米軍基地と神奈川 | 健全なVINYL中毒者ここにあり

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神奈川県民歴50年にもならんとする俺からいうと、米軍基地はあってあたりまえ。空を覆う轟音もいつものこと。横浜市内はもちろん、座間、厚木、相模原、横須賀等々、米軍はどこにでもいる。慣らされてしまっているが、考えてみれば異常なことだ。なぜ米軍の存在を当然のように受け止めてしまっているのか、その疑問を感じざるをえない。

 

‘日本最大の軍県’であった帝國陸海軍にとっての神奈川から始まるかと期待していたのだが、基本的には戦後の米軍進駐から始まる。軍都相模原の成立についてはまあまあ書かれているが、軍港横須賀についてはあっさり。マッカーサーの厚木飛行場到着当日の、山下公園前のホテル・ニューグランドへの通行ルートがずっと俺には謎だったのだが、ここで初めて詳しく知れた。またベトナム戦争時の戦車輸送阻止闘争、米軍将兵による日本国内での犯罪などについては興味深かった。

 

横浜市内だけで最大89箇所が接収されたが、いまや鶴見の貯油施設、瑞穂町のノース・ドックを除いてすべて返還されている。その接収解除の順序、時期が現在の横浜、神奈川の形成に大きくかかわっていると。‘米軍基地になったことで日本海軍時代の建造物が解体を免れ’‘米海軍横須賀基地は歴史的な軍事的遺産の宝庫となった’とわざわざ指摘しているが、今わが横浜市は上瀬谷通信隊跡地の貴重な山野をつぶして、バカなイベントをしようとしている。米軍がいてくれたほうがいいのか。

 

平成23年

有隣新書

栗田尚弥 編著

 

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