U.K.PROJECTのレーベル部門とプロダクション部門が総力をあげて送る夏の恒例イベント

『UKFC on the Road』。

今年は新木場から新宿へ拠点を移し、

9月10日に開催された。

大トリを飾った[Alexandros]をはじめ、

WurtS、ART-SCHOOL、the telephones、POLYSICS、the shes goneといった人気アーティストが集結した

イベントの模様をエクスクルーシブな写真と共に

お届けする。





WurtS

WurtS 撮影=河本悠貴

WurtS 撮影=河本悠貴

2023年の夏は、初めて本格的に各地のフェス/イベントに出演、今日がその9本目になるWurtSが、Zepp Shinjukuのトップを務める。
DJ/ダンスやアジテート等のパフォーマンスを担うバンドメンバー=ウサギが放つSEが響く中、他のメンバーと共に登場したWurtSが、ギター・リフを弾き始めたことで、1曲目が「檸檬の日々」であることがわかり、フロアがワッと湧く。

次は「魔法のスープ」。つまり、新井弘毅とWurtSのギター2本の絡みが印象的な曲を2曲続けてから、ギターを置いてラップ調の「BOY MEETS GIRL」へ。間奏でウサギがサックスを吹く、おなじみのパフォーマンスも。
 「『UKFC』、僕は初出演ということで、ほんとに出れてうれしいです。ありがとうございます!」と挨拶し、UKプロジェクトから初めて出した楽曲が、1曲目の「檸檬の日々」だと説明するWurtS。「『UKFC』だから、UKプロジェクトにちなんだ楽曲を演奏したいと思っているので、みんな楽しんでいってください。」と、ギターを下ろして「NERVEs」を歌う。

「今日だけのセットリストでして、久しぶりにできる曲が多くて、僕もうれしいです」。自分は8月20日(日)の「MONSTER baSH」でのステージを観たが、確かにここまでの4曲で、その日も演奏していたのは「NERVEs」だけである。「MONSTER baSH」の方が、今年の夏フェスのセトリで、今日が「UKFC」用の特別なのだろう。最後まで観てわかったが。全曲、UKプロジェクトからリリースしたファーストアルバム『ワンス・アポン・ア・リバイバル』からの曲だった。

後半、「ブルーベリーハニー」からの「リトルダンサー」では、ウサギがステージ前に出てアジテートしまくり、オーディエンスは腕を大きく振ってそれに応ずる。「もっといけますか! もっといけますか! もっといけるだろ! 『UKFC』最高です、ありがとう!」というWurtSの叫びからのラストは、彼が最初に世に出た曲である「分かってないよ」。イントロで今日最大のハンドクラップがフロアを包み、後半では「もっとみんなの声が聴きたいです!」というWurtSの言葉に応えて、この日最大のシンガロングが繰り返された。

文=兵庫慎司


 [Alexandros] 



[Alexandros] 撮影=河本悠貴

さあ大トリ、[Alexandros]。サウンドチェックで「ワタリドリ」をやって、オーディエンスを喜ばせてから本番。SEが響く中、川上洋平が「Make some noise! 静かにしないでください、もっと騒いで!」とアジテートし、1曲目に入るがテクニカルなトラブルによりストップ。
で、即座に復旧は無理、と判断した川上洋平、「ちょっと曲、変更しますわ。今年うちら夏フェス出まくって、機材ぶっ壊れてるんですよ。いろいろ今日はトラブルあるかもしれませんけど、それさえも楽しませますんで!」。
そして「Dracula La」でスタートしたライブは、まさにその言葉とおりの、トラブルや咄嗟の変更さえ武器にする圧倒的なものだった。



[Alexandros] 撮影=河本悠貴

オーディエンス、川上洋平の意のままに、熱狂させられっぱなし。この「Dracula La」でも、続く「Waitress,Waitress!」でも、「Kick&Spin」でも、シンガロングやジャンプやハンドクラップやクラウドサーフが、止まらない。
考えてみれば、今年も各地のフェスで、自分たちのファンとは限らない2万人や3万人を相手に、毎週末これをやり続けてきた人たちである。だから、Zepp Shinjukuくらいのキャパで、ホーム中のホームである『UKFC』であれば、余裕なんだろう。とは思うが。にしてもすごい、フロアの温度の高さ。

4曲目では「新曲やっていいですか、俺達の仲間を紹介していいですか?」と、WurtSを呼び込んで、フィーチャリングで彼が参加した「VANILLA SKY (feat. WurtS)」を披露。これも今年、各地の夏フェスで行われてきたコラボである。
歌い終えた川上洋平、WurtSに「ほんとにこの夏はありがとう。各地のフェスに出演してくれたんだよね」とお礼を言う。「すべてはここにつながったんじゃないか、と思うくらい、最高の盛り上がりでした」。それから「Girl A」「we are still kids & stray cats」で、さらにフロアを熱狂の坩堝に叩き込む。



[Alexandros] 撮影=河本悠貴

メンバーがはけ、川上洋平ひとりで歌った「Adventure」では、彼のアコースティック・ギターに合わせて、オーディエンスがリードボーカルを取る瞬間も。何度目の当たりにしてもグッとくる、この光景は。
曲の後半で戻ってきて、演奏に加わったメンバー3人と川上洋平で、ラストは「city」。無論この曲でも大きなシンガロングが。



[Alexandros] 撮影=河本悠貴

アンコールでは、曲に入る前に、川上洋平、ちょっと長めにMC。「今日は、実はトップバッターのthe telephonesからずっと観てるんですけど。最高でした」と、出番まで各アクトを観ていたことを明かす。
「13年も一緒につるんでいると、家族みたいな気持ちが芽生えてくる。それをこれから後輩たちにも感じるんだろうなと思う、本当に最高のバンドたちが集まったいい事務所だと思うので、これからもよろしくお願いします」──と挨拶し、「最高の事務所ですよ。そんな事務所に入って最初の曲をやりたいと思います」と「For Freedom」を4人でプレイ。Aメロでのオーディエンスのハンドクラップ、歌と演奏を追い越しそうな勢いである。

「この4人で『UKFC』に出るの、初めてですよね? だから我々、新人の気持ちで今日はやってました」
「メジャーには行きましたけど、マネージメントはインディーズなんで。下北沢に心はあります」
という言葉からのラスト・チューンは「閃光」だった。この日最後の大シンガロングで、2023年の、初めて新宿歌舞伎町の3つのライブハウスで行った『UKFC on the Road』は、終了した。

移動しやすいし、観やすいし、繁華街だから便利。いいじゃん! と個人的には思ったが、残念ながらBLAZEは2024年7月いっぱいでクローズになることが発表されているので、次回もこの形で行うことは不可能。来年の『UKFC on the Road』がどうなるのか、楽しみに待ちたい。

文=兵庫慎司



UKFC on the Road 2023
「Zepp Shinjuku」「Shinjuku BLAZE」「Shinjuku MARZ」3会場開催
 

出演者:[Alexandros] / Age Factory / Are Square / ART-SCHOOL / Helsinki Lambda Club
LAYRUS LOOP / odol / peanut butters / POLYSICS / the dadadadys / the shes gone / the telephones / WurtS / ペルシカリア
※peanut butters出演キャンセル