HSUの生前最後のレコーディング音源を収録





心地よくチルなムードと絶妙なグルーヴ感を
持った楽曲に、シルキーな歌声が響く。
東京を拠点に活動する2000年生まれの
女性シンガーソングライター、Haruy(ハリー)に
よるデビューEP。洒脱なセンスを感じさせるその
ヴォーカルだけでなく、
ベースラインにも注目の一作だ。




本作は昨年10月に急逝したSuchmosのベーシスト、HSUことHayata Kosugiがプロデューサーとして
制作した最初で最後の作品。
Suchmos活動休止後もさまざまな
アーティストのサポートをつとめ、
自身のプロジェクトでの楽曲制作に取り組んできた。

そのなかで気鋭の3ピースバンドTastyの
ベース・ボーカルとしても活動するHaruyと出会い
、彼女が歌うことをイメージして書き下ろした「Swimmer」をきっかけに共同制作をスタート。
ダンサブルなシティポップの「Swimmer」、
ダウンテンポのR&Bバラード「Lovely」などの
EP収録曲でもベースはもちろんHSUがプレイ。
彼の生前最後のレコーディング音源だ。

瑞々しいメロディと壮大な曲調を持つエレクトロナンバーの「Ryan」も印象的。HSUから次世代を担う
Haruyへ、卓越した音楽センスのバトンが
渡されていることを感じる。



Haruy『MAO』
SPACE SHOWER MUSIC デビューEPはSuchmosのHSUことHayata Kosugiをプロデューサーに迎えた一作。瑞々しい歌声とチルな曲調、グルーヴィーなベースラインが気持ちいい。

Tomonori Shiba
音楽ジャーナリスト。音楽やカルチャー分野を中心に幅広く記事執筆を手がける。著書に『ヒットの崩壊』『平成のヒット曲』などがある。

TEXT=柴 那典