翻訳関連の仕事をしていることをblogに書いていることもあり,
「私も,翻訳の仕事をしたいので,ひよさんがトライアルに合格した会社を紹介してほしい」
といった個人的なメッセージを頂くことがあります。
私も,過去には翻訳学校(通学・通信共に)にお世話になった経験があり,学校の方にどうやって実務経験を積んで力をつけていけばよいのか…を模索して,相談した経験があるので,同じようにこの業界を目指される方のお役に立てるならば…とも思うのですが…。
これまでにも何度か書いている通り,翻訳の仕事(私の場合「実務翻訳」ですが)に応募するにあたっては,英語の仕事をするにあたって最低限の英語力が求められることはもちろんなのですが,だからといって,TOEICのハイスコアや英検の上位級を取得したことがすぐに実務につながるかというとそういうわけでもなく…
当該業界・分野での経験なども大切なので,バックグランドをよくわからない状況で無責任に会社を紹介したり,個別のご相談に対応することは控えています。
また,各社のトライアルについても,これから受験される方にとっては,”どんな感じ”と興味のある内容だとは思います。
私個人の考え方として,各翻訳会社が採用選考を目的として行っているトライアルの課題の内容(難易度等)については,実際の業務と同様に公開するべきではないと思っているので,こちらについて今後も書く予定はありません。
翻訳会社によっては,受験の時点で「一切の公開は厳禁」とされていたり,「提出後にトライアル課題は破棄すること」をお約束してからの受験になるところもあります。受験スタイルも様々で,課題完成までにかかった時間を自己申告する会社もあれば,きっちりと時間を区切ってトライアルを受験する会社もあったりしました。
ただ,関心を持って遊びに来てくださっている方に,有用な情報がないままでは申し訳ないので,2019年に公開した「翻訳のお仕事を探す」参考になれば…と,Upした記事を一部加筆・修正して再掲載いたします。
お仕事探しのヒント(というほどでもないかもしれませんが…)を以下にまとめてみました。
翻訳者ネットワーク「Amelia」を利用する
翻訳の勉強をされている方や,翻訳関連のお仕事を探している方であればご存知の方が多いと思いますが…「Amelia」に登録すると,会員限定の求人コーナーから現在会員向けの求人をしている翻訳会社の情報を見ることができます。
ご自身のスキル,ご経験,専門分野などが公募中の翻訳会社の条件と合致すれば,会員サイトから直接応募することも可能です。
Ameliaの登録は有料ですが,お仕事探し以外にも,会員対象のトライアル等も実施しているので,
「会費を支払った分,すべての特典を使い倒して仕事も見つける」
くらいの気持で会員登録して活用するのも手です。
私は,Ameliaを通じて自分から応募した会社とスカウト機能でお声がけ頂いた会社にご縁があり,お仕事を頂くようになり,会費分は十分にモトをとったので,加入して良かったと思っています
日本翻訳連盟のサイトを利用する
日本翻訳連盟の公式サイトには,この連盟に加盟している会社のリストは公開されていますので,各企業のオフィシャルサイトを訪問し,”求人”のコーナーから探すという方法もあります。
トライアル応募に際してもうひとつ。
受ける前にあまり考えたくないことですが…トライアルに合格ができなかった場合,会社によって,次回以降の応募に一定の条件をつけているところが多いです。
私が見た限りでは,「同一職種に応募する場合,〇か月(〇年)経過」というものが多かったです。
過去に応募した会社に,再度チャレンジを希望する場合,”前回の受験時期”についてしっかりと確認した方がよいですね。
翻訳会社もいろいろで,特定の分野を専門にしているところもあれば,幅広くいろいろな分野を取り扱っている会社もあります。
また,外資系の翻訳会社の場合,登録手続きの書類も全て英語で,実際に仕事を受注する際の一連の作業(お仕事のご案内→受注→作業開始→作業上発生した疑問の問い合わせ→作業終了→納品→請求書発行→支払い…)を全て英語でやりとりをして支払いもドルで…ということがあります。
登録後,気持ちよく仕事をして長くお付き合いをしていくためにも,最初の時点でわからないことはしっかりと確認してクリアにしてから次のステップに進まれることをお勧めします。
ここから先は「お仕事探し」からは少し話がそれますが…
私がこれまでにトライアル通過後に翻訳会社さんから,”お仕事を委託するための条件”として提示されたことのうち,早めに準備をしておいた方がよいことを挙げておきます。
会社によって,求められる内容はさまざまでしたが,以下に挙げているものは複数の会社から言われたものなので,在宅で仕事を受けることを考えているならば最低限整えておく(もしくはトライアルに受かったら整えられる)ようにしておくことをお勧めします。
無料のメールアドレスは不可
Gmail,Yahoo Mail等の無料で取得できるメールアドレスを使っている方は多いですが,翻訳会社のやり取りにおいては「無料メールアドレス不可」としているところが多いです。
(トライアルに応募する段階で,連絡先として無料アドレスを使うことは不可としていたり,無料アドレスから送信されたメールでの応募は不可とされているところもありました。)
在宅でのお仕事を受けることを検討されているのであれば,お仕事用に有料のアドレスを取得してトライアルに臨まれた方がよいかもしれないですね。
作業用PCの準備
ウィルス対策ソフトがインストールされていることはもちろんなのですが,サポート対象外になってしまっているOSやソフトウェアを使用しての作業は不可としているところがほとんどです。
書類選考の段階で,作業用PCのOS,使用可能なソフトウェアとそのバージョンの情報については開示しなくてはならない会社がほとんどでした。
トライアルに合格できるかどうかもわからない段階でPCを最新の状態にするのも…ということもあるかと思いますが,翻訳会社からの求人募集記事の中には業務で使うソフトウェアや推奨されるバージョンについての記載がある場合もあるので,しっかりと確認しましょう。
(採用後は,作業用PCの詳細,使用可能なソフトウェア,ウイルス対策ソフトの名称やバージョン等の提出を求めてくる会社がほとんどです。)
また,”家族との共有PCでの作業を不可”としているところや,”やむを得ず,共有PCを使うのであればユーザーアカウントを追加して,家族が契約者の作業環境にアクセスできないようにパスワードなどを設定するなどして対応をすること”といったことが条件になっているところは多いです。
作業環境など
基本的に,翻訳会社のファイル授受用の専用サイト使って,原稿や作業用ファイルをやりとりすることが多く,紙ベースでの資料をやりとりすることは少ないですし,電子ファイルで送られてくる作業対象の資料を印刷禁止とされていることが多いです。
作業を依頼される文書の多くは,企業が開発中の製品であったり,非公表情報などで,たとえ家族であっても(家族の勤務先が異業種でも)文書を見せたり,内容を話したりすることは厳禁。
翻訳会社によっては,
「施錠可能な作業部屋を確保する」
もしくは
「施錠可能なキャビネットを用意し,作業中に家族が入室するのを制限する」
といったことを契約条件に挙げていた会社もありました。
フリーランスでの契約ですから,契約して登録したからといって仕事をもらえる保証はないし,これから先,どれだけ稼げるかもわからないのにそこまで準備は無理…と,思う方もいると思いますが…
大事なことは
「翻訳会社とやりとりする文書はそのくらい厳重な管理をしなくてはならない機密性の高いものなのだ」
という自覚を持つこと。
紙であろうと電子ファイルであろうと,お客様からお預かりするものは全て,業務終了(納品)後に完全に破棄することが求められます。今後の参考のために…と勝手に保存しておいて,それが漏洩したら大問題になるので,お預かりするものは全て「機密資料」と考えて取り扱うことが基本。
仕事を受託して自宅で作業をする上で,家族に協力してもらって環境を整えることも必要になりますので,受注を始める前にできることから準備はしておいた方がよいと思っています。
私は在宅で仕事を始めた頃に,鍵付きのキャビネを用意し,私の作業時間中に家族は仕事部屋に入室しないということにしています。
私の作業時間は主に昼間で夫の不在の時間帯なので,これまで不便を感じたことはないです。
このblogに遊びに来てくださっている方の中にも,翻訳関連の仕事に興味があったり,その仕事に就くために英語学習に励んでいる方がいらっしゃるかと思います。
英語力Upにつながる情報で申し訳ないのですが,近い将来,トライアルに合格→登録→仕事開始…となった時に慌てないために,「仕事部屋はどうしようかな~」「PCはどうしようかな~」などなど頭に描きながら準備期間も楽しんでいただくきっかけになれば幸いです。
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