3月25日に結婚を発表した俳優・中村倫也(36歳)と日本テレビアナウンサー・水卜麻美(35歳)。27日の『ZIP!』(日本テレビ系)では水卜アナが結婚の生報告をした後、挨拶のために日テレを訪れていた中村本人が急遽サプライズ出演。その仲睦まじい様子が大いに話題になった。



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 同番組では、水卜の好きなところについて聞かれた中村が「この絶妙に短い腕が」と回答し、それに水卜が「なんだよそれ! もっといいこと言いなさいよ!」とツッコミを入れるやりとりには「夫婦漫才」などのワードがSNSトレンド入りし、大盛り上がりに。しかし、その後、中村のその発言に「モラハラ」という指摘もSNSで続出。擁護派と対立するかのように、SNSでは議論が盛り上がり続けている。



中村倫也 ©文藝春秋

中村ファンには佐藤健でさえ「そこらへんの俳優」

 それにしても中村倫也の結婚発表は、お相手の意外性を差し置いても、かなり大きな話題になった。

 そこで思い出したのは、以前に公開した文春オンラインの記事だ。中村倫也をはじめ、今を時めく俳優たちの魅力を語ったにもかかわらず、ファンと思しき女性たちからTwitterのリプライやDMで“怒りのコメント”が何件も送られてきた。

《中村倫也くんを佐藤健とか、そこらへんの俳優と一緒にしないでください!》





《なんで中村倫也さんを他の俳優と一緒に並べるんですか? すごく失礼だと思います》

《中村倫也くんの唯一無二の魅力をわかっていないような人が、何も語らないでください!》

 おそらく子供の頃から、なんなら生まれたときからモテていそうな大人気俳優・佐藤健までも「そこらへんの俳優」と言い切るファンの熱量の高さは尋常ではない。



 SNSでは男性と思しきアカウントを中心に《中村倫也って、いわゆる雰囲気イケメンでしょ》《特別美形というわけでもないのに》《中村倫也の顔も名前もどうしても覚えられない》といったつぶやきが多数見られるが、なぜ中村倫也を“唯一無二”と語るディープな女性ファンがこれほど多いのだろうか。

 中村の容姿はあっさり童顔で、「子犬系」と呼ぶファンも多いように派手さのない小さな目鼻立ちは愛らしい系統だ。特別華やかだったり、整っていたりするわけではないだろう。

 しかしそうしたクセのない容姿に加え、芝居の巧みさによりさまざまな“魅力的な男の類型”を演じることができる。



中村が演じた“魅力的な男たち”にドハマり

『凪のお暇』(2019年・TBS系)で演じた“メンヘラ製造機”と呼ばれる天然人たらしから、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』(2018年)のゆるフワ系男子、『ホリデイラブ』(2018年・テレビ朝日系)のモラハラ夫、『今日から俺は‼』(2018年・日本テレビ系)の卑怯でチャラいヤンキー、『闇金ウシジマくん』シーズン3(2016年・MBS系)の結婚詐欺師、さらに“史上最強にかっこいい”と多くのファンに言われる『伊藤くんA to E』(2017年・MBS系)のピュアで優しい好青年まで、実に幅広く多彩な役柄を演じ分けてみせる。

「顔を覚えられない」と長年言われていたのも、いかようにも変化できる役者力の証左ではあるだろう。

 とはいえ、コメディからシリアスまで幅広く演じられる巧い役者はたくさんいる。彼が“唯一無二”である理由について、都内の会社員女性・K子さん(40代)はこう話す。



「中村倫也さんの魅力はなんといっても、いつでも余裕があってやわらかでユーモアがある大人の色気です。『ZIP!』に突然出演しても、柔軟で、笑いも織り交ぜてくるコメントがさすがでしたよね。頭の回転が速いんですよ。

 舞台『狐晴明九尾狩』(2021年)で安倍晴明を演じたとき、刀を飛ばしてしまったことがあったんですが、そのときもさすがの振る舞いで。セリフがとぶこともなく、顔色も変えずに乗り切って、余裕の微笑みを見せたときの色気にはやられました」

 また、都内の主婦S子さん(50代)もその思いをこう熱く語る。

「イラストまで可愛い」ファンがときめくマルチな才能

「中村倫也さんはトークライブもされるのですが、話がうまくて面白い。しかも自分で企画・構成・演出・グッズデザインなど全部やっているんですよ。

 エッセイからも文才を感じるし、イラストもシュールで可愛くて良い味です。結婚報告イラストもありましたけど、『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』(2022年・TBS系)では差し入れたお弁当の箸袋に石子と羽男の似顔絵を描いていました。公式Twitterが投稿し、すごく話題になったんです。

 文字もイラストも人柄が感じられる、やわらかくて可愛い感じですし、言葉選びのセンスもあって、料理も上手いから、まさにマルチですよね」

 ファンが絶賛する“マルチな才能”については、『美人百花』(2022年7月号)のインタビューで指摘され、こう語っている。

「いや、やりたいことをやっているだけです。仕事がなかったとき、この世界を目指す人が10万人いるとして、その中の1人になるには10万分の1の能力が必要だけど、自分にはそれがないなと思って。だったら10人に1人の能力をいくつも持って分母を増やそうと。そうすればいつか10万分の1になるって考えて、とりあえず何でもかんでもやっておくようにしたんです」

結婚ショックで立ち直れない“ガチ恋勢”の凄まじさ

 ちなみに両者ともに「水卜ちゃんも可愛いし、すごくお似合い」「2人の結婚はシンプルに嬉しい」と祝福ムードだ。



しかし一方で、結婚のショックから今も立ち直れないファンも多数いる。特に若い世代には“ガチ恋”勢が多く、SNSには結婚発表後、《病む》《無理》といったつぶやきが今も絶えない。

「中村倫也のSNSをブロックしてやった! ついでに水卜麻美のインスタもブロックしておいた」

  そう語るのは、都内私立大に通うA香さん(21)。もともと関ジャニ∞をはじめ、ジャニーズWEST、なにわ男子、関西ジャニーズJr.まで幅広く“関西ジャニーズ”を追いかけてきた彼女。彼らの熱愛報道にはそれなりにショックを受けるというが、「愛でる対象であるジャニーズと違い、夫と決めていたのは、中村倫也だけ。だから、ニュースを聞いたとき、水卜麻美って私の別名なのかなと思った」と真顔で語るのだ。

「たまらない」ファンを悩殺する“クズ男の色気”

 どこがそれほどまでに……とつい疑問がわいてくる。

「そのときによって、カッコよかったり可愛かったり、表情がくるくる変わるので、全然読めず、ドキッとさせられるんですよ。特に好きなのは、クズっぽい役です。クズ男ってやっぱりたまらない色気があるじゃないですか」(同前)

 実は若い世代を中心に、彼が演じてきた役柄の印象から「クズっぽい魅力」を語る女性は多いようで、SNSで調べてみると《クズっぽい顔がもともと好きで、クズ役似合いすぎで好き》《中村倫也のクズ感たまらなく好き》《中村倫也のクズ役、エロすぎる》といったコメントがたくさん見つかる。

 特に彼がクズ役として光ったのは、やはり『凪のお暇』の“メンヘラ製造機”ゴンだろう。一緒にいると、「好き」「可愛い」「面白い」など心地良い言葉をたくさん言ってくれ、最高に優しい。しかし、全く悪びれる様子もなく、同じことを他の女にもする。ある意味残酷な男だが、悔しいことにやっぱり一緒にいると心地良く魅力的で、女性は振り回されてしまうのである。

『半分、青い。』のマアくんも、ヒロイン・鈴愛(永野芽郁)が仕事でへこんでいるときには「元気出してのプレゼント」としてチョコレートパフェを差し出し、初めてのデートでキス寸前まで行くものの、2回目のデートでぶっきらぼうに姿を消してしまう奔放さを見せた。



ちなみに、肩に子猫をのせて現れるという仰天の登場シーンは、中村からのアイディアだったことが『A-Studio+』(2020年10月23日放送分・TBS系)で明かされ、ファンを沸かせたこともあった。

取材ライター「近づけそうで近づけない、うまさを感じます」

 もちろんそうした魅力は、彼の演技力から醸し出されるものだろう。ただし、彼を何度も取材しているエンタメ系のライターは、役柄に少し共通するような“つかみどころのなさ”を感じるという。

「中村倫也さんは頭の良い方で、質問の意図を的確につかみ、記事にしやすい具体的なエピソードなど交えながら語ってくれます。しかし深掘りしようとすると、うまくかわされてしまう印象があるんです。近づけそうで近づけない、本音を漏らさない、そうしたうまさを感じます」

 落ち着いた色気にマルチな才能、そしてつかみどころのなさ――。こうした魅力は中村の苦しい下積み時代によって培われたように思う。

 16歳で所属事務所の養成所に入所し、18歳で俳優としての活動を始めると、2つ目のオーディションで合格、映画『七人の弔』(2005年)に出演するなど、順調なスタートを切ったが、すぐに仕事が激減。25歳までは年間わずか数本の仕事しかなかったことを雑誌のインタビューなどでしばしば語っている。

中村を変えた先輩俳優ムロツヨシからの言葉

 2021年に『日曜日の初耳学』(MBS系)へ出演した際には、当時を「全部が敵だと思っていました」と振り返った。しかしそんな “暗黒期”に先輩俳優のムロツヨシから「じゃあ、お前何ができるんだ!」と一喝されたという。そこで何も言い返せず、「自分が赤ちゃんだと思うようにしました」「とにかくいろんなことを考えました。まず仕事をもらうには、どうしたらいいんだろうとか、そのためには普段からどう動けばいいのか」と考えるようになったようだ。

 イケメン俳優枠ではあるが、しっかり苦労をしてきた中村。そこで培われた魅力に、一部の女性たちが「大人の色気」を感じ、「クズっぽさ」にときめき、「頭の良さ」に心酔し、そしてスキがありそうで実は全くなさそうな「底知れなさ」に妄想をふくらませているのではないだろうか。

 推し活に慣れた現代の女性たちでさえ、“ガチ恋”させてしまう中村。既婚者というラベルさえ、新しい魅力に転換させていくことだろう。

(田幸 和歌子/Webオリジナル(特集班))