写真記録 これが沖縄戦だ 改訂版 | 健全なVINYL中毒者ここにあり

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先月、自宅近くの古書店で捕獲。(★)以前紹介したこの本の改訂版とのことで、比べるとサイズが大きい。冒頭の大田さんの言によれば、以前の版は地元新聞に連載されたものそのままで、内容については必ずしも満足できるものではなかったという。出版後も毎年アメリカに通って写真、機密文書を集めて、今回は記述面では全面的に手を加え、写真も新しく入手したものを優先的に載せたという。

 

以前紹介した前版のものは借り物であったので手元にない。しかし比べてすぐにわかるのは、死体が多い。新聞連載では使えなかったであろう、凄惨な戦場の写真。撮影者は米軍なので、当然日本兵の死体が多い。そして投降する日本兵、収容所に半裸でうつむく日本兵。敗残兵の悲しきこと。でもしかし、圧倒的につらいのは、子供、女性の死体の数々。男は根こそぎ守備要員として動員されたので、年寄りしかいない。

 

俺や子供たちもこのように死ぬ日が来るのか。日本人は悠々とそんな未来を受け入れようとしている。俺が近頃怒ってばかりいるのは、そんな日本と日本人に苛立ちを覚えるからだ。毎年同じような‘平和’を尊ぶ作文を学生に読ませ、その式典にとりあえず出席する首相、それをとりあえず報道する新聞テレビ。それを見てとりあえず‘平和が大事’と言う日本人。血まみれの表紙の少女に、78年後の日本の姿を見せることは俺はできない。

 

昭和52年 (手元の一冊は平成14年刷)

那覇出版社

大田昌秀 著

 

購入価格 : \220