる『音色』のシングル盤としてのコンセプトを感じる。曲調は「Rock Rearrange」とある通り、ヘヴィなバンドサウンドを大々的にフィーチャーしたもの。曲中、6人の声とギターやベースのフレーズが掛け合いのように展開されるところにテンションが上がる。






初回盤Aのもう1曲のカップリングは「SixTONES nonSTop DJ MIX vol.1」。こちらは「こっから」「JAPONICA STYLE」「NEW WORLD」「So Addicted」「WHIP THAT」など全24曲の美味しいところを繋いだ約33分のミックスだ。


 初回盤Bのカップリングは「Hysteria ‒Rock Rearrange-」。こちらは2ndシングル『NAVIGATOR』通常盤のカップリングに収録されたナンバーで、やはり「BE CRAZY」と同じくデビュー前から歌われてきたオリジナル曲だ。歌詞の大半を英語が占めている楽曲だが、こちらは「Rock Rearrange」のバンドサウンドによってシンフォニック・メタルにも通じるドラマティックな要素がさらに前面に出ている。




初回盤Bのもう1曲のカップリングは「SixTONES nonSTop DJ MIX vol.2」。こちらは「マスカラ」「Call me」「彗星の空」「Bella」「この星のHIKARI」などをフィーチャーした、「~Vol.1」と同じく全24曲、約33分のミックスだ。




 そして、初回盤A、初回盤BがリアレンジとDJミックスでSixTONESのこれまでを辿るような内容になっているのに対して、通常盤のカップリングはグループの今とこれからを指し示すような楽曲が収録されている。


 通常盤2曲目の「ONE by ONE」は、エモーショナルで切ないギターと打ち込みのビート、そしてオートチューンのエフェクトをかけたボーカルが印象的な一曲。チルやラテンのテイストも感じさせる落ち着いた洒脱な曲調で、海外のポップ・ミュージックのトレンドとの同時代性を感じさせる。これまでのSixTONESの楽曲で言うならば「Hello」にも近い方向性だ。


通常盤3曲目の「LIKE THAT」はEDMチューン。バウンスするベースラインが身体に直接作用するような、ダンサブルな一曲だ。〈Thank God It’s Friday〉と始まり〈窮屈な世界からのescape〉と歌うリリックが象徴するように、直球のパーティーチューン。ライブはもちろんだけれど、DJイベントでかけても盛り上がりそう。


 通常盤の4曲目は「CREAK ‒AGGRESSIVE METAL Rearrange-」。「CREAK」は昨年8月にリリースされ、アルバム『THE VIBES』にも収録された前作シングルであるので、同じバンドアレンジの再録ということでも「BE CRAZY」や「Hysteria」と位置づけは異なる。こちらは「‒AGGRESSIVE METAL Rearrange-」とあるように、がっつりヘヴィメタルな方向性のアレンジだ。原曲は緊迫感あるフレーズやドラマティックなメロディの応酬が聴きどころのナンバーだったが、そのテイストをさらに大仰に推し進めたようなサウンド。パワフルなドラムサウンド、ギターのハイゲインなフレーズが曲を支えている。






もちろん表題曲の「音色」が今のSixTONESを最も象徴する一曲であるのは間違いないのだが、こうして3種類の形態に収録された楽曲の数々で多彩な音楽性を見せてくれるところにも、グループの音楽的な面白さがあると言っていいだろう。




Text:柴那典