還って来た紫電改 紫電改戦闘機隊物語 | 健全なVINYL中毒者ここにあり

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昭和17年の暮れにラバウルに進出したのがデビューということで、もっとも激しいソロモンの戦闘には少々出遅れたが、幾多の空戦をくぐりぬけよくぞ生き残ってくれました。全海軍搭乗員中でも、出撃回数が最多に近く数えられる方。左側のキリッとしたお顔の方が宮崎さん。誰からも‘ミヤさん’と呼ばれ、多くの人から愛されたキャラだったことがうかがえる。名門丸亀中学出身なのに(中退らしいが)、水兵からのたたき上げ。

 

これはかなり理想に近い戦記だ。空戦のこと、部隊のこと、隊員のことばかり書いてある。そして登場人物の豪華さでは、本書の右に出る書はないのでは!?横須賀で教育を受けたのが片翼帰還の樫村寛一(中学の先輩)、その後の部隊では武藤金義、周防元成、新郷英城、関行男、志賀淑雄、源田實、菅野直、杉田庄一などなどと翼を連ねたはなしが面白くないわけがない。菅野大尉の傷ついた紫電改機内での最後の顔を見たのも宮崎さんだった。

 

表紙には紫電改だらけだが、343空で紫電改を駆ったはなしは最後半にちょっとでてくるくらい。終戦までいたその343空でも、最後の大村時代は零戦が多かった。中身には写真が多い。戦死した仲間の肖像がたくさん。宮さんは不時着4回、うち3回は海水を飲んでも生き残ったからこそ、彼らの最期がここに伝わっている。

 

平成17年 (原著は平成5年)

光人社NF文庫

宮崎勇 著

 

購入価格 : \110