初のLPサイズのフル・アルバム。正式な演者の名義は‘PETER SELLERS with IRENE HANDL’で、HANDLはドイツ系英人のコメディー女優。2曲に参加しているに過ぎないので気にしないでいい。コメディー系レコードのプロデューサーとしてのジョージ・マーティンの代表作でもある。
相変わらず歌はおまけみたいなもので、セラーズがしゃべりまくる。しかし、このアルバムは意外な曲で幕を開ける。FRED FLANGEが歌う「YOU KEEP ME SWINGIN'」。アルバム・タイトル自体がフランク・シナトラの『SONGS FOR SWINGIN' LOVERS』のパクりなのだが、FLANGEはまさに英国のシナトラ!PARLOPHONEで売れに売れたFLANGEのPARLOPHONEデビュー作。本当はセラーズのためにガイド・ボーカルを入れただけだったのだがセラーズがうまく歌えず、結局そのままここに収録された。これを縁にジョージ・マーティンに拾われたのだから、FLANGEにとってはセラーズ様々だろう。ちなみにFLANGE氏、その名前は音響効果の‘FLANGING’のもととなったことでも音楽界に足跡を残した。
まじめに書いてありゃしない裏ジャケ。このレコードを楽しむためには、‘おばあちゃんは部屋から追い出せ’と書いてある。万事この調子。FRED FLANGE氏の詳細については、‘おもに政治的理由により秘密にする’と。
B面最後の「PETER SELLERS SINGS GEORGE GERSHWIN」まで手の加えようがない芸術品。A④「MY OLD DUTCH」、B①「PUTTIN' ON THE SMILE」がカップリングされてシングル・カットされている。
59年
UK
PARLOPHONE
PMC 1111