おじいちゃん、と思っていた知り合いのあるベテラン畳屋さんからまったく想像していなかった言葉を聞いた。
‘後楽園のグランドファンクはすごかったよ’
71年7月の伝説となっているGRANDFUNK RAILROADの後楽園球場公演を見に行っていたという。ショッキングだった。なにがショックだったかって、ロックはすでにおじいちゃんの音楽になっていることを目の当たりにしたから。プレスリーやコニー・フランシス、ブレンダ・リーなんかはおじいちゃんの音楽になって久しい?が、そろそろベンチャーズも…なんて思っていたら一気に70年代の‘新しい’ロックもおじいちゃんの音楽になってしまった。ビートルズは常に新しいファンがいるから心配はいらない。
考えてみれば53年前だ。当時まだ10代だった畳屋さんも、今では70をいくつか超える年になっている。昔は70を超えたじいさんがエレキだハード・ロックだなんていう姿は想像できなかったものだが。彼は今でも‘ロック小僧’だそうだ。
その公演が伝説として語られている理由は、豪雨下のライブだったからだ。雹まで降ったといわれる。ここ1週間で関東以西を蹂躙している台風10号は多くのイベント、とくに音楽イベントを中止に追いやった。開催者側は数日前に中止を発表することが多かったが、ここ数年の社会的圧力と日本人の無責任体質が大きくその中止判断に影響を及ぼしたことだろう。
後楽園のグランドファンクのメンバーは、登場直前に雨風が強くなり開演が遅れていても‘必ずやる’と意気込んでいたという。それが場内にアナウンスされ、満員の観客はずぶ濡れでバンドの登場を待ちわびた。遅れに遅れ、午後11時近くに終演したコンサートは伝説となった。
この週末に中止された数多くの音楽イベントでは、もしかしたら伝説になるチャンスを逃したアーティストもいたのではないかと、まったくの外野の俺は考えている。
それにしてもこの1週間ほど、毎日雨が降る。1日中降りっぱなしということはなく、突如豪雨になりときどき晴れる、の繰り返し。昨晩も豪雨と雷鳴はすごかった。
びっくりしたのが、海外でのこの台風10号の取り上げようだった。
英紙THE SUNや米CNNなど、いくつかの媒体が宮崎あたりからのライブ・カメラをYOUTUBEで生配信していた。意外やその画面からでは普通の荒天だったので拍子抜けだったのだが、日本が注目されることなど異例だ。なんかこう、世界をリードするような偉業が注目されてほしいけど、日本からはそんな話題が出るわけがない。
そんな天候がずっと続いていたけれど、週末のコテージ行にむけて当然準備はしていた。でもさすがにこの週末は取りやめた。屋根が鉄板でバリバリうるさくて、傍らの川はゴーゴー大音響をたてるし、なにより我がコテージは崖直下にある。怖い怖い。行けなかったことは本当に無念だけれど、何回か経験した豪雨下の滞在での恐ろしさと心細さはもう二度と経験したくない。荒天が予想されるときは行かない、と堅く決めていた。しかたない。
はたして、一昨日、昨日と現地ではだいぶ雨が強く降ったよう。神奈川県西部が今回はだいぶ降雨があったというのは報道のとおり。
また週末はやって来るよ!