大本営海軍参謀 最後の証言 | 健全なVINYL中毒者ここにあり

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吉田さんの文体は講談調というか、トントンと小気味よく進む。あとから聞いて作ったようなはなしだが、海軍参謀として多くの逸話を持つ男。おそらく要職にあった海軍軍人としては、いちばん最近まで健筆を振るっていた方(平成18年没)。何を読んでも面白いのは間違いない。

 

副題に‘海軍の智恵と心’とあるが、本書のテーマはとても大きくて帝國海軍。本質、行動、考え方、教育などなど、あちこちあれこれなんでも書く。よかった点、わるかった点どちらも自らの経験、戦後に何百人からの聞き取りなどをもとに、遺言のごとくづらづらと連ねる。パソコン、インターネットについて語る参謀、なんて本書以外ではお目にかかれない。

 

基本的には‘海軍はよかった’という思いに溢れているのだが、どうも焦点がぼやけていて、数多くの吉田さんの著作の中ではダルな印象をもった。やっぱり、たまに出てくるご自分の見聞きしたはなしは面白いのだけれど、そのへんばかりをまとめた本ってあるのかしら?

 

平成24年 (原著は平成11年)

光人社NF文庫

吉田俊雄 著

 

購入価格 : \108