『彼女の想いで』(かのじょのおもいで、Magnetic Rose)。大友原作の同名の漫画(かつ短編集)をベースとしているが、設定や登場人物は大幅にアレンジしたものである。
あらすじ
2092年の宇宙空間でスペースデブリと化した
人工衛星などを処理する作業員4人を乗せた
宇宙船「コロナ」は帰途に就く最中、
救難信号を受信する。向かった先は
「サルガッソー」と呼ばれる宇宙船の墓場であり、発生する磁場をすり抜けながら発信元の
バラのつぼみの形状をした遭難船にたどり着く。
乗組員であるハインツとミゲルは救出に向かい
遭難船に進入するが、そこで見たものは形だけは
当時の面影を残す居住ルーム、そしてかつて
オペラ界で名を馳せていた
女優エヴァの数々の思い出であった。
しかし先に進むにつれミゲルがエヴァの幻覚に
堕ち、ハインツも過去のトラウマの幻覚に
怯えながら突如受けた攻撃に応戦。
一方で難破船の外では次第に強力化される
磁場が対磁気コーディングを施していない
「コロナ」に影響を及ぼし、
難破船に取り込まれようとしていた。
幻覚や磁場の原因は遭難船にある
中央コンピューターからであり、
ハインツはエヴァの幻覚(実際は中央コンピューターによって操作されているホログラフィーをまとったロボット)と中央コンピューターを攻撃。
「コロナ」も全滅を防ぐため人工衛星破壊用兵器「アナライザー砲」を使用してハインツやミゲルが残る遭難船を破壊しようとするが穴を
開けたにすぎず、ハインツは開いた穴から
宇宙空間に投げ出され、「コロナ」はそのまま遭難船に取り込まれてしまった。エヴァのロボットは周辺をホログラフィーによる劇場に変えてオペラは終劇となり、幻覚に取り込まれたミゲルはエヴァと共に思い出の中に生き、一方宇宙空間に投げ出されたハインツは宇宙服の中を舞うバラの花びらに息を吹きかけたところで物語は終わる。