10月29日、京都立命館大学朱雀キャンパスにて開催された「成年後見法学会第8回学術会議

への出席を挟んで、定年後ご無沙汰していた大阪の百貨店を前日の28日に訪れるべく、とりわ

け今年の5月に開店した梅田のJR伊勢丹三越と昨年三月に増床リニューアルした難波髙島屋

を巡り、関西の友人との再会も実現しながら、この目で確かめたのだった。


翌日30日には、再生商店街のモデルとされ、NHKeテレビの仕事学のすすめで取り上げられた

西郷真理子さんが手掛けられたという長浜黒壁商店街にも訪れることができた。

また、予定をしていなかった近江八幡に足を伸ばし、小雨降る中であったが、古き商家の佇まい

や映画やテレビのロケに使われる八幡堀の景観を楽しむことができた。

加えて、日牟禮八幡宮の境内にあるたねやで和菓子を、クラブハリエでは洋菓子を土産物として

調達。八幡堀沿いの食べ処では、ビアを片手に、近江牛と赤蒟蒻の丼を食し、心地よい昼食の時

も過ごせた。


●近江八幡の町並み

http://www.omi8.com/annai/machinami.htm




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大阪駅9時26分着ののぞみだったため、10時の開店まではJR伊勢丹三越の屋上庭園、屋上

農園なるものを中国人視察団と交差しながら巡る。


視察団は流通業者風ではなく店舗建築に興味をもったグループのように思われた。


新宿髙島屋タイムズスクエアの時もそうだったが、国内外からの店舗環境に対する視察は開店

からしばらくは続くものだ。駅につながる大規模商業施設として関心が高まるのは十分頷ける。


JR京都伊勢丹の成功、JR東海の名古屋高島屋の成功と続き、ウォッチングできていない博多

阪急も評判はいい。


いやがうえにもJR伊勢丹三越の動向に興味が注がれるが、各フロアを一巡した印象では、百貨

店業態の頂きともいえる伊勢丹メンズ館からは何の進化も感じられないのが率直なところだ。


紳士のフロアを伊勢丹メンズと呼称し、地下の食料品フロアの菓遊庵の括りなどに象徴される

ように、伊勢丹なるものと、三越なるものが混在していて、一つの百貨店として昇華されている

ようには見えないのだ。


こうして、足早での回遊ではあったが、北南の大阪百貨店戦争はMDの優劣というよりも施設

環境の優劣で決するのかも知れないと直感した次第だ。


新店が故、1,2階の狭隘さを除いて、店舗空間はゆったりとされてはいるが、新鮮さは微塵も

感じられず、規模と立地から店舗のイメージは、名古屋高島屋と近いものを感じ、高島屋より

も東京ミッドタウンのグレイド感を備えているのではないだろうかと思った。


シニカルな言い方に捉えられるかもしれないが、銀座三越の店内を巡っているときに、三越が

意識している大規模商業施設は、東京ミッドタウンではないかとさえ、脳裏を過ぎったものだ。


森ビルの六本木ヒルズも三井不動産の東京ミッドタウンンも三菱地所の丸ビル・新丸ビルも百

貨店を誘致しない大規模商業施設だ。三社とも百貨店なしでグレード感とファッショッ度の極めて

高い大規模な商業施設を構築したデベロッパーである。


いまや、顧客にとっては、高いグレード感とファッション性を備えた商業施設として、下手な百貨

店よりも都市での存在感は高いといっていいのではないだろうか。


JR伊勢丹三越は、大阪駅に東京ミッドタウン並びに六本木ヒルズ、新丸ビル等を接ぎ木的に

構成したものとしか見えないのだ。


心のときめきも、わくわくするもののない、西武の作った心斎橋そごうの再来にしか見えない。

関西人に東京文化を提供すればいいとの傲慢さが感じられ、売上高計画の下方修正もむべ

なるかなといったところだ。


●JR伊勢丹三越 550億から350億へ売上高下方修正

http://websitenews.blog98.fc2.com/blog-entry-1746.html


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一方、ルクアは好調とのことだが、関東でいうルミネの構成と同じで、所謂駅ビルなのだが、

若干グレードアップの企ては感じるもののJR伊勢丹三越の開店景気に乗っているといった

ところではないのか。



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大丸は駅とのつながりが目に見えて強まり、また、増床によって買い場としての懐が深くなり

厚みを増した。大丸は、以前よりは業績が上ると感じたが、その晩、食事を共にした関西の友

人によると梅田大丸の一人勝ちとのことであった。



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阪急は改装中のため、1階のグランドフロアが食料品のスウィート類が占め、婦人雑貨類は

順次上の階へ上っていた。


別館の阪急メンズも瞬時に一巡してみたが、オープン時とほとんど変わっていず、前日に

訪れた有楽町の阪急メンズが単に梅田をミニ化したにすぎないことを思い出すのだった。



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難波高島屋のメンズ館についてはコメントを控えたいと思う。

ラフデザインの段階で伊勢丹メンズのMDがそのまま張り付けられていた類のリニューアル。

しかも、巨大化した阪急メンズの後塵を拝しての髙島屋メンズ館。顧客志向、マーケット志向

と言うよりも、内向きすなわち、経営トップに向いたMDプランであることが見え見え過ぎる。


レストラン街は、それなりの力みを感じたが、他の商品群はリプレイスの域を出ていない。

前年が改装工事のため売上高を落としているから、前年対比では売上は伸びているものの

計画値は達成できていないのではないだろうか。


しかし、夕方といううこともあって、地下の食料品フロアの賑わいは半端でない。



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梅田(北)対難波(南)の百貨店戦争は、MDの同質化が避けられない中では、店舗施設環境

の優劣が競合を制するのではないかと直感した私は、難波パークスを巡ってみた。


初めて訪れた時も、MDはどこでもあるブランドの羅列で、「今いち」と判断していたものだが、

建物の環境には一目置くものを感じていた。


今回も、黄昏時を、店舗内を巡るよりも店舗外の環境を楽しんだ。

2年前の3月のときよりも店舗外環境のメンテナンスがいきとどき、難波パークスの建築家、

店舗プランナーがどなたなのか存じないのだが、その力量はかなりのものと推察した。


難波パークスは、集う場所としては、今日性を失わず、還暦を過ぎた小生でも、和められる

「衣食遊」兼ね備えたいい感じのパークであった。




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京都四条河原では、卒寿の母に頼まれた京都の銘茶と仏壇に備える茶菓子を頼まれたので

高島屋で購入した後、阪急の跡に入居したマルイを巡る。


マルイ神戸や、マルイ難波で示した工夫とMDのトライも一切ない、

所謂単なる若向きの駅ビルだ。モザイクダイニングなどは阪急時代と何処を変えたのか

さっぱり解らなかったのが正直なところ。


関西の百貨店の大半のヤングゾーンは、今までにマルイの強みのブランドを入れてきた経緯

もあり、また、ヤング向きの専門店も関西独自に展開していたため、いまさらマルイを必要と

する点は無いのかも知れない。


まあ、伊勢丹もしかりだ。

もともと関西の百貨店マン(バイヤー)は伊勢丹や西武、マルイが採り入れたものを競って

採り入れてきたのだから、顧客にとってはマルイが来ても、西武が来ても、伊勢丹が来ても

それほどの刺激を受けないのだ。



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やっと一昨日、一回りした有楽町ルミネに言及できるところまできた。

もう少しグレード感を上げたMD構成並びに、店舗環境が構築されているとと読んでいたのだが、

さほど既存のルミネとの違いを実感することはなかった。強いて言えば、食料品売り場に百貨店の

食料品と通じるブランドが配置されているというところだろうか。


新規開店して7日目ということで、見学客が多いのは仕方ないとして、近くのプランタン、マロニエ

ゲートなどとのブランドのバッティング、競合は消耗戦の様相を呈するのだろうか。


阪急が、こうした状況を見越して、メンズに特化したのだろう。されど、はたして固定の顧客が付く

かは疑わしい。




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昨日は、日経ホールで国立民族博物館公開講座「ワタシのIBASHO 新しい「ふるさと」像

をもとめて」を18時から拝聴することにしていた。


それまでの時間を利用して、梅田、難波、四条河原町を巡る百貨店視察ツアの締めくくりと

して、開店1週間目の有楽町ルミネ詣でとなったのだが、有楽町ルミネは有楽町西武の店舗機能

をそのまま引き継ぎ所謂、居抜きでのリーシングによるブランドのはめ込みでしかない。


決して、商業施設として有楽町西武を凌駕しているといえる点はないといっても言い過ぎでは

ないだろう。期待はずれの物体だし。阪急メンズと合わせても商業施設としての整合性もない。


有楽町マリオンとは何かと問われても、答える言葉が無いのではないか。

そもそも、別々の企業による規模も中途半端な二棟立ては、観念論のなせる業だ。


このようなちぐはぐな有楽町マリオンに比べて、同じJR有楽町駅の一方の翼に羽ばたく

LOFTと無印を結びつけた施設は魅力的だ。仮設的な雰囲気ではあるが、LOFTと無印良品

ファンには堪えられない店舗だと思うのだ。次には、LOFTと無印が個々の個性を発揮するも

融合した新しい業態の開発を期待したいと思う。


堤西武は消滅したが、その遺伝子は随所に拡散されている。LOFTと無印のジョイントショッ

ピングプレイスはその最たるものかもしれない。




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