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NFPAと資本主義

NFPA
(National Fire Protection Association)
日本語で言うと、全米防火協会となります。

NFPAは1896年に設立された国際的な非営利団体で、炎や様々な困難から危険性の低減を計るために様々なStandard(規格)を提供したり、研究、トレーニング、および教育を行なっている組織です。

全世界で7万5000人以上会員がNFPAを支えています。

ロープレスキューでは、北米メーカーのカラビナやその他、救助器材にNFPA1983の刻印があり、
NFPA1983(Standard on Life Safety Rope and Equipment for Emergency Services)を目にすることがあるかもしれません。
1983などの数字は各スタンダード固有の番号で年号ではありません。
この1983は消防業務で使用するロープ及び器材についてのもので、消防業務で使用出来るロープの総称のLife Safety Rope(ライフセーフティーロープ)ついての規格や金属製の器具について規格が書かれています。

世界中探しても消防業務に限定した製品規格を提供している団体は、まれな存在で他に類を見ません。
一般的なヨーロッパのCE規格や日本のJIS規格とは違った意味を持っています。

規格の影響力、知名度は絶大で非営利団体ですが全米の消防組織が尊重し従っています。
この事実は救助器材メーカが無視出来ない重要なことで規格に沿った商品開発が行なわれます。
商品についても規定により製造ロットごとに強度検査がなされるなど厳格なチェックが行なわれ最前線で活動する隊員の負担とリスクの軽減がされています。

NFPA1983は5年ごとに改訂され、改善されています。
その度に製造メーカーは規格に合った商品の開発をしメーカー間で正しい競争が行なわれます。

資本主義社会でこの競争原理は重要で、この競争に正しい目標を与える意味は大きいと思います、前回の改訂では全般的用途に用いられるロープの最低直径を12.7mmから11mmへ変更しましたが、当時の市場には11mmでNFPAの規格の適合するロープは存在していませんでした。
現在も北米消防において12.7mmロープの使用が一般的ですが、11mmへの変更によるロープ自体の重量と体積が少なくなることでの負担軽減、器材の発展を見越し将来への可能性を追求する意味合いで規格が先行しています。
あくまで規格の範囲内で現場が使用直径を判断しますので11mmロープが将来的に選択されるかどうかは消費者次第です、しかし各器材メーカーでは新たな可能性と売り上げを追求するために開発競争が行なわれ、進歩発展します。

NFPA1670(Standard on Operations and Training for Technical Search and Rescue Incidents)
1670では捜索救助活動に加わるための訓練内容などが記されています。
アメリカでは規格に準拠する民間訓練が多数存在し、多くが民間機関で訓練を受けています。
このことにより当然、より良い内容で負担とリスクの軽減できるコースを消費者である救助機関は選択し、訓練機関はより多くの受講生を獲得し売り上げを伸ばすべく解りやすい講習や安全で簡単な技術の研究が進みます。
売り上げをあげた機関は、予算を使って実験、研究、提案など現場のリスク軽減の為に努力を怠らずに開発競争が行なわれ進歩発展しています。

アメリカでは安全に貢献する文献だからといってNFPAのStandardを無断でコピーし無料で配布するようなことはありません、必要な人はみなさん正規に会員になりStandard購入しています。
インターネット上で探してみても正規購入以外では無料でみることの出来る目次のようなものを除いては発見出来ません。
Standardを作ったり改訂するにも大変な予算が必要で違法コピーが映画、音楽産業にダメージを与えるように違法コピーがまかり通ればNFPAは成り立たないでしょう。

興味のある方は、ホームペイジから簡単に会員になれますので入会して数百ある様々なStandardから知りたいものを購入してみてはいかがでしょうか?


一市民として危機管理上、日本でも救助者の困難から危険性の低減を計るため効率的な仕組み作りなされることを期待します。

Static rope

スタティックロープって?
どんなロープでしょう。
のびにくいロープはスタティックでしょうか?

明確な基準が存在し、その基準は、
米国のCordage Institute(直訳すると索類協会、以下CI)のStandard 1801-98に規定されています。

Staticは破断荷重の10%の負荷をかけたときに伸びが6%以下であること。
同条件で6%以上で10%以内の伸びのものはLow Stretchとなります。

NFPA(全米防火協会)の1983(Standard on Life Safety Rope and Equipment for Emergency Services)では伸び率についてCIの基準に沿うことになっていますので、北米で救助に使うロープの伸び率についてはCIの基準が基本となっています。

北米で救助用スタティックロープとなるとNFPA1983に沿うことが必要なので破断荷重の10%の負荷をかけたときに伸びが6%以下であることの他に、いくつかの基準をクリアーする必要があります。

また、上記の他にセミスタティックロープという基準も存在します。
EU圏のCE基準(以下CE)でEN1891では50kgf~150kgfの荷重変化で5%以下の伸び率となっています。

スタティックロープとセミスタティックロープは全く別の基準ですので当然、外見がほぼ変わらなくともロープは別のものです。

単純な比較ですが一般的な北米での救助用ロープは直径12.7mmですので破断荷重は最低40kn(約4t)と仮定され、その10%は400kgになり、この場合のCIでの伸び率測定時負荷と考えられます。
EN1891では150kgf(約150kg)の負荷での伸び率測定と考えられます。

400kgと150kgでは伸び率測定の負荷が全く違います。

伸び率だけで比較するとCIが6%以下でCEが5%以下とパーセンテージだけをみてしまうとCEの5%以下が伸び率が低くみえます、しかし実際同じ負荷で計測すると当然この2種類の基準で製造されたロープの伸び率にはかなりの差が出ることになります。

伸び率や破断荷重の基準は安全性の直結しますので、間違った選択は致命的な危険性になります、基準は安全を守るために存在していますので理解することで、目的に合った正しい選択をしたいと思います。

ARTIFICIAL HIGH DIRECTIONAL

最近、マンホール救助器具(ロールグリス)に変わって消防車両に搭載される、アリゾナボーテックスなどのロープレスキュー用のフレームですが、
ARTIFICIAL(人工) HIGH (高い)DIRECTIONAL(方向)
と英語では総称され通称AHDと呼ばれています。

商品として
Rock ExoticaのVortex Multipod
http://www.rockexotica.com/

$keep it simple-AZV ハイライン

SEATTLE MANUFACTURING CORPORATIONのTerrAdaptor
http://www.terradaptor.com/

$keep it simple-TerrAdaptor ハイライン

RESCUE TECHNOLOGYのarachnipod
http://www.arachnipod.com/

$keep it simple-arachnipod

などの商品が日本国内でも購入が可能です。

これらを使用すると、エッジでの危険性が軽減出来る利点があります。
ハイアングルレスキューにおいて事故がおこる可能性が高いエッジを超える作業では高い位置からのロープの補助によって、進入、取り込みの負荷が軽減され力学的、心理的に救助者の負担を軽減してくれます。
もちろん、ロープ破断の重大要因であるエッジを回避出来るのは言うまでもありません。
ただし、使用することによって利点の多いAHDですが設定に時間がかかり過ぎたり、力学的整合性がとれていない無理な設定による事故など課題もあります。
しかし、それらの課題は適切な訓練を行なえばおおむね解決出来ます。

物理的な法則さえ理解すればどのフレームを使用しても同じこと、フレームごとの強度、特徴はありますが、一つのフレームの使い方を極めれば他のフレームの長所、短所をふまえて使うことが出来るでしょう。
Keep it simpleでは依頼にもと付きAHD講習会を行ないます、ご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
尚、講師は日本国内に2名いる、アリゾナボーテックスインストラクターコースを修了した者のうちの一人が開発者からのエビデンスに基づき講習を担当いたします。
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