テレビでは、東京スカイツリーから見る満開の桜が美しいとの報道があり、
地元警察での申請手続を昼過ぎまでに終え、実家近くのマッサージ屋を経由して
京急で押上まで足を延ばした。
18時からは、定年まで勤めた会社の同期会が日本橋であるので、それまでの時間つぶしと
いった趣で、東京スカイツリーから業平橋、そして隅田公園へ歩を進めた。
みなとみらいのラウンドマークタワーには、貧者、弱者とを隔絶し、階層的光と影を際立たせるが
東京スカイツリーにはそうした威容も感じさせない。田舎者の成り上がりの可愛さが伺える。
三菱と東武の違いと見てしまえばそんなことであるのかもしれないが、変な突っ張りも、
貧者や経済的弱者を落ち込ませる敷居の高さも伝わってこない。
近代的な建物として存在はするのだが、東京の下町に位置するためか貧者や弱者の希望の
星であるのかもしれない。そうしたシンパシーを抱かせてくれるのだ。
ソラマチもタワーもオープンしていないのだが、この物体は人を呼ぶと勝手な確信を持って
しまうのだ。栄える商業施設の要件を備えていると直感さえ与えてくれるのだ。
そんな元百貨店マンの感性を弄びながら、満開の桜咲く隅田川、隅田公園へ引き込まれる
ように前に前にへと前のめりになりいながら歩を強めた。
向島から浅草方面に向かうために横断するための隅田川に架かる橋を言問橋とという。
東大本郷から根津辺りへ下った道が言問通りだったが、あの道の先に言問橋があったことになる。
満開の桜と交差する東京スカイツリー
隅田公園の桜が、テレビで何度も取り上げられている。見参したのは今日が初めてである。
月曜日であったが、土日の余韻も残ってか多くの人々が桜を愛でては祝杯を交わしている。
そして隅田公園に集った人々は、浅草寺方面に流れていく。
浅草寺へ通じる仲見世を巡り、アジア、欧米と世界の人々が行き交い、日本の価値を
照り返すように浮かび上がらせる。
浅草寺を抜け、花やしき方向へ、個性的な出店が並ぶ。
桜が馴染む日本の風景もまた、進化をつづけているようだ。
4月8日の日経春秋を取り上げて桜批評でもと洒落てみようとしたのだが、意図した展開に
はならなかったが、ここで〆たいと思う。
●日経春秋(4月8日付け)